乗鞍高原温泉

2011-01-21 22:33:54 |  乗鞍話し
変わらず毎日寒いですね。
大阪は今日珍しく雲が出ていました。

寒い時はお風呂も楽しみの一つです。
我が家のお風呂はユニットバスなので、熱いシャワーで暖まるだけですが…。
湯船に浸かるのは週末テニスの後のスーパー銭湯くらい。
雰囲気の違う旅先の温泉が恋しいなぁ。
山懐の温泉地、今は雪に埋もれているのでしょうか。

気持ちが山に飛んだので、久しぶりに乗鞍話でもしてみようと思います。

話題は当然温泉で。
旅の楽しみのひとつですよね。
乗鞍近くの有名どころは、乗鞍スカイラインの入口近くに平湯温泉が、それから鈴蘭から上高地方面に行くと、白骨温泉があります。
両方宿泊したこともあるのですが、今回はたびたびお世話になっている乗鞍高原温泉の湯けむり館を紹介します。

鈴蘭の駐車場の観光センターから道を隔てた反対側にその建物はあります。
日帰り温泉施設で、いつも山で遊んだ後、汗をここで流して次の目的地へ向かいます。
壁も床も浴槽も椅子も桶も木製(だったと思う)で、浴室内に響くのは水音と、木と木がたてる柔らかな音だけ。
黒っぽい木目に白濁した湯が映えて、落ち着いた気分で湯浴みできます。
湯船に入り手の平にお湯を乗せると、細かな白い硫化物が舞っているのが観察できます。
この粒子が重なって白く見えるのですね。
手のひらを沈めて行くと、徐々に白くぼやけ見えなくなります。
10センチも沈めれば見えなくなるので、ホントに真っ白なお湯です。
露天風呂もありますが、眺めは無く、木の壁が切り取った丸い空が覗くのみ。
私は雰囲気のある内湯の方がお好みです。

風呂上がりは、冬には火が入るのだろう暖炉のあるロビーで休めます。
いつも夕刻に来るので混んでいて、あまり利用したことはないのですが…。
早い時間に来たらゆっくりできるのかも。

と、こんなところです。
乗鞍で遊ばれた折りは、是非どうぞ。




館を出た私は車に戻り、夏場ならドアを開け放ち、車内の熱気を逃がしつつ、さて今夜はどこまで走ろうか、と地図を広げます。
体の火照りを冷まし、さっぱりした気分で次の目的地へと、夜のドライブに出発するのでした。


位ヶ原

2010-09-08 00:00:03 |  乗鞍話し
今夜は台風のお蔭で風があり、部屋の空気を凄い勢いで外に追い出してくれます。
あな、涼し。
雨が降り出すと吹き込んでくるので、窓を閉めねばならずそれまでですけど。
・・あ、降ってきた。


昨日の続き。

登山道はエコーラインを横切り、ハイマツの間を抜け、下へ下へと下って行きます。
道は枯れた沢のような感じで、大小の石や岩がゴロゴロとして、足が置きにくくとても疲れます。
ここを歩く場合は足元にご注意を。

しばらくはナナカマドの葉っぱや果実の黄色と赤などを観察しつつ歩きました。
こりゃなんの種だろう?


そして溝状にえぐれた道の角を曲がると、前掲したその日一番の眺めが眼前に広がったのでした。
足を止め、その場で口を開けて眺め入ってしまいました。
そこから眺めは一変し、目にする全てがビビッド。
道脇の木々も素晴らしい。

その森は登山道がもう一度エコーラインと交差するまで続き、私の心に透明な滋養を与えてくれたのでした。


そうこうする内に、山の向こうに日が沈み、薄暗くなってきました。
道程はまだ半ば。
後はカメラを仕舞い、歩く事に専念です。
鈴蘭の駐車場に着く頃には真っ暗になる一歩手前でした。
最後の方は整地された遊歩道だったので、心細くはなかったですが、山中で暗くなったのは初めて。
秋の日の山歩きは、帰着予定時刻に余裕を見てあげねばいけませんね。

こうして、思いがけず非常な満足感を得た秋の乗鞍の山行を終えたのでした。

肩の小屋辺り

2010-09-07 00:00:07 |  乗鞍話し
秋の乗鞍話し、続きです。

富士見岳から肩の小屋への下り道、乗鞍エコーラインの方を見下ろすと、色づく森が広がってました。
前々話の錦秋の森を上から見ると、こんなです。


普通紅葉の盛りの高度より上は、葉を落とした木々が冬を装っていたりするんですが、森林限界辺りが紅葉してると、その上はハイマツ林で緑が広り不思議な景色。
ここから眺めた時は、そのただ中を歩けるとは思っておらず、きれいだなと眺めただけでした。
遠くから見るのと周りを囲まれるのとでは、訴求力が違いますね。

肩の小屋は山頂への道と下山する道の分岐点です。
肩の小屋辺りの草紅葉。


その時は山頂往復の時間は取れず、すぐ雪渓横の道を下りました。
エコーラインまでのこの道は、夏は花々の咲く急な斜面にあります。
道はしっかりしているので、雪渓でバスを降りてこの道を肩の小屋まで登り、山頂往復して畳平へ下るのも、変化があってお薦めのコースです。

エコーラインから振り返り見上げた眺め。


雪渓がとても小さくなってます。
夏にスキーしてて驚いたところですが、さすがに秋には滑れません。
今年はひどい猛暑が続いてますから、もう全部解けちゃったかもしれませんね。

畳平追想

2010-09-03 00:00:02 |  乗鞍話し
前話の乗鞍の旅では写真を撮っているので、も少し紹介しておきますね。

バスに乗ったのは、鈴蘭の駐車場から。
乗鞍エコーラインで畳平まで上りました。
30分に1本位出てたように思います。
停留所に停まる度、次々お客さんが乗ってきて、いっぱいです。
バスの窓には紅葉した木々が流れ良い景色だったはずですが、前話の登山道の眺めの印象が強烈で、あまり覚えていません。
9月下旬から10月上旬に訪れる機会がありましたら、位ヶ原山荘の上辺りを歩かれると良いでしょう。

道がなだらかになり、斜面を緑のハイマツと赤いナナカマドが覆う高度まで上がると、カメラを手にした方々が道脇にいっぱい、思い思いに撮影していました。
畳平の駐車場に到着。
車で来れた頃はいつも満杯だったけど、今はガランとしています。
行く手にある富士見岳に20分ほどで登り景色を眺める。
畳平はこんな所。


バスの止まっている左上の辺りに、バッテリーを上げた時、助けを求めた公団?事務所があったのでした。
駐車場の写真の左手にお花畑があります。


木道がぐるり一周しています。
この木道を歩いていた時、一人旅してる方たちのグループに声をかけられたのでした。
この色だと秋に咲く花はなさそうですね。

乗鞍秋色

2010-09-02 00:13:12 |  乗鞍話し
では、久しぶりに乗鞍岳のお話しをしたいと思います。
今回は少し季節を先取りして秋の乗鞍について。

最後に乗鞍岳へ行ったのは3年前、10月の3連休でした。
何度も来てる割りには、乗鞍で秋を満喫したのはこの時が初めて。
旅程は土曜に乗鞍、日曜に立山を歩くというもので、実はメインは立山の方でした。
私はそれまで紅葉の最盛期の山というのに狙って行けた事がなく、その年は事前調査を重ね(大袈裟)、10月初旬なら立山だと狙いをつけたのです。

アプローチ方法を考えると、いつもの如く金曜の深夜に出て、土曜の午前を使って信州に入る行程になるので、土曜の午後、半日で出来る事を探さねばいけない。
で、その時は道のりの途中に寄る事が出来る乗鞍へ行く事にしたのです。
マイカー規制されてから山上まで行く事がなくなっていたので、バスに乗って久しぶりに畳平まで行ってみようか。
それでもって、下りは登山道を歩こうと考えました。
それならちょうど半日潰せそう。

こんな感じで、気分的にはついでに訪れた場所だったのに…、やられてしまいました。
登山道を下り、中腹の森に足を踏み入れそうそうに、斜面を眺めれる開けた所に出たのですが、そこからの眺めの鮮やかさよ。
思わず息を飲んでしまいました。
夕日が射した時の斜面は文字どおり光り輝いて見え、その森を抜けるまで角度を変えつつ私の目を捉え続けました。
心残りだったのは、もう少し早い時間だったら斜面全体に日が当たって、全てが輝いて見えただろうにということ。

3年前だと写真があります。
光が射している時に写せず、いまひとつくすんでいますが。


下山後、主目的の立山を越える美しさなのではと感じ、ついで扱いした乗鞍岳に申し訳なく思い、また見直したのでした。


よろしくご贔屓に

2010-08-28 22:54:56 |  乗鞍話し
←「乗鞍話し」のカテゴリーを追加しました。
山好き、旅行好きの方は見てみてくださいね。

私の夏ネタもそろそろ枯れかけてきたので、昔の話に助けを求めようかと思います。
また、続きを記載しようと思いますので、よろしくお願いいたします。


乗鞍の春は遅い

2010-04-03 02:00:51 |  乗鞍話し
ほんの少し春めいたところで、久しぶりに乗鞍の春のお話を・・。

夏休みに何度も訪れているうち、夏だけでなく他の季節の表情はどんなか見てみたくなりました。
で、春はゴールデンウィーク頃に遊びに行った事があります。
大阪近郊の木々は新緑がすっかり進み、初夏の空気が満ちつつある頃です。
いつものように、名神、中央道、木曾街道を走り、街から山へ徐々に高度を上げていくと、緑がどんどん淡くなって行くのが分かりました。
さすがにこれだけの高度差があると、季節はぐいぐい巻き戻り、まだ肌寒い春に連れていってくれます。
藪原から西に入り、急になった坂道を上った境峠辺りの萌え方が、その頃の私好み。
高度が1400mくらい。
その後一旦下り、上高地乗鞍林道で近道して鈴蘭へ。
途中、ちょうど斜面の角度に沿った光線が幼木を照らす場所がありました。
新緑が光を透かす様をしばし観賞。


鈴蘭の駐車場からは乗鞍岳の真っ白な姿が。
乗鞍エコーラインはまだ雪に閉ざされ走る事は出来ません。
それで駐車場にほど近い一の瀬園地を歩いてみることにしました。
立ち木がそこここに立ち、平らな草地が広大な所で、遊歩道が園地をぐるりと巻いてます。
バーベキューができるスペースがあったりして、いい気候の頃に来たら、気持ち良さげな所です。
というのは、その頃から雲が広がり曇天に。
ぐっと気温が下がり、春を越えて冬まで遡ってしまった感じ。
下界では汗をかくTシャツに長袖のシャツの格好も、冷気の侵入を防げず、洟をすすりながら震えて歩きました。
立ち木の樺の木は冬枯れたまま。
土色の下草は雪の重みで平たく潰され、そこここに残雪も見える。
とても寒々しい。
その時、山は異世界なのだと体で理解したように思います。

今は温暖化が進んで、違うのかもしれませんが、乗鞍高原で新緑を楽しむには5月中旬以降が良さげです。
この他にも、乗鞍高原には見所がたくさんあるようです。
突然具体性がなくなるのですが、林の中に遊歩道が敷かれ、滝や池を巡る事ができるらしい。
いつもすぐ山上を目指し、この時以外、高原散策をしたことがなく、よく分かりません。
今考えると、そんな遊歩道を歩かず置いておくなんて私らしくない。
今度機会があれば、歩いて報告したいと思います。

乗鞍高原の朝と夜

2010-03-18 02:13:02 |  乗鞍話し
季節はまた夏に跳びます。

誘われたユースホステルは乗鞍高原のペンション、民宿、旅館の並ぶ一画にあったと思います。
麓側から鈴蘭の駐車場を見て、右手奥だったような。
もうはっきりしません。

ユースホステルってお金の無い若人が泊まる所で、夜は暖炉を前に集まり、ギター伴奏でみんな山の歌を歌う、なんてイメージがありました。(どんなイメージだ・・
でも実際は、年のいったおじさんもたくさんいて、年齢に関係なく安く旅したい人が普通に利用する宿のようです。
宿泊料は確かに安かった。
代わりに部屋は相部屋で、そこは朝食の時間がやたら早い。
6時ごろから食べさせられたような覚えが・・。(後で書きますが、この宿だけのことです。)
食後はみんなで自分の使った食器を洗います。
ふーん、こんなこともするんだ。
お蔭で出発までの時間があまり、宿の外でぼんやり。

すると浴衣を着た若いお父さんが男の子を連れて出てきました。
おぼつか無い足取りで駆け回る2、3歳くらいの子を楽しませつつ写真を撮っています。
んん??
その光景を見ていて疑問が湧き上がってきました。
浴衣なんか備えてあったかな?
さっき朝食時にも見かけなかったし、どこに泊まってたのだろう??

疑問に思いつつ建物の中に戻ると、宿のご主人さんがまた料理を作っています。
食堂には三々五々浴衣を着た宿泊客が集まってきてます。
この人たちは誰?
と見ていると、後から入ってくるお客さんは我々の泊まった棟とは別の棟からやってきます。
あっちにも部屋があったんだ。

んん??
彼らへの対応が違う。
我々はセルフサービスだったのですが、彼らは座った席で給仕してもらっています。
どうやらユースホステルと普通の旅館の両方を経営しているようで、食事は両方同じ食堂を使っているようだと分かりました。
それであんなに早い時間に食べさせられたんだ。
納得すると共に、かかる費用と受けるサービスの相関関係を直接比較され、その差のあまりの分かりやすさに苦笑してしまいました。

ここのユースホステルには翌夏もう一度お世話になりました。
二度の宿泊の内、どちらであったか忘れましたが、晩にみんなで外に出て夜空を見上げたのを思い出します。
星がきれいだった。
とても。
この時の旅を思い起こすと必ずこのシーンに繋がります。
その時は誰かが説明してくれて天の川を観察する事ができたのです。
天の川はふわふわとそこにあるようなないような、微細な星の集まりでした。
見たのはその時が初めて。
うーん、正確には初めて気付けたと言うのが正しいでしょうか。

私は田舎の出なので澄んだ夜の星空は珍しくないのですが、天の川は見る事ができませんでした。
と言うか、気付く事ができませんでした。
もっと明るい星々の集まりと思い込んでいて、そこに見えるでしょうと言われても全然分かりませんでした。
ユースの時は見え方を上手く表現してくれたのだと思います。
夜空に色は付いていなかったはずですが、以降にテレビや写真で見た映像と重なって、緑色やオレンジ色掛かった背景に無数の星が瞬く眺めとなって、頭の引き出しにしまわれています。

乗鞍エコーライン

2010-03-09 01:46:50 |  乗鞍話し
今回は乗鞍エコーラインのお話しをしたいと思います。

登頂後、晩に誘われていたユースホステルのある方向に山を下りました。
乗鞍スカイラインとは反対側にも道路が敷かれ、麓まで伸びています。
こちらは無料の一般道路で、通称乗鞍エコーラインと名付けられています。
地図で存在は知っていたのですが、これまで走ろうと思った事がありませんでした。
当時は有料道路が一番景色が良くて、面白いのだと言う固定観念があって見向きもしなかったのです。
しかし、山頂から眺めた時、なだらかな斜面をくねくねと這い、景色の一部となった山岳道路は、走ると面白そう。
実際走って見て、これまでのいいかげんな評価は一変。
高度が高い内は麓の方角の見晴らしが利き、背後を振り返れば、なだらかな山体の乗鞍岳がその全容を見せてくれる。
こんな形してたんだ。
下るにつれて変化する眺め、その表情の豊かさ。
すっかり虜になってしまった。
それからは乗鞍岳を訪れる時は、エコーラインしか使わなくなりました。


正式な起点はどこか知らないのですが、私にとっては乗鞍高原の鈴蘭という所にある広い駐車場がスタート地点です。
乗鞍を訪れた時は、必ずこの駐車場に車を止め、用を足し、一息入れてから畳平へと出発したものでした。
ここからも乗鞍岳山頂を望むことができます。
鈴蘭は標高約1500m。
そこから走り始めると最初は背の高い木々の茂る森の中を道は進みます。
亜高山帯に生育するシラビソ?などの針葉樹が、高い山に来ているんだという気分を盛り上げてくれ、すでに知っているこの後広がるだろうすばらしい景色を期待し、ルンルン状態で運転します。

スキー場を横切る辺りから眺めが良くなって来ます。
道は斜度を増し、ヘアピンカーブの連続。
1速と2速しか使えません。
道は斜面に張り付くように設置され、眺めもどんどん良くなるぅ!。
気分もどんどん良くなり、高度に比例してハイテンションに。
山の雰囲気たっぷりの音楽を収録したカセットテープが2つあって、ここを走る時は必ず流したものです。
2つのアルバムの趣は全然違うのですが、それぞれ高山になんともぴったり。
私の中では乗鞍エコーラインのテーマみたいになって、他の場所で聞いてもエコーラインの景色が眼前に広がるようになってしまった。はは。
位ヶ原山荘辺りは見上げる斜面に樺の木他の白っぽい幹が目に付き、樹層が標高を上げていることを伝えてくれます。
ううっ・・、いい。

乗鞍岳が再び見えるようになると、道はなだらかになり、うねうねと潅木の中に連なっていきます。
頂上に近づくにつれて、渋滞がひどくなる。
前出の雪渓の下をエコーラインは通っているのですが、その手前ぐらいからピタリと止まってしまうことが度々。
でもここを走っているときは全然気になりません。
というか止まった車中から最高の眺めをじっくりと堪能することができ、願ったり適ったりの状態。

ある夏の日は非常に天気がよく、朝から雲ひとつ無い青空が広がる中、登ったことがあります。
麓まではただ青かった空が、高度を上げるにつれて青さを増し、渋滞につかまる山頂直下では紫がかった藍色にまで青が深くなり、見上げる稜線の緑との境のコントラストが凄い。
窓を全開にして山の気で励起した空気を満たした車の中、躁状態になった私は奇声を上げ、山の音楽に合わせて踊ってしまったことがあります。

このまま高度を上げていくとどんどん深みを増して、漆黒の宇宙に繋がっているのだなと思わせる色だった。
あの時の光景は目に焼きついていて、乗鞍エコーラインで過ごした時間の中で最良の刻となっています。


ぐるり240°くらい

2010-03-03 01:41:08 |  乗鞍話し
乗鞍岳の主峰は剣ヶ峰と言います。
山頂を目指し歩き出しはしたものの、片道一時間の道のりを考えるととても億劫でした。
歩き始めてしばらくは何度も引き返そうかと思いましたが、引き返すのも億劫で(なんだそりゃ)、そのまま歩きました。
軽い高山病に罹ってたのかもしれないですね。

道はしばらく自動車が通れる位、広く整地されています。
途中にあるコロナ観測所や肩の小屋に物資を運ぶのに使うのでしょう。
小屋の向こうの斜面には、夏遅くまで雪渓が残り、真夏でもスキーしてる人がいます。
初めて見たときはびっくりしました。
こんな季節に滑ってるよ、おい。
もちろんスキー場ではなく、大きいとはいえ雪渓です。
滑れる距離は数十m程。
リフトなどある訳無く、斜面の上まで板を担いで登ってます。
結構な斜度なので、降りるのはあっという間。
なのに、登るのにやたら時間がかかる。
好きなんだなあと思わせる眺めでした。

さて、道はそこから登山道に入ります。
登山道とは言ってももはや森林限界をはるかに越えた高度なので、植物は草とハイマツが黒くゴロゴロとした溶岩に張り付くように生えてるだけで、ずっと上のほうまでどんな道なのか窺う事ができます。
登っていく人、下りてくる人がアリンコのように繋がっています。
結構、人気。

特に危険な場所も無く、ざらざらと粒の巨大な砂場のような踏み応えの道を、ずるるずるると靴を滑らせながら登る。
上るにつれて、左に広がる山並みの奥行きが増していきます。
小さなピークを2つ3つ越えて、山頂に到着。
たった200mほどしか高度は違わないのですが、富士見岳で見た眺めより見下ろす角度が大きくなり、明らかにもう一段深くなった山の重なりが眼前に広がります。
青空の下、彼方の山の稜線は空と水色に溶け合って、境は定かでありません。
北方の北アルプスの山々から、東の山並み、遙か南には白く靄った大気の海に浮かぶ御嶽山。
うっひょー。
登る前の億劫さはどこへやら。
この眺めに魅了されて、この後数年、乗鞍岳を訪れればそのたび、剣ヶ峰まで登ってはその眺望を飽きることなく楽しんだのでした。(この後はいつ来ても晴れてくれました。)


山の西側は風がそちらから吹き付けるからか、いつも雲が覆い眺めはありません。
1度だけ西側も晴れたときがあって、乗鞍岳の裾野が遠くまで伸びる景色が広がっている様を観察できました。

ジーンズにシャツ2枚という舐めた格好で登ったので、晴れているとは言えそこは3000m峰、吹きさらしの山頂の風は冷たく、長居できません。
名残惜しくも山頂を後にしたのでした。