東京の郊外は、今朝は秋として一番の寒さとなり、
雨戸を開けていた時、屋根に霜(しも)がうっすらとなっていた。
朝の穏(おだ)やかな陽射しを見つめ、早くも初冬かしら、
と思ったりした。
地元の天気情報に寄れば、
朝方は1度の寒さとなりましたが、
日中は平年並みの14度前後となり、快晴の1日となります、
と報じていた。
私は日中、買物、散策をしていた時、
朱紅色、紅色、黄色に色合いを深めた落葉樹を眺め、
早くも舞い散る情景に寄せたりしながら、
歩いたりしていたのであるが、ときおり吹き風は冷たく感じた・・。
この時、突然に私の心は、
♪黄砂に吹かれて 聴こえる歌は
忘れたくて忘れた 失くしたくて失くした
【『黄砂に吹かれて』 作詞・中島みゆき 作曲・後藤次利 】
心の中で唄いだしたのである・・。
私は立ち止まり、煙草と取り出して、火を点けて、
喫いながら、
♪眠りを破って 聴こえる歌は
わかっているつもりの 紛らせてるつもりの
ひとつだけの歌
【『黄砂に吹かれて』 作詞・中島みゆき 作曲・後藤次利 】
と心の中で唄っていたら、
私は平成の初めの頃が甦(よみがえ)ってきた・・。
あの頃は、私は中島みゆきに熱中して、
会社から帰宅し、夜のひととき殆ど毎日聴き続けていた。
私のこの頃の熱い心情は,
後年の2005年8月18日に於いて、
【中島みゆき様との出会い・・♪】と題して、6回に及び綴っている。
この中の一部を幼い綴りで恥ずかしいのであるが、再掲載する。
【・・
誰しも本、映画、音楽等で、ふとしたきっかけで、
その作者にのめり込むことがあると思う。
私も音楽に於いて、ひとりのアーティストの出会いもそのような形であった。
昭和天皇が崩御された直後、年号の変更、消費税の対応などで、
私はシステム改定に追われ、ハードな日々が続いていた・・。
ある日曜日、昼過ぎまで寝過してしまい、パジャマ姿でぐったりしていた。
そして足早に過ぎていく、夕陽を見ていた・・。
頂いたカセット・テープを何気なしかけた。
そして、何曲目から、
♪エレーン
生きていてもいいですかと 誰も問いたい
エレーン
その答を誰もが知っているから 誰も問えない
【『エレーン』作詞、作曲・中島みゆき 】
私は涙があふれてきた・・。
そして、この『エレーン』の曲こそが、中島みゆきとの出会いであった。
頂いたカセット・テープは、勤務しているレコード会社で発売した、
倉本聰・作・監督の『時計』で、
このサントラの14曲の中の一曲に、この『エレーン』が入っていたのである。
中島みゆきの名前は、勤務先でアイドル歌手用に
何曲か作詞・作曲をして頂き、ヒットしましたが、
私からみれば、時代を感知する感性が鋭く才能のある人、程度だった・・。
♪記念にください ボタンをひとつ
【『春なのに』作詞、作曲・中島みゆき 】
『時代』、『わかれのうた』、『悪女』にしても、
何事もなく私の心は通りすぎて行った・・。
きっかけを作って頂いた、倉本聰・氏には感謝しながら、
改めて、人生は不思議なものだ、と改めて思った。
《略・・この頃の私は40代の初めてあったが、
中島みゆきに熱中し、アルバムのカセット、そしてCDを買い集めて、
4年間ばかり殆ど毎晩聴き、
そして随筆の本も殆ど読んだりして、過ごした熱中時代でもあり、
この後は、平常心となり、現在はときおり聴いたりしている。
そして、この間に『夜会』のコンサートを観たりした。》
その年(平成元年)の11月、業界の注目の中で、『夜会』が公演された。
公演場所は、渋谷の東急文化村のシアターコクーンに於いて、
音楽と演劇を融合した形で行なわれると発表されていたので、
業界の内外の各専門家の間にも、無視できないような空気につつまれていた。
前売りの予約は好調と報じられていた。
予約も取れず、キャンセル待ちにわずかな望みを託して、
退社後、渋谷に行く。
文化村に近づくと、花屋から『歌姫』が流れて聴こえてきた。
♪握りこぶしの中にあるように見せた夢を
もう2年 もう10年 忘れすてるまで
【『歌姫』 作詞、作曲・中島みゆき 】
路上では、高校生らしい女の子の三人が、
『黄砂に吹かれて』を大きな声で歌っていた・・。
♪黄砂に吹かれて 聴こえる歌は
忘れたくて忘れた 失くしたくて失くした
【『黄砂に吹かれて』 作詞・中島みゆき 作曲・後藤次利 】
街は、中島みゆき、に染まっていた・・。
キップ売り場の窓口で、
『この公演の最終日まで完売でして・・
キャンセル待ちをされても・・
ダメだと思いますが・・』
と言われて、やはりね、と公演場所を後にした。
まもなく路上で、男と女の二人に囲まれた。
『兄さん、キップ欲しいだろう・・』
と私に30前後の男が云った。
『いくら・・』
と私は、乾いた声で答えた。
倍額程度まで覚悟していたが、相手方は3倍を超す値段だった。
『こんな公演にしたら、安いよ。
考えている場合じゃねえょ・・
兄さんさ、うかうかしていると、公演が始まっちゃうよ・・』
と追い討ちをかけてきた。
あきらめた・・。
歩き始めると、背後から声がした。
『お買い得だょ!!』
振り向くと、若い男女のペアが購入していた。
肩を落とし、『歌姫』の聴こえてくる街を抜け、
渋谷の駅に向かった。
そして私は、中年は何かとお金がいるし・・家に帰って酒を呑もう、と思った。
翌年、平成2年はコンサートのキップを手に入れる方法を模索した。
雑誌『ぴあ』等で検討した結果、ファンクラブに入会した。
10月頃だった、と思う。
第2回の『夜会』を申し込んだ。
抽選の結果、念願のキップを手に入れた。
最近は、行いが良かった、と思ったりした。
・・
公演日は。平成2年11月29日の木曜日だった。
開場は7時15分、そして開演は8時だった。
会社の業務スケジュールは、出来る限り前倒しした後、午後は半休とした。
ゆったりとした気持ちで観賞致したく、3時過ぎに文化村に着いた。
蕎麦屋に入り、ざるそばで軽食とした。
開場後、豪華なパンフレットを購入した後、
レストランがあったので、
ボージョレー・ヌーボーのボスターが見えたので呑んだ。
これがワインの新酒か、と思いながら、フルーティな味であり、
ちょっと失望したが・・。
ときたまワインを呑む時は、辛口で深い味の方が好きであったが、
昨年の惨めさを思い浮かべ、
やはり仕事と同様に、何事も事前準備だ、
とひとり幸せをかみ締めながら、もう一杯を注文した。
公演は、船のデッキから始まった・・。
ステージと客の距離が近くて、最初は戸惑ったが、
演出全般は予想以上だった。
それぞれの一流の方達が繰り広げる展開は、 官能性もある、と思った。
曲目は、
『二隻の舟』
『彼女によろしく』
『ミルク』
『流浪の歌』
『窓ガラス』
『うそつきは好きよ』
『元気ですか』
『クレンジング クリーム』
『月の赤ん坊』
『断崖~親愛なる者へ』
『孤独の肖像』
『強がりはよせヨ』
『北の国の習い』
『ショウ・タイム』
『Maybe』
『ふたりは』
個人的には、『ふたりは』は、相当に聴き込んだ名曲であるが、
『Maybe』は、大好きな曲のひとつで、働く女性の応援歌・・
初めて聴いた時、そんな思いがした。
帰りに記念として、『夜会』と記されたテレフォンカードを購入した後、
足取りは軽く、駅に向かった・・。
・・
】
このように中島みゆき・女史に熱中していた時代が
思い出されたのである・・。
♪あなたに似ている人もいるのに
あなたよりやさしい男も
砂の数よりるのにね
【『黄砂に吹かれて』 作詞・中島みゆき 作曲・後藤次利 】
私は心の中で唄いながら、みゆきちゃん・・どうされているのかしら、
と朱紅色、黄色の葉が舞いながら落ちていく光景に重ねたりしたのである。
雨戸を開けていた時、屋根に霜(しも)がうっすらとなっていた。
朝の穏(おだ)やかな陽射しを見つめ、早くも初冬かしら、
と思ったりした。
地元の天気情報に寄れば、
朝方は1度の寒さとなりましたが、
日中は平年並みの14度前後となり、快晴の1日となります、
と報じていた。
私は日中、買物、散策をしていた時、
朱紅色、紅色、黄色に色合いを深めた落葉樹を眺め、
早くも舞い散る情景に寄せたりしながら、
歩いたりしていたのであるが、ときおり吹き風は冷たく感じた・・。
この時、突然に私の心は、
♪黄砂に吹かれて 聴こえる歌は
忘れたくて忘れた 失くしたくて失くした
【『黄砂に吹かれて』 作詞・中島みゆき 作曲・後藤次利 】
心の中で唄いだしたのである・・。
私は立ち止まり、煙草と取り出して、火を点けて、
喫いながら、
♪眠りを破って 聴こえる歌は
わかっているつもりの 紛らせてるつもりの
ひとつだけの歌
【『黄砂に吹かれて』 作詞・中島みゆき 作曲・後藤次利 】
と心の中で唄っていたら、
私は平成の初めの頃が甦(よみがえ)ってきた・・。
あの頃は、私は中島みゆきに熱中して、
会社から帰宅し、夜のひととき殆ど毎日聴き続けていた。
私のこの頃の熱い心情は,
後年の2005年8月18日に於いて、
【中島みゆき様との出会い・・♪】と題して、6回に及び綴っている。
この中の一部を幼い綴りで恥ずかしいのであるが、再掲載する。
【・・
誰しも本、映画、音楽等で、ふとしたきっかけで、
その作者にのめり込むことがあると思う。
私も音楽に於いて、ひとりのアーティストの出会いもそのような形であった。
昭和天皇が崩御された直後、年号の変更、消費税の対応などで、
私はシステム改定に追われ、ハードな日々が続いていた・・。
ある日曜日、昼過ぎまで寝過してしまい、パジャマ姿でぐったりしていた。
そして足早に過ぎていく、夕陽を見ていた・・。
頂いたカセット・テープを何気なしかけた。
そして、何曲目から、
♪エレーン
生きていてもいいですかと 誰も問いたい
エレーン
その答を誰もが知っているから 誰も問えない
【『エレーン』作詞、作曲・中島みゆき 】
私は涙があふれてきた・・。
そして、この『エレーン』の曲こそが、中島みゆきとの出会いであった。
頂いたカセット・テープは、勤務しているレコード会社で発売した、
倉本聰・作・監督の『時計』で、
このサントラの14曲の中の一曲に、この『エレーン』が入っていたのである。
中島みゆきの名前は、勤務先でアイドル歌手用に
何曲か作詞・作曲をして頂き、ヒットしましたが、
私からみれば、時代を感知する感性が鋭く才能のある人、程度だった・・。
♪記念にください ボタンをひとつ
【『春なのに』作詞、作曲・中島みゆき 】
『時代』、『わかれのうた』、『悪女』にしても、
何事もなく私の心は通りすぎて行った・・。
きっかけを作って頂いた、倉本聰・氏には感謝しながら、
改めて、人生は不思議なものだ、と改めて思った。
《略・・この頃の私は40代の初めてあったが、
中島みゆきに熱中し、アルバムのカセット、そしてCDを買い集めて、
4年間ばかり殆ど毎晩聴き、
そして随筆の本も殆ど読んだりして、過ごした熱中時代でもあり、
この後は、平常心となり、現在はときおり聴いたりしている。
そして、この間に『夜会』のコンサートを観たりした。》
その年(平成元年)の11月、業界の注目の中で、『夜会』が公演された。
公演場所は、渋谷の東急文化村のシアターコクーンに於いて、
音楽と演劇を融合した形で行なわれると発表されていたので、
業界の内外の各専門家の間にも、無視できないような空気につつまれていた。
前売りの予約は好調と報じられていた。
予約も取れず、キャンセル待ちにわずかな望みを託して、
退社後、渋谷に行く。
文化村に近づくと、花屋から『歌姫』が流れて聴こえてきた。
♪握りこぶしの中にあるように見せた夢を
もう2年 もう10年 忘れすてるまで
【『歌姫』 作詞、作曲・中島みゆき 】
路上では、高校生らしい女の子の三人が、
『黄砂に吹かれて』を大きな声で歌っていた・・。
♪黄砂に吹かれて 聴こえる歌は
忘れたくて忘れた 失くしたくて失くした
【『黄砂に吹かれて』 作詞・中島みゆき 作曲・後藤次利 】
街は、中島みゆき、に染まっていた・・。
キップ売り場の窓口で、
『この公演の最終日まで完売でして・・
キャンセル待ちをされても・・
ダメだと思いますが・・』
と言われて、やはりね、と公演場所を後にした。
まもなく路上で、男と女の二人に囲まれた。
『兄さん、キップ欲しいだろう・・』
と私に30前後の男が云った。
『いくら・・』
と私は、乾いた声で答えた。
倍額程度まで覚悟していたが、相手方は3倍を超す値段だった。
『こんな公演にしたら、安いよ。
考えている場合じゃねえょ・・
兄さんさ、うかうかしていると、公演が始まっちゃうよ・・』
と追い討ちをかけてきた。
あきらめた・・。
歩き始めると、背後から声がした。
『お買い得だょ!!』
振り向くと、若い男女のペアが購入していた。
肩を落とし、『歌姫』の聴こえてくる街を抜け、
渋谷の駅に向かった。
そして私は、中年は何かとお金がいるし・・家に帰って酒を呑もう、と思った。
翌年、平成2年はコンサートのキップを手に入れる方法を模索した。
雑誌『ぴあ』等で検討した結果、ファンクラブに入会した。
10月頃だった、と思う。
第2回の『夜会』を申し込んだ。
抽選の結果、念願のキップを手に入れた。
最近は、行いが良かった、と思ったりした。
・・
公演日は。平成2年11月29日の木曜日だった。
開場は7時15分、そして開演は8時だった。
会社の業務スケジュールは、出来る限り前倒しした後、午後は半休とした。
ゆったりとした気持ちで観賞致したく、3時過ぎに文化村に着いた。
蕎麦屋に入り、ざるそばで軽食とした。
開場後、豪華なパンフレットを購入した後、
レストランがあったので、
ボージョレー・ヌーボーのボスターが見えたので呑んだ。
これがワインの新酒か、と思いながら、フルーティな味であり、
ちょっと失望したが・・。
ときたまワインを呑む時は、辛口で深い味の方が好きであったが、
昨年の惨めさを思い浮かべ、
やはり仕事と同様に、何事も事前準備だ、
とひとり幸せをかみ締めながら、もう一杯を注文した。
公演は、船のデッキから始まった・・。
ステージと客の距離が近くて、最初は戸惑ったが、
演出全般は予想以上だった。
それぞれの一流の方達が繰り広げる展開は、 官能性もある、と思った。
曲目は、
『二隻の舟』
『彼女によろしく』
『ミルク』
『流浪の歌』
『窓ガラス』
『うそつきは好きよ』
『元気ですか』
『クレンジング クリーム』
『月の赤ん坊』
『断崖~親愛なる者へ』
『孤独の肖像』
『強がりはよせヨ』
『北の国の習い』
『ショウ・タイム』
『Maybe』
『ふたりは』
個人的には、『ふたりは』は、相当に聴き込んだ名曲であるが、
『Maybe』は、大好きな曲のひとつで、働く女性の応援歌・・
初めて聴いた時、そんな思いがした。
帰りに記念として、『夜会』と記されたテレフォンカードを購入した後、
足取りは軽く、駅に向かった・・。
・・
】
このように中島みゆき・女史に熱中していた時代が
思い出されたのである・・。
♪あなたに似ている人もいるのに
あなたよりやさしい男も
砂の数よりるのにね
【『黄砂に吹かれて』 作詞・中島みゆき 作曲・後藤次利 】
私は心の中で唄いながら、みゆきちゃん・・どうされているのかしら、
と朱紅色、黄色の葉が舞いながら落ちていく光景に重ねたりしたのである。
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