ゆきたんくは鉄ちゃんだった。
昔は電車の運転手になりたかった。
親父に無理を言って、田園都市線(昔は大井町からつくし野まで走っていた。)に乗って
運転席にかぶりつき、行き1時間、帰り1時間、計2時間の旅を楽しんだ。
景色なんか見ちゃあいない。
運転席の一挙手一投足をみているのである。
もちろん、5歳児には理屈などは分からない。
運転操作の真似事をして楽しんでいるだけだ。
家にはカラー図鑑があった。
その第6巻と第18巻はボロボロになるまで見た。
第6巻は「天文と気象」、第18巻「交通」だ。
その「交通」図鑑で見たものを実際に見たくて、母親には交通博物館に連れて行ってもらった。
・・・
なんでいつも両親が揃っていないのだろうと思ったことがある。
まあ、いずれ・・・
その「交通」図鑑に載っているものの中で、おいそれとは乗れないのだが、気になった車両があった。
イタリア特急セッテベロだ。
セッテベロ ネットから拝借
この先頭車両からの景色か、運転席からの景色を見ることが子供ながらの夢であった。
ただ、それは未だに叶っていないし、これからも叶うことはない。
そしてイタリア特急としての役目は終わり、車両も解体された。
復元された車両が存在するが、それはもう幹線を走ってはいない。
別に車両にその思いを託す時がやってきた。
今年の8月8日午後6時。
フランクフルト駅で見たICEだ。
InterCity Expressの頭文字をとってICE。
1回で覚えられる名前だ。
InterCity Expressだ。
フランクフルトからお目当てのケルンまで、ライン川に沿って走るコースで約2時間。
川沿いに立ち並ぶ歴史的建築や船を目にしながら、窓観光を楽しんだゆきたんくである。
席の扱いもどこに座っても良いのが魅力である。
指定席券を持っていなくても、その座席の客が車では座っていても良いのである。
改札もなく、車内での検閲のみ。
ただ乗りができるかもしれない・・・
ライン川沿いに広がる景色・・・
通路を挟んだ隣の座席に金髪の若い女性が座ってにこにこしている。
何かしら話しかけようと、一瞬思ったがドイツ語がよく分からない。
片言英語ではどうだ・・・
と思い、いくつかの話題を考えた。
「よしっ」と思って隣をみたらあどけない顔で寝ていた。
まだ日本の中学生くらいかもしれない。
まっ、いろいろあるさ。