■ストーリ
オカンとボクの話です。
としか、言いようがない。ぜひ読んでみてください。
■感想 ☆☆☆*
いろんなところで絶賛されている「東京タワー」。
いつもは雑誌やネットでその評判を聞くのだが
今回は周囲の人たちから「泣ける!」という評判を
直接耳にする機会が多かったため、楽しみにしていた。
なにしろ、もともとリリーさんの感性が好きなのだ。
その上、私がその感性を信頼している方々からの絶賛の嵐。
期待しないほうが難しい。
案の定、中盤以降、涙腺を刺激され続けながら
一気に読み進めた。
胸に重いかたまりがのせられたような辛さを味わいながら
それでもページを進ませずにはいられないその吸引力。
読み終わって、直接、賞賛の声を耳にする機会が
多かったことに心から納得した。
それは私が九州にすんでいるからだろう。
私にとっても、私の友人にとっても
登場人物ひとりひとりは身近な存在で
「会ったことのある人」「知っている人」
「どこかで見たことのある人」なのだ。
貧乏なのに「食」と「衣」にはこだわるオカン。
周囲の人に気を配り、人が訪ねてきたら
せいいっぱいのおもてなしをせずにはいられないオカン。
自分の感情のまま素直に生きているオトン。
久しぶりに会っても大げさに接することなく
昨日会ったばかりのように接するオトン。
必要以上のことをしゃべらずに
働き者の手をしている母方のおばあちゃん。
厳格でオカンとそりが合わなかった父方のおばあちゃん。
そして、貧乏をものともせず下品におおらかに過ごしている
近所のおじちゃん、おばちゃん、トモダチ。
「ふるさと」と「家族」に対して
コンプレックスと愛情が混在した複雑な感情を寄せる僕。
借金だらけの生活を続けながら自分の将来を模索する僕。
なんだろう。この懐かしさは。
私はこの時代を知らない。
私はこの貧乏を知らない。
私はこんなフクザツなコンプレックスは持っていない。
それでもこみあげてくる懐かしさと
襲ってくる切なさ。
その感情は、オトン、オカンの描写に使われる
ぞんざいであたたかい言葉の数々と
そのあいまあいまにはさまれる冷静で叙情的な文章で
いっそうゆさぶられ続ける。
きっと数年後、数十年後、年を重ねて読み返す度に
違う箇所で涙腺を刺激されるだろう。
異なる思いでこの本を手に取るだろう。
ちなみに、小倉出身で筑豊の大学に通った経験のある私は、
地名もデパートも駅名も方言も人情も
すべて身近、かつ愛着のあるものばかりで
純粋にミーハー心も満足できた一冊となった。
オカンとボクの話です。
としか、言いようがない。ぜひ読んでみてください。
■感想 ☆☆☆*
いろんなところで絶賛されている「東京タワー」。
いつもは雑誌やネットでその評判を聞くのだが
今回は周囲の人たちから「泣ける!」という評判を
直接耳にする機会が多かったため、楽しみにしていた。
なにしろ、もともとリリーさんの感性が好きなのだ。
その上、私がその感性を信頼している方々からの絶賛の嵐。
期待しないほうが難しい。
案の定、中盤以降、涙腺を刺激され続けながら
一気に読み進めた。
胸に重いかたまりがのせられたような辛さを味わいながら
それでもページを進ませずにはいられないその吸引力。
読み終わって、直接、賞賛の声を耳にする機会が
多かったことに心から納得した。
それは私が九州にすんでいるからだろう。
私にとっても、私の友人にとっても
登場人物ひとりひとりは身近な存在で
「会ったことのある人」「知っている人」
「どこかで見たことのある人」なのだ。
貧乏なのに「食」と「衣」にはこだわるオカン。
周囲の人に気を配り、人が訪ねてきたら
せいいっぱいのおもてなしをせずにはいられないオカン。
自分の感情のまま素直に生きているオトン。
久しぶりに会っても大げさに接することなく
昨日会ったばかりのように接するオトン。
必要以上のことをしゃべらずに
働き者の手をしている母方のおばあちゃん。
厳格でオカンとそりが合わなかった父方のおばあちゃん。
そして、貧乏をものともせず下品におおらかに過ごしている
近所のおじちゃん、おばちゃん、トモダチ。
「ふるさと」と「家族」に対して
コンプレックスと愛情が混在した複雑な感情を寄せる僕。
借金だらけの生活を続けながら自分の将来を模索する僕。
なんだろう。この懐かしさは。
私はこの時代を知らない。
私はこの貧乏を知らない。
私はこんなフクザツなコンプレックスは持っていない。
それでもこみあげてくる懐かしさと
襲ってくる切なさ。
その感情は、オトン、オカンの描写に使われる
ぞんざいであたたかい言葉の数々と
そのあいまあいまにはさまれる冷静で叙情的な文章で
いっそうゆさぶられ続ける。
きっと数年後、数十年後、年を重ねて読み返す度に
違う箇所で涙腺を刺激されるだろう。
異なる思いでこの本を手に取るだろう。
ちなみに、小倉出身で筑豊の大学に通った経験のある私は、
地名もデパートも駅名も方言も人情も
すべて身近、かつ愛着のあるものばかりで
純粋にミーハー心も満足できた一冊となった。