夢逢人かりそめ草紙          

定年退職後、身過ぎ世過ぎの年金生活。
過ぎし年の心の宝物、或いは日常生活のあふれる思いを
真摯に、ときには楽しく投稿

沖縄戦;日系二世、敵は同級生だった・・。 ②

2005-06-22 15:45:47 | 時事【社会】
ミノル・テルヤさん(80歳)も、ハワイ生まれの日系二世・米国人だ。
『日本の心を学ばせたい』という沖縄生まれの祖父と共に、
10歳の時、那覇のそばに移り住んだ。
『当時の私は、二重国籍だった』

中学校の教室で、真珠湾攻撃の一報を聞き、
わきかえる級友達をよそに、
ハワイの家族を気遣った。

『日本が戦争に勝ったら、ハワイに帰れる』
そう信じたから、18歳の時、日本海軍に入隊し、
滋賀海軍航空隊などを経て、横須賀の基地にあった特殊潜航艇部隊に所属した。
沖縄の戦況が、いつも気になった。

『ハワイを攻撃したのは日本人で、
沖縄を焦土させているのは米国人。
何故、二つの故郷が戦火に遭わなければならないのか。
両国の血を持つ私は、この先どうしたらいいのか』

たが、沖縄に出撃することなく、横須賀で玉音放送を聞いた。


かって、沖縄からは、多くの人が国外に新天地を求めて船出した。
沖縄の資料によると、1940年の時点で、
ハワイには約1万3000人の沖縄出身者がいた。

正反対の道を歩んだヒガさんとテルヤさん。
戦後、ハワイに戻り、ヒガさんは米財務省の所得税調査官。
テルヤさんは、物産関係の仕事に励んだ。
今、二人ともオアフ島の郊外で、静かに暮らす。
互いの面識はないが、願いは同じだ。
『愛する沖縄で、悪夢が繰り返されてはならない』


第二次大戦中、日本が唯一、住民を巻き込んだ地上戦が繰り広げられた沖縄。
亜熱帯のリゾートとして、多くの人々が訪れる『美(ちゅ)ら島』には、
60年を経ても、なお、深い悲しみと傷跡が残る。

以上が記事の全文である。


☆私のコメント☆

戦争とは、かくも残酷に人々を翻弄させる。
戦争の知らない我々の世代も目を見開き、
逃げることなく過去の歴史の真実を認識しなければならない。

何よりに重要な事は、過去の歴史を教訓に、
今後の政治・外交・軍事・経済の諸問題に生かせなければ、
多大に亡くなった方は浮ばれない・・。

外交が破綻した時、最悪の戦争となるので、
粘り強い外交の手腕も必要不可欠である。
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沖縄戦;日系二世、敵は同級生だった・・。 ①

2005-06-22 13:23:01 | 時事【社会】
一昨日の読売新聞の特集記事が、私の脳裏にいまだに残っている・・。
『戦後60年 6.23 沖縄戦終結』である。
転記させて頂きます。

降り注ぐ砲弾が『鉄の暴風』と形容された激戦は、
終結の時を迎えようとしていた。
60年前の1945年6月20日、沖縄本島。
首里(那覇市)近くの芋畑に、
ぼろぼろの作業着をましった二人の男がひざまずいていた。
島の南部・摩文仁近くの壕(ごう)に立てこもっていた所を発見され、
連行されてきた日本兵だった。

米軍の特務軍曹として、日本語通訳をしていたタケジロウ・ヒガさん(82歳)は、
二人の聴取を始めた。
氏名、生年月日、出身地・・・。
彼等が、自分の小学校の同級生だと気付くまでに、
時間はかからなかった。

日系二世・米国人のヒガさんは、
ハワイで生まれて間もなく、一族の故郷の沖縄に移った。
16歳まで暮らし、開戦二年前の1939年、ハワイに戻り、
米軍に入隊した。
『真珠湾攻撃以降、日系人に対する風当たりは強くなるばかりだった。
多くの人が収容所に放り込まれた。
米国市民としての務めを果たしたかったから、米軍に志願した』

フィリピンを経て、沖縄に上陸したのは、1945年4月1日の朝だった。
幼い頃、泳いだ北谷に近い海岸からだったが、
記憶にある景色とは程遠かった。

砲弾が落ちた山は、茶色の地肌をむき出しにし、
丸焼けの農家が点在する。
道には、死んだ家畜が転がっていた。
歩きながら、涙があふれて仕方がなかった。

『沖縄だけには、行きたくなかった。
古里の土を、銃を携えて踏む気持ちが分りますか
しかも、沖縄の人々の敵として』


ヒガさんは、戸惑いながらも、思わぬ形での
旧友との再会に弾む心が抑えられなかった。
恐怖に顔をゆがませる二人。
『君達は、目の前に同級生がいるというのに、
気がつかないのか』
こらえきれずに、叫んだ。

我に返ったように、二人がヒガさんの顔を見上げた。
泥だらけのほおを涙が伝っていた。

『ハワイに戻っていなければ、
彼等は、私自身の姿だったかもしれない。
あの時は、立場を超え、抱き合って大声で泣きました』

二人のその後の消息を、ヒガさんは知らない。


《続く》
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