夢逢人かりそめ草紙          

定年退職後、身過ぎ世過ぎの年金生活。
過ぎし年の心の宝物、或いは日常生活のあふれる思いを
真摯に、ときには楽しく投稿

思わず、『黄砂に吹かれて』を心の中で唄えば・・♪

2008-11-21 16:59:02 | 音 楽
東京の郊外は、今朝は秋として一番の寒さとなり、
雨戸を開けていた時、屋根に霜(しも)がうっすらとなっていた。

朝の穏(おだ)やかな陽射しを見つめ、早くも初冬かしら、
と思ったりした。

地元の天気情報に寄れば、
朝方は1度の寒さとなりましたが、
日中は平年並みの14度前後となり、快晴の1日となります、
と報じていた。

私は日中、買物、散策をしていた時、
朱紅色、紅色、黄色に色合いを深めた落葉樹を眺め、
早くも舞い散る情景に寄せたりしながら、
歩いたりしていたのであるが、ときおり吹き風は冷たく感じた・・。
この時、突然に私の心は、

♪黄砂に吹かれて 聴こえる歌は
 忘れたくて忘れた 失くしたくて失くした

【『黄砂に吹かれて』 作詞・中島みゆき 作曲・後藤次利 】

心の中で唄いだしたのである・・。

私は立ち止まり、煙草と取り出して、火を点けて、
喫いながら、

♪眠りを破って 聴こえる歌は
 わかっているつもりの 紛らせてるつもりの
 ひとつだけの歌

【『黄砂に吹かれて』 作詞・中島みゆき 作曲・後藤次利 】

と心の中で唄っていたら、
私は平成の初めの頃が甦(よみがえ)ってきた・・。


あの頃は、私は中島みゆきに熱中して、
会社から帰宅し、夜のひととき殆ど毎日聴き続けていた。

私のこの頃の熱い心情は,
後年の2005年8月18日に於いて、
【中島みゆき様との出会い・・♪】と題して、6回に及び綴っている。

この中の一部を幼い綴りで恥ずかしいのであるが、再掲載する。

【・・
誰しも本、映画、音楽等で、ふとしたきっかけで、
その作者にのめり込むことがあると思う。

私も音楽に於いて、ひとりのアーティストの出会いもそのような形であった。


昭和天皇が崩御された直後、年号の変更、消費税の対応などで、
私はシステム改定に追われ、ハードな日々が続いていた・・。

ある日曜日、昼過ぎまで寝過してしまい、パジャマ姿でぐったりしていた。
そして足早に過ぎていく、夕陽を見ていた・・。
頂いたカセット・テープを何気なしかけた。
そして、何曲目から、

♪エレーン
  生きていてもいいですかと 誰も問いたい
 エレーン
  その答を誰もが知っているから 誰も問えない

【『エレーン』作詞、作曲・中島みゆき 】


私は涙があふれてきた・・。

そして、この『エレーン』の曲こそが、中島みゆきとの出会いであった。

頂いたカセット・テープは、勤務しているレコード会社で発売した、
倉本聰・作・監督の『時計』で、
このサントラの14曲の中の一曲に、この『エレーン』が入っていたのである。

中島みゆきの名前は、勤務先でアイドル歌手用に
何曲か作詞・作曲をして頂き、ヒットしましたが、
私からみれば、時代を感知する感性が鋭く才能のある人、程度だった・・。

♪記念にください ボタンをひとつ

【『春なのに』作詞、作曲・中島みゆき 】


『時代』、『わかれのうた』、『悪女』にしても、
何事もなく私の心は通りすぎて行った・・。

きっかけを作って頂いた、倉本聰・氏には感謝しながら、
改めて、人生は不思議なものだ、と改めて思った。


《略・・この頃の私は40代の初めてあったが、
中島みゆきに熱中し、アルバムのカセット、そしてCDを買い集めて、
4年間ばかり殆ど毎晩聴き、
そして随筆の本も殆ど読んだりして、過ごした熱中時代でもあり、
この後は、平常心となり、現在はときおり聴いたりしている。

そして、この間に『夜会』のコンサートを観たりした。》


その年(平成元年)の11月、業界の注目の中で、『夜会』が公演された。

公演場所は、渋谷の東急文化村のシアターコクーンに於いて、
音楽と演劇を融合した形で行なわれると発表されていたので、
業界の内外の各専門家の間にも、無視できないような空気につつまれていた。

前売りの予約は好調と報じられていた。

予約も取れず、キャンセル待ちにわずかな望みを託して、
退社後、渋谷に行く。

文化村に近づくと、花屋から『歌姫』が流れて聴こえてきた。

♪握りこぶしの中にあるように見せた夢を
 もう2年 もう10年 忘れすてるまで

【『歌姫』 作詞、作曲・中島みゆき 】


路上では、高校生らしい女の子の三人が、
『黄砂に吹かれて』を大きな声で歌っていた・・。

♪黄砂に吹かれて 聴こえる歌は
 忘れたくて忘れた 失くしたくて失くした

【『黄砂に吹かれて』 作詞・中島みゆき 作曲・後藤次利 】

街は、中島みゆき、に染まっていた・・。


キップ売り場の窓口で、
『この公演の最終日まで完売でして・・
キャンセル待ちをされても・・
ダメだと思いますが・・』
と言われて、やはりね、と公演場所を後にした。

まもなく路上で、男と女の二人に囲まれた。
『兄さん、キップ欲しいだろう・・』
と私に30前後の男が云った。

『いくら・・』
と私は、乾いた声で答えた。

倍額程度まで覚悟していたが、相手方は3倍を超す値段だった。
『こんな公演にしたら、安いよ。
考えている場合じゃねえょ・・
兄さんさ、うかうかしていると、公演が始まっちゃうよ・・』
と追い討ちをかけてきた。

あきらめた・・。

歩き始めると、背後から声がした。
『お買い得だょ!!』
振り向くと、若い男女のペアが購入していた。

肩を落とし、『歌姫』の聴こえてくる街を抜け、
渋谷の駅に向かった。

そして私は、中年は何かとお金がいるし・・家に帰って酒を呑もう、と思った。


翌年、平成2年はコンサートのキップを手に入れる方法を模索した。
雑誌『ぴあ』等で検討した結果、ファンクラブに入会した。

10月頃だった、と思う。
第2回の『夜会』を申し込んだ。

抽選の結果、念願のキップを手に入れた。
最近は、行いが良かった、と思ったりした。

・・

公演日は。平成2年11月29日の木曜日だった。
開場は7時15分、そして開演は8時だった。
会社の業務スケジュールは、出来る限り前倒しした後、午後は半休とした。

ゆったりとした気持ちで観賞致したく、3時過ぎに文化村に着いた。
蕎麦屋に入り、ざるそばで軽食とした。

開場後、豪華なパンフレットを購入した後、
レストランがあったので、
ボージョレー・ヌーボーのボスターが見えたので呑んだ。
これがワインの新酒か、と思いながら、フルーティな味であり、
ちょっと失望したが・・。

ときたまワインを呑む時は、辛口で深い味の方が好きであったが、
昨年の惨めさを思い浮かべ、
やはり仕事と同様に、何事も事前準備だ、
とひとり幸せをかみ締めながら、もう一杯を注文した。

公演は、船のデッキから始まった・・。
ステージと客の距離が近くて、最初は戸惑ったが、
演出全般は予想以上だった。
それぞれの一流の方達が繰り広げる展開は、 官能性もある、と思った。

曲目は、
『二隻の舟』
『彼女によろしく』
『ミルク』
『流浪の歌』
『窓ガラス』
『うそつきは好きよ』
『元気ですか』
『クレンジング クリーム』
『月の赤ん坊』
『断崖~親愛なる者へ』
『孤独の肖像』
『強がりはよせヨ』
『北の国の習い』
『ショウ・タイム』
『Maybe』
『ふたりは』

個人的には、『ふたりは』は、相当に聴き込んだ名曲であるが、
『Maybe』は、大好きな曲のひとつで、働く女性の応援歌・・
初めて聴いた時、そんな思いがした。

帰りに記念として、『夜会』と記されたテレフォンカードを購入した後、
足取りは軽く、駅に向かった・・。
・・


このように中島みゆき・女史に熱中していた時代が
思い出されたのである・・。


♪あなたに似ている人もいるのに
 あなたよりやさしい男も
 砂の数よりるのにね

【『黄砂に吹かれて』 作詞・中島みゆき 作曲・後藤次利 】


私は心の中で唄いながら、みゆきちゃん・・どうされているのかしら、
と朱紅色、黄色の葉が舞いながら落ちていく光景に重ねたりしたのである。



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思わず、微笑させられる名コピーは・・♪

2008-11-21 07:48:40 | 読書、小説・随筆
私は日頃、新聞、雑誌などで、企業宣伝用の広告を見たり、
読んだりするのが好きである。
その企業の商品などを凝縮した上で、
さりげなく読ませられるのが最も好感したりしている。

昨日の深夜、布団の中で中間小説の月刊誌『小説新潮』を読んでいたのであるが、
特集として、鉄道百景がある。
この中で、鉄道紀行作家・酒井順子・女史が『こだま号の女』と題し、
東京から博多までをこだまを乗り継いでスロー旅の紀行文である・・。

この綴りの中で、豊橋に停車した後、三河安城を過ぎると、

《 なくしてわかるありがたさ 親と健康とセロテープ 》

とセロテープを製造されているニチバンの工場に巨大な看板が観える、
と綴られて折、
私は読んで、数秒後に微笑させられたのである。

人生の苦楽をさりげなく込められたコピー文・・
巧(うま)いなぁ、と感心し、まぎれなく名コピーと思ったのである。

そして、社内の企業コピーの応募コンクールに於いて、
この工場に勤めいる人生の苦楽が解かりはじめた男性社員の発想かしら、
その上で、感性のある会社の首脳部のひとりが、認定されたのかしら、
と思ったりしたのである。


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