私は東京郊外の調布市に住む年金生活の68歳の身であり、
家内は私より5つばかり齢下の身であるが、何かしら心身溌剌として、元気なのである。
私は2004〈平成16〉年の秋に定年退職後、年金生活を始め現役時代の緊張感が失くしたせいか、
ここ数年は体力の衰えを実感してきている。
亡くなった私の母、そして家内の母も更年期が過ぎた頃からは、
新たに甦〈よみがえ〉る程に元気になっていた60代の時期もあったので、
女は良〈い〉いよなぁ、と私は家内を見つめたりする時もある。
家内のお供でデパートに買い物に行ったりすると、
婦人服、婦人の雑貨品などを時間を忘れたかのようにゆっくりと選定するので、
私は館内の喫茶店など退避して、待っていることが多い。
そして帰路に食事処に寄ったりして、料理を頂くのであるが、
家内は、『私はこの料理を注文するから、あなたは違う料理を注文したら・・』、
と微笑みながら勧(すす)めるのである。
そして私の料理がテーブルに置かれた後、
『ちよっと失礼・・美味しそうねぇ』
と家内は私に言いながら、私の料理の一部を食べたりするのである。
或いは日常の雑貨品を買い求めに、自宅からの最寄りのホームセンターに行くと、
やはり時間を忘れたかのように、あちらの品こちらの品を見たりしているので、
私はフロアーの片隅にある休憩所のソファーに座り、缶コーヒーなどを飲んだりして、
待っていることが多い。
ときおり私たち夫婦の共通趣味のひとつの国内旅行を行ったりしているが、
私は要所だけ徹底して観たりするが、家内は殆どくまなく観ることが多く、
私は微苦笑したりしている。
そして家内は、『あっちの方も面白そうだから、行きませんか?』
と行楽地のひとつを私を誘うのである。
私は少し疲れていたので、宿泊している観光ホテルでお風呂に入りたいと思っていたが、
『はい! 了解しました・・行きましょう』
と私はやむなく若き自衛官の諸兄に負けないように、明るく大きな声で応(こた)えた。
昨今、デパートの地下フロアーなど食べ物が相変わらず盛況になっていたり、
都心に新名所が出来たりすると、平日などは女性の60代を中心としたグループが多く訪れる、
と私はテレビのニュースを偶然に視聴して、微苦笑したりしている。
そして60代以上の「シニア」と称される世代の女性たちは、
ファッション業界から熱い視線が注がれている、と私は何かの雑誌で読んだりしたことがあった。
何かしら2千万人超という規模に加え、団塊世代を含めたこの世代はおしゃれへの関心も高く、
市場規模は3兆円近いらしく、通販会社などはシニア女性向けのカタログを創刊したり、
デパートでは専用フロアを設けたりするなど、シニア女性を取り込もうとさまざまな動きが広がっている、
とこのような概要が記されたりしていた。
或いは三菱総合研究所が2年前に意識調査を行った結果、
高齢者層を『プラチナ・エイジング世代』と命名し、60歳以上の衣料品に対する支出は約3・4兆円と試算し、
更に潜在的需要の2・4兆円と併せた市場規模は約6兆円に上り、女性の場合はその半分とみている、
と私は以前に新聞で読んだりした。
昨日の昼下がりに、昨日に買い求めた『阿川佐和子の世界一受けたい授業』(文藝春秋)を読んでいた時、
私はソファーから転げ落ちそうになった。
本書は阿川佐和子さんが『週刊文春』で対談連載をしてきた中で、
編集部が14名の方を厳選して、第一人者14人に奥義を学ぶ、と副題に明記されている。
この中のひとりの建築家・安藤忠雄(あんどう・ただお)氏と対談(2006年3月30日号)の中で、
《・・日本の女性は60歳でも、ヨーロッパの40歳よりも若いでしょ。
(略)
日本の女性の元気な秘訣は好奇心ですね。
表参道ヒルズができて思ったんですけれど、来ている人の7、8割が女性ですよ。・・》
私はこれまでの人生に於いて、何事も好奇心を失くしたら、この人生は終わりだ、と信念を秘めてきたので、
60代の多くの女性も、《・・元気な秘訣は好奇心・・》と安藤忠雄氏が発露され、
私はソファーから転げ落ちそうになった。
そして私と同じような思いでも、私は無念ながら体力の衰えを実感してきているので、
女の人は良〈い〉いよなぁ、と私は心の中で呟(つぶや)いたりした。
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家内は私より5つばかり齢下の身であるが、何かしら心身溌剌として、元気なのである。
私は2004〈平成16〉年の秋に定年退職後、年金生活を始め現役時代の緊張感が失くしたせいか、
ここ数年は体力の衰えを実感してきている。
亡くなった私の母、そして家内の母も更年期が過ぎた頃からは、
新たに甦〈よみがえ〉る程に元気になっていた60代の時期もあったので、
女は良〈い〉いよなぁ、と私は家内を見つめたりする時もある。
家内のお供でデパートに買い物に行ったりすると、
婦人服、婦人の雑貨品などを時間を忘れたかのようにゆっくりと選定するので、
私は館内の喫茶店など退避して、待っていることが多い。
そして帰路に食事処に寄ったりして、料理を頂くのであるが、
家内は、『私はこの料理を注文するから、あなたは違う料理を注文したら・・』、
と微笑みながら勧(すす)めるのである。
そして私の料理がテーブルに置かれた後、
『ちよっと失礼・・美味しそうねぇ』
と家内は私に言いながら、私の料理の一部を食べたりするのである。
或いは日常の雑貨品を買い求めに、自宅からの最寄りのホームセンターに行くと、
やはり時間を忘れたかのように、あちらの品こちらの品を見たりしているので、
私はフロアーの片隅にある休憩所のソファーに座り、缶コーヒーなどを飲んだりして、
待っていることが多い。
ときおり私たち夫婦の共通趣味のひとつの国内旅行を行ったりしているが、
私は要所だけ徹底して観たりするが、家内は殆どくまなく観ることが多く、
私は微苦笑したりしている。
そして家内は、『あっちの方も面白そうだから、行きませんか?』
と行楽地のひとつを私を誘うのである。
私は少し疲れていたので、宿泊している観光ホテルでお風呂に入りたいと思っていたが、
『はい! 了解しました・・行きましょう』
と私はやむなく若き自衛官の諸兄に負けないように、明るく大きな声で応(こた)えた。
昨今、デパートの地下フロアーなど食べ物が相変わらず盛況になっていたり、
都心に新名所が出来たりすると、平日などは女性の60代を中心としたグループが多く訪れる、
と私はテレビのニュースを偶然に視聴して、微苦笑したりしている。
そして60代以上の「シニア」と称される世代の女性たちは、
ファッション業界から熱い視線が注がれている、と私は何かの雑誌で読んだりしたことがあった。
何かしら2千万人超という規模に加え、団塊世代を含めたこの世代はおしゃれへの関心も高く、
市場規模は3兆円近いらしく、通販会社などはシニア女性向けのカタログを創刊したり、
デパートでは専用フロアを設けたりするなど、シニア女性を取り込もうとさまざまな動きが広がっている、
とこのような概要が記されたりしていた。
或いは三菱総合研究所が2年前に意識調査を行った結果、
高齢者層を『プラチナ・エイジング世代』と命名し、60歳以上の衣料品に対する支出は約3・4兆円と試算し、
更に潜在的需要の2・4兆円と併せた市場規模は約6兆円に上り、女性の場合はその半分とみている、
と私は以前に新聞で読んだりした。
昨日の昼下がりに、昨日に買い求めた『阿川佐和子の世界一受けたい授業』(文藝春秋)を読んでいた時、
私はソファーから転げ落ちそうになった。
本書は阿川佐和子さんが『週刊文春』で対談連載をしてきた中で、
編集部が14名の方を厳選して、第一人者14人に奥義を学ぶ、と副題に明記されている。
この中のひとりの建築家・安藤忠雄(あんどう・ただお)氏と対談(2006年3月30日号)の中で、
《・・日本の女性は60歳でも、ヨーロッパの40歳よりも若いでしょ。
(略)
日本の女性の元気な秘訣は好奇心ですね。
表参道ヒルズができて思ったんですけれど、来ている人の7、8割が女性ですよ。・・》
私はこれまでの人生に於いて、何事も好奇心を失くしたら、この人生は終わりだ、と信念を秘めてきたので、
60代の多くの女性も、《・・元気な秘訣は好奇心・・》と安藤忠雄氏が発露され、
私はソファーから転げ落ちそうになった。
そして私と同じような思いでも、私は無念ながら体力の衰えを実感してきているので、
女の人は良〈い〉いよなぁ、と私は心の中で呟(つぶや)いたりした。
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