1933年創業の飲茶の老舗「陸羽茶室」(Luk Yu Tea House)
初日のランチに計画していたのだけれど、到着の遅れなどが影響しスルー。
現在、中環に居るわけだし、「記」さんと同様に店構えだけでも写真に収めるか、
というつもりでお店の前を通りかかったら、営業なさっているではありませんか!
これは、ご縁があるのかもしれない。
ナイスガイなドアマンさんに扉をスマートに開けていただき喜び勇んで入店。
利用は2階席。
フロアの給仕を担当するのは白衣タイプの上着を着用された年配のおじさん。
わっ、オールドチャイナ?!いきなり渋い!!
私の心の声が通じたのか、給仕のおじさんが鋭い眼光をむけてくる。
その渋いおじさんの指示で階段近くの丸テーブル席に着席。
相席ではありませんが、隣合って座るようにとのこと。
事前情報だとピークの時間帯には、予約をしたほうが良いという話もききましたが
時間が早いせいか、飛び込み入店も叶い、まわりを見渡すと、ところどころ
空席ありです。
歴史を感じさせる店内はアンティークという言葉が相応しく、この空間に身を
おけるだけで興奮してきちゃいます。
テーブル・セッティングは、ロゴ入り箸袋に入った箸(横置き)、皿、茶杯、
小椀、レンゲ、ステンレスポット、ボウル。テーブルクロスは1枚。
先ほどの渋いおじさんが、袋入りの爪楊枝(2本入り)を卓上にポイ。
おお!これがきっと陸羽さんの洗礼なのよ。私の心拍数が上昇。
次は、流れるような動作でボウルに湯を入れて、茶杯を洗ってくれた。
ふむふむ、これに習えよってことかな?
首からカメラをかけ観光客丸出しの私達は「唔該(ムゴーイ)」を連発
すると今度は、脇に立ってポケットから取り出した袋をさっと破り茶葉を投入、
湯を入れ茶杯に茶(ポウレイ茶)を注いでくれた。
(たしか、お茶の種類も聞いてくれたような?緊張のあまりに失念)
このあたりの所作がマジでかっこいい。見惚れちゃうよ。
説明はありませんが、(してもらっても、わからないけど)
マスタードと唐辛子味噌(ラージャン)ではないかな。
別皿には醤油。 九龍醤園の濃い醤油を使用されていると聞き及びますが、味がいい。
(ノブロー) 陸羽さんは時間帯でオーダーの様式が違うだ。
昼あたりの時間帯は、シートに書き込んで注文するんだけんど、
いまはまだ時間が早いで、トレイを首から提げている駅弁売りスタイルの
おばちゃんに蒸籠の蓋を開けてもらって中を確認してから注文するだ。
ほれ、近くに来たら「唔該(ムゴーイ)」するだよ。
駅弁売りスタイルは午前11頃までとのこと。
もちろん点心販売のおばちゃんは複数人。それぞれに自分の持つ蒸籠の中身を
「ハーガウ」とか「シウマーイ」と声に出され歩かれていますから、自分のお目当て
らしき蒸籠がきたら呼び止めてみせてもらいましょう。
OKならば、指差して、一つの場合は一籠(ヤッロン)です。
で、テーブルに蒸籠を置いていかれたら、おばちゃんは特點、上點、大點、其它と
分かれた用紙にスタンプを押されていきます。
さて、卓上にメニューなどはありませんので、下記点心名は正確さには
欠けているかもしれません。
山竹牛肉球
「シウマーイ」の声で蒸籠を開けていただき一籠!
湯葉を敷いた粗挽き肉団子。
しかし、このシンプルな焼売が私達にド直球を投げ込んできた。
肉々しく旨いではないかっ。
小籠包
渋いおじさんのオススメ。
蒸籠を覗いて、これが? と一瞬、戸惑ったのだけれど
彼自身、陸羽さんの歴史を支えているようなオーラがある。
そのオススメなのだ。間違いはない!
赤酢に針生姜が入ったタレがセット。
私達が一般的にイメージする台湾小籠包とはベツモノ。
この色味は蟹?挽肉も入っていますが、じゅるじゅる。
今まで出会ったことのない味です。個人差はあるかもしれませんが好きな味。
腸粉
ぶ厚いロール状の腸粉。おばちゃんがタレをかけて出してくれます。
腸粉はつるつる滑らかなタイプではなく、どっしりとして、もちもち感が強い。
タレの味も良いのですが、これ、まるまる食べたらお腹いっぱいになりそう。
中には鶏挽肉になるのかしら?腸粉のボリュームで印象が希薄です。
蝦餃
半透明な皮は浮き粉で作られたもの。
歯を入れると、期待どおりにエビの食感はぷりっと。安心・安定感のある美味しさ。
これにマスタード、唐辛子味噌が合うのだ。
(ノブロー) オラ、醤油もつけてえ。
とがったところのねえ上質な醤油だで、蝦餃にちょい漬けだよ。
蟹子焼売
卵黄入りの黄色い皮に包まれた存在感のある焼売。上には蟹の卵。
海老も豚肉もがっしりとしていて素材の旨味がダイレクトに伝わり、
味覚をぐいぐい刺激する。充実感があるなあ。
この焼売を食べ終わったタイミングで、渋いおじさんからおしぼりをいただけました♪
あれ? おじさん、はじめは愛想がいまひとつで、にこりともしない人かと思って
いたのですが、寝太郎さんが一生懸命「唔該(ムゴーイ)」、「好味(ホウメイ)」と
広東語で話しかけコミュニケーションを図っていたので、
少しずつ通じるところがでできたのかな? だとしたら、嬉しいな。
(ノブロー) ところで、“寝太郎メモ”はオーダー式で作成してたから役に立たねえかな?
柱候蒸排骨
大丈夫!一品、駅弁売りスタイルでも登場しましたよ。
それがスペアリブの柱候醤蒸し!
注文するとおばちゃんが目前で小饅頭をのせてだしてくれます。
柱侯醤(チューフージャン)は大豆をベースとした風味豊かな合わせ味噌。
スペアリブの状態も完璧。
硬すぎず、柔らかすぎず、食感がしっかりしていて身離れても良好。
寝太郎さんは肉を食べる満足感があると大喜び。勉強してきた甲斐があったね。
叉焼飽
ふわふわの饅頭生地。
粗く刻んだ叉焼がねっとりと甘めの味付けで調理され包みこまれています。
(ヨンクマ) ちなみに“寝太郎メモ”には、釀豬膶燒賣(豚のレバーのせ焼売)、
杏仁白肺湯(豚の肺入り杏仁スープ)もあったんだけど、これには出会えなかったよ。
またの機会に、お楽しみだね。
私達が着座している席の向こうには、(おそらく)地元の常連さんたちが
集まってらっしゃるのでしょう。
丸テーブルを囲み、ノスタルジックな時間が流れています。
またお子様連れのご近所さんもいらして家族で飲茶。
食べ切れなかったものはお持ち帰りされていましたよ。
年季の入っていそうなやかんを持ち歩き、客卓の湯を足すおじさん。
そうそう、滞在中、他店でも飲茶をいただきましたが、当店のお茶は美味しかったです。
お腹も膨れて会計の時間。
単語カードに書いた広東語を見ながら(会計を)お願いすると、
渋いおじさんは、私の(手書きの)単語カードを手にとり、よく勉強してきたなあ、
と言う感じでにっこり。
ご褒美なのかな? 陸羽茶室のハガキとショップカードをくれました。
この旅の宝物にしよう。
埋單は、10%の服務費(サービス料)がかかり、HK$517
古き良き時代の香港、伝統の味を感じさせる「陸羽茶室」
当店自体が文化なのだ、この雰囲気の中で味わう点心はやはり別格的存在。
他店の洗練系の美味しい点心がいくらならんだところで、
「陸羽茶室」でしか味わえないものがあるかと思います。
ただし、値段は驚くほど高い。
訪問するにあたっては、この店の歴史と雰囲気を長く伝承するための経費分が
プラスされているのだという太っ腹な気持ち(愛)が必要かも。
賛否両論ありそうですが、
当店の大ファンになった寝太郎さんは、香港を去るその日まで「陸羽茶室」
のことを思い出し、また行きたいと語っておりました。
おそらく寝太郎さんは、「別格」という満足度数になると思いますが
今回の(私の)香港グルメ満足度数は、★★★★☆(4.5)とってもお気に入りです。
《本日のお気に入り》 ・小籠包 ・蟹子焼売 ・柱候蒸排骨
陸羽茶室 Luk Yu Tea House
中環士丹利街24-26
TEL 852-2523-5464
営業時間 7:00~22:00(飲茶~17:00)
無休