午後からは天気が下り坂なのでなるべく早く登った方がよいという宿のご主人のアドバイスで4時に登山口まで送ってもらい、月明りのなかを歩きだす。
本州でならこういうときはツキノワグマに出遭わないか緊張するのだが、さすがに利尻に北海道本土から泳いでくるヒグマはいないので安心して歩ける。宿のご主人によればここにはヘビもいないそうなのでより気が楽である。
登山道は山容そのまま、下は広く裾を引き頂上直下で急こう配になるので、緩やかな斜面が長く続きなかなか高度が上がらないのがもどかしい。
大きな倒木
出ている枝もちょっとした木の幹ほどある
さすがに最北の島だけあって森林限界が非常に低く、標高500Mほどになると大きな木はなくなりダケカンバの灌木やハイマツが出てくる。
3時間ほどで8合目の長官山へ着くと頂上が望める
8合目の避難小屋でトイレを借りる。利尻では携帯トイレが義務付けられているのでここへそれをセットする。オムツと同じ吸収体が入っていてたちまち固まるので袋を固く閉じさらに密封袋に入れて登山口の回収箱に入れる仕組みになっている。それにもかかわらず登山道の何か所かにはティッシュが落ちているので守らない人がいるのが情けない。
8合目あたりから勾配がきつくなり9合目からはさらに急になりここからが正念場
急こう配に加えて道には火山礫の小石が多くなり、これが石車になって油断すると足がズルリと後ろに引き戻される。沓形分岐の手前のこの辺り、崩壊が進み右側がスパッと切れ落ちているので寄らないように要注意だ
0835時利尻山北峰(1719M)到着。前方に見える南峰の方が2Mほど高く、最高峰になっているが現在はルートが崩壊しているので行くことができない
昨日登った人はガスで見えなかったとのことだが、今日はロウソク岩もくっきり見える。
礼文島は雲の下
素晴らしい眺めなので長居をしたかったが、さすがに洋上の独立峰だけあって風が強いので20分ほどで下山にかかる。下りは石車がさらに加速するので慎重に下る。
避難小屋をのぞいてみる。太い鉄骨が入って頑丈そうだ。寝袋、コッフェル、水などを持ってここで1泊するのも悪くはなさそうだが、荷物が重くなることを思うとちょっと無理かな
昨日上ったペシ岬が小さく見える
夏の盛りは過ぎているので利尻の固有種はあまり見られようだがそれ以外の花はまだまだたくさん見られる
登山口近くの甘露水まで下りてきて水を飲む。うーんカンロ、カンロ
思ったより早く1220時登山口に到着。電話をして宿から迎えてきてもらい予定終了。山へ登って下りてくる。それだけの単純な達成感だが、なかなか普段味わえない貴重な時間だ。
午後からは空にこんな雲が出て利尻山の頂上も見えなくなってしまった。早起きしたかいがあったというものだ