9日の平和集会に向け、生徒会でその準備をすることになっているからと有紀さんが登校する支度をしていたので、それではその前に校長先生に大会の報告に伺おうということになり、8:30に2人で家を出ました。
中学校の玄関を入った所で担任の先生にお会いすると「どうだった?」と声をかけて頂きました。
結果を報告すると、それはオーバーなほど驚いて感心されておられました。
校長室で賞状やトロフィーなどを見ていただきました。校長先生は何かの間違いではあるまいなとばかり、賞状を何度も何度も読み返され「全国か、全国で3位か。県で3位ではないんだな」などとつぶやいておられました。
やがて、「いや~、それはすごい!」とおっしゃりつつ、有紀さんを促(うなが)し、職員室へと連れていかれました。やがてパチパチパチとおそらくは先生方の拍手が聞こえてきました。
有紀さんは夏休みに入り、、松山先生から大会に備えたらいいと手渡された本を少しずつ勉強していました。特に4,5日前は塾の時間に合わせて午前中は9:00から正午まで、午後は1:00から4:00まで、夜は7:00から10:00までの毎日9時間インターネットの対局も含めて、短期間ですが将棋に打ち込んでいました。
大会で良い成績をおさめられたことは幸運でした。努力したことが報(むく)われた形になったのですから。
さらに自身以外にそのことを喜び称えてくれる他者がいることを実感できたであろう職員室での一連の出来事は、有紀さんに計り知れない生きる喜びと勇気を与えてくれることになったでしょう。
2003年8月7日(木)記
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2002年、中学1年生で臨んだ第23回全国中学生選抜将棋選手権大会では予選リーグを見事に突破、決勝トーナメントの1回戦では高知県代表・藤澤香織さんに勝った。しかし、2回戦で愛知県代表の室田伊緒さんに敗れ、ベスト8どまりだった。
翌2003年の第24回大会、前年とは異なり、大会前の短い期間ではあったが有紀さんにしてはそれなりの準備をして臨んだ。
予選リーグを順調に勝ち抜き、決勝トーナメントに進出。
決勝トーナメント1回戦では青森県代表の相馬美咲さんを降した。続く2回戦のベスト8では香川県代表・畑香奈美さんに勝利。だが、準決勝でまたしても室田伊緒さんに敗れ決勝進出はならなかった。
しかし、その後に行われた3位決定戦では大阪代表の山口真子さんに勝ち、全国3位という誰も想像できなかった結果を出して見せてくれた。
決勝は、室田伊緒さんと現在、美人女流棋士として人気の室谷由紀女流二段のお姉さんの室谷早紀さんとの間で戦われ、室谷早紀さんが優勝した。
室田伊緒さんは現在、女流二段のプロの女流棋士として活躍中だ。また、相馬美咲さん、山口真子さん、室谷由紀さんは後に女流アマ名人や学生女流名人などのタイトルを獲得するなど、みなさんアマ棋戦で活躍した。
この大会は毎年、山形県の天童市で開催されている。有紀さんが3年間、その後にくるみさんも3年間、大会に参加させていただき私も同行した。山口真子さんのご家族、室谷さんのご家族とは特に親しくさせていただいたが、いろんな方との交流があり、子供たちのことはさておき、私にとって大変思いで深い6年間となった。