帰省した日の歓喜と認識、そして感謝

2015-08-31 20:54:54 | テニス
夏休み日記に掛かりきりで、書けなかったこの夏のその他出来事を記しておく。

8月15日(土)~16日(日)

お墓参りに帰省した。
土曜日は早めに家を出て、道草しつつ帰ろうと計画したが、にしこりくんの対ナダル戦の開始が、雨と直前の試合が長引いたおかげで遅れに遅れ、予定が狂った。
なので道草はなし。
まあ、にしこりくんがナダルを一蹴する試合が見れて、気分良く帰れたので良かった。
翌日曜の対マレー戦は実家で観戦。
普通その時間帯にお墓参りするのだが、当然観戦優先。
観戦後だと一番暑い時に行くことになるから、早起きして試合前に参ってきた。
それでも大汗をかいた暑い日だった。

その試合は、第一セットは均衡した展開をみせてくれたが、第二セットはほぼ棄権状態。
また傷めたところがあったようで、勝ち上がるということは試合が続けさまにあるということで、ツアーを勝ち抜いて行くのは大変な事なんだなと思わされる結果だった。
比較すると常に勝ち抜き一位を長くキープしているジョコビッチや、キープしていたフェデラーは大きな故障もなく、なんて頑健な身体をしているのだろうと驚いてしまう。
でもそのジョコビッチにしてもシンシナティの大会ではトレーナーを呼んでたし、マレーはいつだったか優勝した翌週の試合を疲労で棄権していた。
怪我には至らなくても体力損耗してしまうのは変わりないよう。
休養充分で臨んだフェデラーに二人ともいいとこなくやられちゃったからなあ。

みんなが毎回ベストな体調で試合できれば大会のクオリティも上がるんだろうけど、今の運営方式だとほぼ不可能なんだろう。
単発の強さだけでなく持久力も必要という、短距離走者でもあり長距離走者でもある事を求められるテニス選手って大変。
さあ、いよいよ今晩、全米オープン開幕。
今回はにしこりくんも休養が取れたから、期待したい。
センターコートで練習してたよ。
第4シードってすごいんだな。



おっと、横道に逸れ過ぎ。
土曜の晩はいつもの様に歓待してもらった。
一番風呂をもらい、ビールで喉を潤す。
夕食が出来上がるまでまだ時間がかかるとの事で、枝豆を出してくれた。
あちあちである。
岩塩を砕いてふりかけ、点で感じる塩分と歯応えある翡翠の粒粒を楽しませてもらった。

<茹でたて枝豆>



妹はこの夏鳥取に遊びに行ったらしく、日本酒をお土産に買ってきてくれていた。
どんな香り、味だったかメモしなかったのでまったく覚えていない。
失敗。

<満天星>


そして、アテの数々。

<炒めたホウレン草とエノキタケの和え物(ジャコ入り)>


<すっぱいプチトマト>


<なすびの生姜醤油炒め>


<さしみ蒟蒻>




<ハムとセロリの炒め物>


みなで完食した。


25HOURS

2015-08-27 23:25:19 |  東北 花の山旅+α
「東北 花の山旅+α」のお話しもようやく最終回。
どれだけかけて書いてるんだか。
でも今回は写真をたっぷり撮ったので、記事に使える枚数も多く、これまでの旅記事より賑やかになったかな。
夏休みを夏をかけて反芻し、今年は夏を満喫できた。
では。


7月10日(金) 続き

昼食は小坂鉱山事務所のレストランで食べ、場所を換えて隣の赤煉瓦倶楽部というカフェでお茶にした。
そこの建物は変電所として使用されていたものを改装利用しているのだったか。(記憶はだいぶ怪しい。)
建物の中もいい感じだったがお天気もいいし、外のパラソルの下でコーヒーをいただくことにした。
前日から気温が上がり出し、その日も日向にいると薄っすらと汗をかくような日だったが、日陰だと湿度の低いカラリとした風が心地よい。
青い空を見ながら座っていたら眠くなってしまった。
空いているのをいいことにテーブルに突っ伏して少し眠った。
気持ちよかった。

<赤煉瓦倶楽部>


康楽館のお芝居が終わったようでお客さんが増えてきた。
さ、帰ろう。
14時過ぎ、東北自動道に流入。
翌日の土曜日にかけて走り帰阪する。
到着は土曜日の何時になるだろうか。
予定より遊んでしまい、疲れているはずだが、少しうつらうつらしたのが効いているようで、眠気は遠い。
走って行くと仙台220km、福島300km(だったはず)なんてでかい標識が…。
220kmって大阪からだとどの辺までだ?
なんにせよ、大阪は遥か彼方ということだ。

<アカシアのはちみつ付き>


16時半、前沢SAで給油。
陽が傾いて西日が肌に痛い。
顔の右側だけ灼けてしまうぞ。
走っても走っても道道道。
さて、次の休憩までにどのルートで帰るか決定せねば。
スマホナビは磐越道から北陸道を使うのが一番早いと出るが、平坦な北陸道の単調な道は眠くなりそうだ。
標高が低くて暑そうだし。
やはり代わり映えしないが、北関東道、関越道、上信越道、長野道、中央道で行こう。

<夕方>


夕刻、国見SAで夕食。
牛タンシチューを奢った。
うまかった。



21時半、上河内SAに到着。
うーむ、まだ東北自動車道上にいるぞ。
眠気が出てきたのでここで大休止することに。
いわゆる車中泊。


翌 7月11日(土) 晴れ

2時半頃目が覚めた。
寝苦しく、もう一度眠りに入る気にならず、出発することにした。
長期休暇の旅の帰り道は、寄り道先を設定していなければ、ただひたすら淡々と距離を稼ぐだけ。
今回も別に時間が無い訳ではない。
行きにしたようSAで写真を撮って遊んでもいいのに、楽しもうとする気分に乏しい。
早く帰って片付けを終えて、残りの休みをゆっくり過ごしたいと思う。
この思いは大阪に近づけば近づく程強くなる。
白みつつある空を眺めながら、がら空きの北関東道を行く。



5時、横川SAでトイレ休憩。
上信越道は谷が深い。
朝靄がかかり水墨画の世界だ。
靄が晴れると上空は晴天。
ダメだ、眠い、休憩を取る間隔を2時間くらいにして走ってきたが、それだけもたなくなってきた。

<朝方>


6時過ぎから8時半まで姨捨SAで休憩。
真正面から日の差す車内で上着を被って朝寝。
朝だから大丈夫だと思ったが、そのうち暑さで目が覚めた。
起き出す。
やはり車中で涼しく眠れる夜にしっかり眠っておいた方が良かったかな。
食堂で豚汁朝定食の朝食を食べた。
眺めの良い公園があり、影になった風の通るベンチで少し涼む。
さ、出発。
この辺りまで来ると景色が馴染みある。
走っていると陽は高くなり、段々暑くなってきた。
薄っすらと霞がかった頭で淡々と中央道を下る。
恵那山トンネルを越えた。
今度は2時間頑張ったぞ。
この辺りのPAで涼しいベンチのある所があったはず。



10時半、神坂PAに入った。
あれ?違った。
どこだったっけ。
でもしんどいのでここで30分休憩。
ほら、だんだん苦行になってきた。



そうだ屏風山PAだった。
通過しつつ思い出した。



12時半過ぎ、多賀SAで昼食、昼寝。
昼寝?どこで昼寝したっけ?覚えてないぞ。
ここまで来ると意識は無事帰ることにのみいき、ドライブを楽しむ感覚はもはやない。
前を睨み付け、ただただ走る。



幸いにして渋滞に巻き込まれる事なく、家まで走り切った。
良かったー。
おつかれおつかれ。
時計を見ると、15時過ぎだった。



今回の旅の走行データ。
燃費 20.7km/l
総走行距離2681.5km
例年の年間走行距離の1/3になった。


夏の長さの尺度

2015-08-24 23:02:35 | Weblog
週末、山の上の公園では蝉がたくさん鳴いていたが、ツクツクボウシやミンミンゼミの声に換わっていた。
クマゼミの合唱の暑苦しさはそこになく、蝉の声に秋を感じた。
いや、蝉のせいではないな。
鳴き声を聞きつつ感じた涼風の心地良さがもたらした感慨であるのが正しそうだ。
日向は暑いが日陰のベンチは天国だ。
サラサラと肌を撫でる乾いた風をゆりかご替わりに昼寝した。



下界が猛暑日だった頃、山の上は真夏日程度で一段階涼しくはあったが、日陰でも周りで立ち昇る熱気が身体を包んだ。
同じベンチで昼寝したら背中が汗で濡れた。
あの暑さを何日も経験すると、夏日なんて涼しいものだ。
例年なら「夏の終わりがどうの」という感想になるのに、いきなり秋を感じるとは今年は気が早い。
夏休み取得が早かったから、夏として意識した期間が7月初めからすでに1ヶ月半。
学校の夏休みと同じくらい。
きっとそのせいだ。



風にまだ寒さの気配は全くないが、夜の寝苦しさも遠くなり、風邪を引かないようこれからは窓を閉めて寝るタイミングを計らねばいけない。

入場券が記念品だ

2015-08-21 01:48:06 |  東北 花の山旅+α
7月10日(金) 続き

その日二つ目の見学先は、小坂鉄道レールパーク。
小坂鉱山事務所のすぐ近くにある。
当初小坂鉱山の鉱石や資材運搬用に建設され、その後旅客営業も行っていたが、廃止となった小坂鉄道。
その小坂駅の施設を利用したテーマパーク?だ。
2014年にオープンした、まだ出来たての「古い」施設である。

<駅舎>






ここの存在を知ったのはTVニュースで、寝台特急「あけぼの」の車両を買取り、改装して宿泊施設として利用するとの話題を見て。
東北を旅することになって、行けるものならとどんなところか調べてみた。
小坂鉄道が保有していた車両がみられ、機関車庫に入れ、短距離だが構内で観光トロッコやレールバイクに乗れる。
事前に申し込めば本物のディーゼル機関車の運転も体験できるそう。
体験運転料金は高いが人気らしい。
何馬力か知らないけど、強力なエンジンを響かせて巨体を動かすのも面白そうだが、今回は時間が無いので撮り鉄するに留めた。

<ディーゼル機関車>










「あけぼの」はまだ改装前だったが、導入された4両のうち1両だけ公開されていた。
寝台列車での旅は憧れだったが、旅の目的とうまく合致せず、一度も乗れぬままだ。
そのうちどんどん寝台列車は廃止され、ますます可能性が限られてしまった。
実際に運行してる列車では無いが、これまで寝台車両に入ったことすら無かったので、興味深く見学させてもらった。

<あけぼの>














機関車庫には過去のイベントで使用された車両であるとか、施設整備用車両?であるとか、荷物置き場にされてる無蓋車なんかがある。
ディーゼル機関車も1両置かれている。
レールの高さに立ってすぐそばから見上げると、でかいなあ。
エンジン横のカバーが開かれていて、車体側面通路から中を覗けたり、運転台に上ったりできる。
昔使われていたと思われるディーゼル機関車のエンジンなんかも並べられ、展示施設らしくなく(失礼 )、現役(じゃないけど)の鉄道車両基地を見せてもらってる感が普通でなくていい。
簡単には出せない使い込まれてる感が至る所に満載だ。
展示車両は多いとは言えないが、鉄道好きには面白いのでは。

<機関車庫>










観光施設として要望を述べるなら、中に食事できる店があるといいかな。
今回ちょうどお昼時になり、町にも食べ物屋さんを見かけなかったので、見学後に小坂鉱山事務所のレストランに戻って食べたのだ。
長居するには食事できないとな。
構内は広いので、そんなスペースを設けても良いと思う。
それから物販もなにかあるといいな。
記念品的おみやげを買おうと思ったが、なにも売っていなかった。
売ってたとしても気づかなかった。

<広い構内>


<切符>


とは言っても、そんなサービスを提供するに足る入場者数があるのかどうか分からないし、赤字になって経営が立ち行かなくなると問題だ。
可能なら検討して欲しいというレベルにとどめておこう。
ただ、食事やグッズ販売する場合、遊園地然とした雰囲気の店にしてしまうと他のテーマパークと同じ色合いになってしまい、ここの独自性というかこの雰囲気を壊してしまいかねないのでやめた方がいいかも。
やるなら例えば寝台車みたく食堂車を連れてきて構内に留め置き、お昼時のみ営業するなんてどうだろう。
お昼時以外の時間はベタにホームにKIOSK的売店を開いて、軽食、お土産、記念品を売るとか。
ダメかな。

<グッズ例>



小坂町で遊ぶ

2015-08-17 23:01:23 |  東北 花の山旅+α
7月10日(金) 天気:快晴

朝は宿で朝食をいただいて、これまでになく遅い時間に出発。
この日はお昼頃まで観光して、そのあと帰阪予定とした。
大館市の東に小坂という町がある。
半日遊ぶのによい観光施設があり、すぐ近くに東北自動車道のインターチェンジもあるので、そこを今回の旅の最終訪問地とした。

<明治百年通りの公園>


まずは小坂鉱山事務所見学。
なるも事務所の開館時間前に着いてしまった。
開館まで付近を散策することに。
鉱山事務所前は綺麗に整備された華やかな通りで、明治百年通りと名付けられていた。
広い駐車場や公園の間に、康楽館や昔の建物をリノベートしたカフェがある。

<康楽館>


<幟>


康楽館は歌舞伎やら演劇を上演する芝居小屋。
明治時代のもので、小坂鉱山の福利厚生施設として建てられたもの。
回り舞台や花道があって桟敷で観劇する昔ながらの劇場。
普段なら中を見学できるそうだが、その日は公演があって見学出来なかった。
通りに幟がいっぱい並び、和服姿のお客さんなんかも来ていて賑やかだった。

<小坂鉱山事務所>


<前庭>


小坂鉱山事務所の開館時間となったので再び建物に向かい、入館した。
小坂鉱山はかつて、金、銀、銅を産出する日本一の規模の鉱山だったそう。
これは知らなかった。
別子銅山や足尾銅山は名前をよく覚えているが、公害問題で有名であったからだろう。
小坂町は鉱山町で鉱夫とその家族も一緒に暮らす大きな街だった。
当時としては最先端の電気が通じた住宅が与えられ、しかも電気代はただだったそう。
当然鉱山での作業は厳しいものだったろうが、最新設備の住宅や上記の芝居小屋での娯楽を提供するなど、福利厚生面を充実させていた。
鉱山事務所は当時鉱区にあったものを解体し、今ある場所に移築復元したもの。
凝った意匠のバルコニーや螺旋階段などが当時の隆盛をよく伝えていた。

<らせん階段>


<バルコニーから>


<床の釘は銅製>


これら情報は館内の案内スタッフ?の方に伺った。
写真を撮っていたらすすすっと近寄ってきて、「お客様…」と声をかけられ、お願いした訳でもないのに滔々と話し始めた。
鉱山の歴史から当時の暮らし、建物の造りまで造詣深く、自身の思いも織り交ぜていろいろいろいろと教えてくれた。
早口で言葉に地の方言が少し混じるので、時々聞き直さないと分からない部分もあったが、それもまた一興。
ひとしきり話されるとまたすすすっと去って行かれた。
個性的な方だった。

<廊下>


<部屋>


建物は広く、中には模型やパネルで小坂鉱山の歴史を説明する部屋や、レストラン、お土産屋さんがある。
貸しドレスなんかもしているようだ。
鹿鳴館な感じの(私のイメージ)ドレスを着て、この建物をバックに写真撮影して楽しむのだろう。
コスプレの一種だな。
お土産屋さんで山には売っていなかったお土産を買って車に戻った。


合点した

2015-08-14 22:40:55 |  東北 花の山旅+α
毎年お盆の頃になると、家の近くで朝から鳴いていた蝉が静かになり、通勤時これまでに比べ涼しく感じる時が来る。
今朝がそうだった。
秋が来るんだ…、と気付く瞬間だ。
春からただただ上昇してきた大気中のエネルギーが峠を越え、これからは徐々に下降していく。
ホッとすると同時に、寂しさを覚える日々が始まる。

では、

7月9日(木) の続き



予告した田代岳の登山口までの出来事をば。
正直この日は田代岳登山そのものより、登山口までの出来事の方が記憶によく残っている。
写真は前回記事にて触れた田代岳登山道の道程表示板。
今回の記事とは関係なし。
長文になったので、終わるまでの長さの目安になるか、な。



早朝、大館の宿を出て、途中のコンビニで食糧調達し、時刻を見ると6時半。
スマホナビで調べてみると登山口まで34.7km、1時間56分かかると出た。
なんでこの距離でこんなに時間がかかるのだ?
走って行くと山に入り、まだまだ先はあるのに人家がなくなった。
少し悪い予感。
道はセンターラインはないが充分に広い。
がしかし、30分程走った頃に舗装が切れた。
またオフロードだ。
地図上細くはあったが、焼石岳の時の道ほどは細く無かったので、ここは舗装されてるだろうと思っていたが、甘かった。
なるほど時間がかかる訳だ。
オフロードではあるが道幅は広く、いたるところに新しい砂利が撒かれて、頻繁に整備されているよう。
少し安堵する。
焼石岳へのオフロードより気を使わずに走れるが、それでもスピードは出せない。
ガタゴトと進む。



すると後ろからオフローダーがすごい勢いでやってきた。
すごいと言っても自分と比べて速いだけで、普通の速度なんだろう。
道は広いので脇に避けて先に行ってもらう。
ハザードランプをもらって、砂埃を蹴立てて走り去るのを見送る。
やっぱり山遊びにはオフローダーが強いよな。
私も山で遊ぶことが多いんだから、最低地上高の高い車にした方がいいのかな。
なんて考えてガタゴトと走っているとまた後ろから、今度は2台やってきた。
ワンボックスタイプのと普通乗用車。
道を譲るとこちらもあっと言う間に見えなくなった。
見送る後ろ姿の車体が砂埃で真っ白だった。
走りっぷりといい、こんな山道を走り廻っているのだろう。
ワイルドだなー。



と走っているとまたまた後ろからやってきた。
今度は軽トラックだった。
道を譲り抜いていく運転席を見ると作業着姿のおっちゃんだった。
山を登るようには見えないので、林業関係のお仕事に向かうのだろうか。
しかし軽トラックに抜かれるとは。
一般道なら負けないぞ、と変なライバル心を燃やしながら見送る。
その後も軽トラックに普通車にと、合計7台に抜かされた。
田代岳って人気あるんだ。
途中、大広手登山口というもうひとつの登山口があり、そこには2台駐車していたが、抜いていった7台のいずれでもなかった。
もう少しで目的地の荒沢登山口という頃、行先の山の斜面に樹々に埋もれてなにやら大きな建物の屋根が見えた。
登山者も多いし、登山口は意外に整備されているようだ。



思ったより早く広い未舗装の駐車場が現れた。
でも一台も止まっていない。
登山口の駐車場ではないのかな。
トイレもあるがとても小さく、さっき見えた建物ではありえない。
小さな看板に、荒沢登山口この先100m(だったと思う)とある。
この先にも駐車場があるのだろうと進むと、あれれすぐそこに登山口があった。
駐車場はなし。
さっきの駐車場に止めてここまで歩く必要があったようだ。
バックで駐車場まで戻る。



はて??
するとあの7台の車はどこにいったのだ。
登山口の向こうにまだ道は続いているが、この向こうには他の登山口は無いはずだ。
別のなにかがあるのだろうか。
考えていたら例の建物の方からスピーカーでなにやら訴える声が大音量で空に響いた。
ななななんだ?
スピーカーの能力以上のボリュームにしているのか、声が割れて何を言っているのか分からない。
まるで◯翼の街宣車ががなり立てているようだ。
なんでこんな山の中で叫んでいるのだろう。
秘密の集会でも行なっているのだろうか、と怖くなった。
すぐ近くみたいだし、車を置いていって大丈夫だろうかと心配していたら、スピーカーから聞き覚えのある音楽が流れ出した。
んん?これは。
…ラジオ体操だ。
時計を見るとちょうど8時。
ははーん、これまで得てきた情報が頭の中で繋がっていく。



そういえば山のガイドブックで田代岳の登山口へのアクセス説明を読んだ時、ロケット燃焼試験場方面に行けと書いてあった。
宿からここまでそんな標識には気づかなかったのですっかり忘れていたが、途中に見えたあの屋根は試験場のものだったに違いない。
ガイドブックを読んだ時はもっと里に近い方にあって、横を通過するものだと思っていた。
途中抜いていったオフローダーは車体に◯菱重工のロゴと文字があった。
あの7台は試験場に通勤してたのね。
毎日あの道を走れば、そりゃ砂埃で白くなるってもんだ。
最初のスピーカー放送は始業前の連絡事項か、「今日も無事故で業務に励みましょう」的な朝の挨拶、そしてラジオ体操か。
合点。



しかしすごい砂埃というか土埃だ。
自分の車も側面、背面に細かな砂土が降り積もっている。
息を吹きかけるとブワッと舞い散るが、粒子が細か過ぎて全て吹き飛ぶ訳ではない。
ドアの隙間にも侵入してきていて、ドアを閉める度にバフッと砂埃が吹き出る。
また洗車せねば。
登山準備している内にラジオ体操も終わり、そのあとは何の音も聞こえなくなり、静寂な普通の山中に戻った。
安心して出発。



登山を終えて下山してきたら、登山口を出たところの道路にトラックが止まっており、おっちゃんが外に出てきた。
話したそうだったので挨拶すると、登山してきたのかと聞かれるのでそうだと答える。
山頂までかかる時間なんかをお話しして、ならばこちらもと施設の事を聞いてみた。
やはりロケットの燃焼試験をしているところだそう。
種子島で打ち上げるロケットのエンジンのテストをし、名古屋の工場に持って行って組み立てるのだそうだ。
なんでこんな不便な山奥で試験するのか?もう少し山の麓でもいいではないかと聞いてみると、規制があって周りに何もないところでないとテストできないらしい。
これだけ山奥でもエンジン点火すると麓までその音が届くそうな。
へえ、ロケット発射の映像はよく見るけど、どんな音がしてるかは現場にいないとわからないよな。
礼を言って駐車場に戻った。



なるほど、通勤路でもあるし物資も運ばねばならないから、オフロードながらもそれなりに整備されていたのね。
施設は見学できるような性格のものではないだろうから、覗きにいくことはせず、おとなしく引き上げた。
帰り道、オフロード区間の距離と時間を計ってみた。
約12km、私の運転で44分かかった。



湿気たっぷり

2015-08-12 23:00:06 |  東北 花の山旅+α
7月9日(木) 天気:晴れ時々曇り

田代岳に登る日。
頑張って5時に起床し、何をしてたのか6時を過ぎて出発した。
登山口に着くまでにひとつ記事にできる出来事があったのだが、それはまた別途。
8時前に荒沢登山口駐車場に到着、準備をして8時半に歩き始めた。
登山道はずっと深い森の中を歩く。
上り始めに沢の横を歩くが、そこを除けば眺めにほとんど変化はない。
山頂まで一合毎に大きな表示板が設置されていた。
何故か登山口が一合目になってたが…。
その数字が一つ一つ大きくなっていくのを見て、着実に進んでいるんだと自らを励まし歩く。

<林下の登山道>


登山道は湿気が高く、グチャグチャのぬたばが道の真ん中にたくさん現れるので辟易する。
ぬたばだと最初思っていたが、どうやら登山道に水が溜まり、そんな中を歩きたくないので登山者が縁を通り、登山道が広がり、水溜りが広がりして丸くできた、ただのぬかるみなだけのようだ。
とにかく湿り気たっぷりで、道横に堆積した枯葉の間に、ギンリョウソウの白がたくさん見られた。
ギンリョウソウ以外にほとんど花は見られず、比較する相手が悪いが、これまでの三山と比べ一番花が少ない。

<ギンリョウソウ>


<きのこ>


七合目を過ぎると樹高が低くなり、明るくなってきた。
九合目の表示板を過ぎると突然視界が開け、高層湿原が拡がった。
これまでと全く違う開放感あふれる景色で、最後の最後で変化の無かった林下からのこの転換は、なかなかに劇的である。
田代岳は花も期待していたが、お目当てはこの山上の湿原だった。
幾つもの池塘が水をたたえ空を写す。
よろしいなあ。
雲が多く、写る空が青空で無かったのが残念。
それでも上手く雲の切れ目を捉えた。

<開ける頭上>


<湿原へ>


<池塘>


<青空を写す>


山頂は湿原横の高まり。
ひと登りで到着した。
11時過ぎだった。
空気中も湿度が高いのか、山頂からの眺めは白く霞んで遠くは見えず。
山頂の神社前に座りお昼にした。
これまでの三日は涼しかったが、この日は日が照ると暑かった。
うわ、眠気がやってきた。
座ったまま少し眠る。

<山頂>


<湿原展望>




12時前に出発。
時間まで湿原を歩き、被写体を探す。
歩いてきた木道から二つ木道が分かれていたが、グルリと周回できる訳でなく、それぞれの登山口へと繋がっているだけのようだった。
ある程度歩いて引き返す事になった。
山上湿原はそれほど大きなものではなく、こじんまりとしたものだった。
苗場山なんかと比べると遥かに小さい。
それでも登山者が少ないところで、出会ったのは3パーティだけ。
静かに山に浸れる。
暑い日ではなく涼しい風が吹く時に、木道の片隅に座ってほけっとしたいところだ。

<ワタスゲ>


<チングルマ(果穂)>


<モウセンゴケ>


13時過ぎに下山開始。
下りはさくさく歩き、14時半に登山口着。

これにて今年の夏休みの登山予定は全て終了。
あー、終わっちゃった。
なのでその日は次の目的地への移動はなし。
夕刻明るい内に宿に到着できた。
前日と同じく大館に、少しゆっくりしようと食事付きの宿を予約していた。
お風呂に入って、美味しい夕食とお酒をいただいた。


次の旅への申し送り事項

2015-08-10 22:19:58 |  東北 花の山旅+α
にしこりくん、通算10勝目おめでとう。
得意のハードコートで、次はマスターズ優勝だ。
…記事は7月の夏休みの続き。

7月8日(水) 夕刻

翌日は秋田県の北の端にある田代岳を登る予定。
田代岳最寄りの町は大館市。
そこに宿を予約した。
当日8日に歩いた秋田駒ヶ岳は秋田県の中ほどにあるので、車で2~3時間移動せねばならない。

今回の山旅では行き帰りの移動日以外車中泊はせず、山に登った日は必ずホテルなどに宿泊した。
言い換えると、たくさん写真を撮って翌日もたくさん写真を撮る日は必ず宿を取らねばならなかった。
これまでなら山に登る前の日の、一日や二日は車中泊するところだ。
その方が早朝に登山口に着け、山中にいる時間を長くとれる。
今回は登ることより写真撮影することに重きを置いたので、カメラのバッテリーの充電という足枷がかけられてしまった。
山小屋では充電できないことがほとんどであることを知って、アルプス縦走のため昨年までにバッテリーを3個に増やした。
歩くのがメインであれば4~5日はこれで足りるが、撮影枚数が多くなると全くもたない。
昨年の南アルプス縦走では最後に泊まった大門沢小屋で充電できなければ、最終日の撮影に多大な影響がでただろう。
今回は昨年以上に撮るつもりだったから、宿での充電は毎晩必須と思っていた。
しかし、焼石岳で山頂を踏まずに後悔したことから、以降三つの山では見所はできるだけ回るようにしたので、歩行距離つまり歩行時間がほとんどを占め、結果的に撮影枚数は伸びず。
これなら2日分ならなんとか充電無しで足りそうだ。
次回からは麓でずっと撮影するのでなければ、二日に一度は車中泊して山中で過ごす時間を増やすことも考えてみよう。



大館までの国道105号は空き空きだったので、予定時刻より早く宿に着けた。


周遊して楽しむ山

2015-08-07 00:32:19 |  東北 花の山旅+α
7月8日(水) 天気:薄曇り

秋田駒ヶ岳に登る日。
だんだん朝早く起きるのが難しくなってきた。
宿を6:40 出発。
秋田駒ヶ岳は八合目まで車道が通じ、そこから登るのが一般的。
ここも人気の山。
なので平日も日中はマイカー乗り入れ禁止である。
麓にある「アルパこまくさ」というビジター施設から八合目までバスで入る。

7時半、アルパこまくさ着。
お、バスが止まってる。
出発時刻を調べず来たけど何時発かな。
広い駐車場に車を止め、急いで支度してバス停へ。
7時台は7:42発だった。
図ったようにピッタリの時刻。
ラッキー。

八合目への道はとても細くクネクネと曲がっていて、こんなとこバスが通れるのかと心配になる道だ。
しかも道の真ん中が盛り上がって平らで無いのでバスが揺れる揺れる。
乗り物には強いつもりだが、これだけ頭をシェイクされると酔いそうだ。
それでも運転手さんは流石で、なんでもない道の様につかえる事なくするすると上って行く。
途中反対側から来るバスと離合する場所があり、下りのバスが待っていた。
ケーブルカーみたいだ。
8:07 八合目着。



八合目には山小屋がある。
宿泊はできなさそうだ。
帰りのバスの時刻を確認しておこう。
13:30 14:05 14:40 15:15 16:25。
山小屋の貼り紙の表示はこれだけだったが、実際にはもうひとつ遅い時刻のバスがあったみたいだ。
トイレを借りて、8時半に歩き出した。
天気は薄曇り。







秋田駒ヶ岳は複数の噴火口の集合体である火山だ。
カルデラもある。
狭い範囲にピークが幾つもあり、それぞれに名前がつけられている。
男女岳(おなめだけ)、男岳(おだけ)、女岳(めだけ)、小岳に横岳。
これらを見て回るのが標準コース。





ここには10年くらい前に一度来た事がある。
その時は秋田駒ヶ岳から湯森山、笊森山、千沼ヶ原、乳頭山を経て乳頭温泉郷に下る縦走ルートを歩いた。
距離があるので秋田駒ヶ岳は阿弥陀池を見て横岳に登っただけで、ほぼ通過したも同然。
8月だったと思うが、下山した乳頭温泉郷から車を置いたアルパこまくさまでのバスで運転手さんと話す機会があり、登るお薦め時期を聞いた。
やっぱり7月だね、花でいっぱいだよ、との回答だった。
7月って雨の時期ではないかと聞くと、そうでもないよとおっしゃる。
それが頭に残っていて今回の山旅につながる。
今回は秋田駒ヶ岳だけを歩く。







10時前に阿弥陀池に到着。
ここから男女岳山頂を往復する。
池の周りにも花は咲いていたが、男女岳への道でその密度が突然濃くなった。
あ、見たことない花発見。
ツツジみたいだが地べたに花を咲かせてる。
なんだろう。
こういう小さくて頭でっかちな花に私は弱い。
足が止まってしまった。





後でエゾツツジという名だと知る。
草ではなく木だそうだ。
ここの土壌は礫質だが粒は小さいので斜面には低木や草が覆い花が咲き、その様はお花畑と言うにふさわしい。
コースタイム20分の山頂まで1時間20分も使ってしまった。
撮影に時間をかけ過ぎ。
後の行程が苦しくなった。





男女岳山頂からの眺めは前日ほどスッキリとはしていないが、まずまずの見晴らし。
山頂だけ風が吹いていて寒い。
シャツを取り出して着込み、岩陰でお昼にした。



男女岳を下り、今回一番の目的地である大焼砂を目指す。
八合目のバス停から一番遠いところにある。
最終のバスに間に合うよう帰るには撮影時間はあと何時間?何分?取れるのか計算しながら歩く。





男岳と横岳をつなぐカルデラ外輪山を越えてカルデラ内へと降りて行く。
なかなかの急傾斜で足元に気を使うが、草で覆われているためか険しさは感じない。
火口原に下るとそこにはチングルマを主とするお花畑が広がっていた。
これはすごいな。
同じ標高で日当たりにも違いはなさそうだが、既に果穂になったところとまだ白い花を咲かせているところがあった。
果穂になった割合の方が多く、チングルマの花期は終わりかけだった。
中に濃密に果穂が覆う一帯があった。
これは花咲く時期に見たら壮観だったろう。
当然ここでも足が止まる。









14時、ようやく大焼砂に到着。
ここでのお目当てはコマクサ。
一面ピンク色の大群落が見られるとか。
緑の火口原から焦げ茶色の外輪山へと上る。
お、いたいた。
ポツリポツリと緑白色の葉っぱの上に赤紫色した馬面の花が現れだした。
うーん、やっぱり黒っぽい砂礫の上に咲いてると映えるなあ。
しかしなんでこんな荒涼とした土壌で生きていくことができるのだろう。







この砂礫、厚く降り積もっていて歩くと足を取られる。
だいぶ上らねばならないが、砂浜を走ってるかのように力を削がれる。
苦闘して上るうちに徐々に花の数が増えていった。
やがて斜面はコマクサで覆われた。
おー、すばらしい。
ただ土壌は緑が増え白っぽい石も混じり出し、地面があまり黒くなく少し残念。



ここ大焼砂は6月中下旬にはタカネスミレで覆われ黄色に染まるらしい。
その頃にもう一度来て、先ほどのチングルマの群落と合わせ見てみたいものだ。
6月に長い休みを取るのは難しそうだから、隠居してからになるかな。
コマクサが少なくなったのでガンガン歩いた。
15時、横岳を通過。
ほっ、取り返したぞ。
この時間なら充分バスに間に合う。



そして最後のピーク、焼森。
眺めを楽しんで山に別れを告げ、シャクナゲコースを八合目へ下った。


涼風求む

2015-08-03 21:32:31 | Weblog
去年の夏は天候不順だった気がするが、今年は連日日照時間がたっぷりだ。
最近の天気図の平らなことと言ったらない。
日本列島上に等圧線が1本かかるかどうかって日が続いている。
お陰様で夜の寝苦しいこと。
熱帯夜でも部屋に風が入ればマシなのだが、毎晩ほとんど風は死んでいる。

おまけに建物の蓄熱具合が半端なく、夜帰宅して蛇口をひねり水を出したら熱い湯が出てきたってのは例年の事だが、今年は一晩置いた翌朝にまだ熱い湯が出てくる。
こんなことは初めてだ。
水を少し出し続けても生ぬるくなるだけ。
朝食に食べるトマトを冷蔵庫から取り出し切る前に洗うのだが、その水で表皮が少し温まる気がする。
そんな温室内にいるので、25℃以上だろうと屋外から風が入るととても涼しく感じる。

続く暑さに身体がついていけなくなってきたのか、これまで活動的に過ごしてきた週末はなにもせず、「ほけっ」 としたいと思うようになった。
睡眠不足もあるのだろう。
でもしばらく週末は予定でいっぱい。
睡眠はしっかり遊ぶため になくてはいけない休息だ。
今晩は風が入りますように。