峰野裕二郎ブログ

私の在り方を問う

since 2005

あるご高齢者の思い

2006年05月04日 | 民生児童委員
3月、4月と暇を見つけては町内会のすべての65歳以上の一人暮らし・二人暮らしのお宅を訪ね、近況をお伺いしていました。
私たちの町内会で、ご高齢者のお二人暮らしが9世帯、お一人暮らしは21世帯を数えます。ご高齢者のみなさんは、さまざまな難しい問題を抱えておられます。

前庭のアメリカハナミズキの花も満開となりました。なぜ、人は花に心を奪われるのでしょう。

政府は28日の閣議で、教育の目的に「わが国と郷土を愛する態度を養う」ことを盛り込んだ教育基本法改正案を決定しました。
国家は、国民に国を愛するよう求めています。それでは、国は国民を愛してくれているでしょうか。少なくとも、私が接するご高齢者の方々はそのような実感をお持ちではありません。むしろ、その逆です。絶望にも似て、みなさんが静かに怒りを訴えられました。

昨日・5月3日の午後、85歳になられるお一人暮らしのご婦人のお宅を訪問させていただきました。腰とひざを痛めておられ、ほとんどベッドの上で生活をなされておられる状態です。
いつものように裏口から入り、ベッドのある部屋の窓からお声を掛けると、縁側から上がって来てくれとの返事です。縁側に回り、「失礼します」と声を掛けて、奥の部屋に進みました。

ご婦人は、その昔、教壇に立ったばかりの頃の父と職員室で机を並べておられ方です。私が民生児童委員としてお訪ねするようになって3年ほど経った頃、そのことをお話になられました。父は、優秀な教員でカッコよかったとお話くださいました。
この日も例のごとくいろいろおしゃべりしているうちに、話は小泉首相の靖国神社参拝問題に及びました。
ご婦人は、先の戦争でお父上とお兄さまを亡くしておられます。彼女は、今でも戦争の首謀者を憎んでいると仰います。お父上やお兄さまと一緒に戦争の首謀者であるA級戦犯が祀【まつ】られているのはイヤだと仰います。A級戦犯が祀られている靖国神社に時の総理大臣である小泉さんが参拝に出向くのは納得がいかないと仰います。今こそ遺族は声を上げなければならないと仰います。自分がもう少し若ければ立ち上がるのにと仰っています。

小泉首相は、愛する父や兄を戦争で奪われてしまったこのご高齢のご婦人に、どう応えられるのでしょうか。
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする