「16~」
「16~」
「16~」
「16~」
時刻は夜10時30分。
学習時間終了の時刻である。
1棟16室の窓を開けて返事をする。
「はい~」
「こ○○○○~、すぐおいで~」
トレーニングの時間である。
2棟(2年生の棟)へ移動した。
T先輩がいらっしゃった。
T先輩「お前は足腰が弱いだけでなく、腕の力もなさそうだな。」
ゆきたんく「はい・・・」
T先輩「今日は特別な筋トレね。腕が弱いからな。」
ゆきたんく「はい・・・」
T先輩「いいか、俺が肩の高さにバスケットボールを持つ。そして床に落とす。ボールは弾む。ボールが止まるまで腕立て伏せで腕を曲げているんだ。」
ゆきたんく「はい・・・」
T先輩「そしてボールが止まった瞬間に体を上げるんだ。やってみろ。」
ゆきたんく「はい・・・」
やってみた。
ボールは床に落ちて、徐々に弾む間隔が短くなっていく。
トーーーン、トーーン、トーーン、トーーン、トーン、トーン、トーン、トン、トン、トトトトトト・・・・
すごーーーーーく、時間が長く感じられた。
よし止まった。
しかし腕を立てようとしても、なかなか上がらない。
T先輩「まだ上げちゃだめだよ。ボールが動いているぞ。」
ボールは弾みは止まったが、床を転がり始めた。
それが止まるまでずっと腕を曲げているのだ。
T先輩「よし、上げるんだ。」
上がる訳がない。
結局、その夜の30分で3回挑戦されられた。
1回もできなかった。
そんなに何回もやらされた訳ではない。
しかし、自分のとっては強烈だった。
ずっと記憶に残っている。
その後、大学に進学した後自分でやっみた。
高校1年生当時はスポーツ未経験者に近い軟弱な体であった。
卒業時には陸上競技を始めて、がっちりした体になっていた。
さて、大学のトレーニングでは120㎏のベンチプレスを10回挙げられるようになっていた。
体力に自信があった。
高校当時を思い出して体育館に誰もいない時にやってみた。
自分でボールを肩の高さから落として、腕立て伏せの伏せの体勢になる。
ボールが静止するまで耐える。
結果は1回だけできた。
必死になって頑張ってである。
相当な負荷のかかるトレーニングだったことを知った。
新日本プロレスでのトレーニングに、トランプを重ねて1枚ずつめくり、出た目の数だけ腕立て伏せをするというのがある。そのトランプを全部めくるまでだ。
トレーニングは単純でも考え方・やり方で負荷が変わるものなんだと思った。