朝、宿の窓を開けると目の前に那珂川が見える。洪水のあったあの川の上流だ。そんなに近くではないのにせせらぎが聞こえた。那須塩原から30分くらい車で入った那須スポーツパークでのおじいちゃん達のサッカー大会に来ていた。今度は取材というよりは水汲みやらのお仕事だ。養生を終えたばかりの芝生は実に美しい。ここは西洋芝で冬も枯れない。そこから10分ほど行った馬頭温泉の宿に泊まった。一人だと温泉宿はなかなか泊まれないが、今回は埼玉のチームと一緒ということで特別に一部屋が取れた。
先日の浜松のホテルはダブルルームのシングルユースということで、すこしリッチな気分になれた。今度は広い和室に一人だ。温泉はアルカリ泉の元湯だ。『美人湯』なるものに入った。(笑い)あまり露天風呂には入らないが、今回は貸切で最高だった。広い部屋の真ん中に布団が敷かれていた。吉田拓郎の『旅の宿』を思い出した。「浴衣のきみには尾花の簪・・・」だったかな。(古い!)いいよね、いわゆる和室のある宿は。
この年で独身なら、おじいさまのボーイフレンドと温泉旅行なんていうのも悪くないなぁ なんて思う。(相手を探せばいるかもしれない)そういう情緒のある旅をするか、「秋のヨーロッパへ」なんていうのが夢だったのに・・・。夢ははかないものらしい。
川面に霧が懸かってくる。墨絵の世界になる。わずか30分ももたない美しい世界を見ることができた。75歳以上のおじいさまたちは無条件で優しい。ああでもない、こうでもないと悩みながらしているNPOの仕事が癒される。今回は夕焼けもうつくしく、朝の景色もうつくしい。生きていればいいこともあるよね。