のりぞうのほほんのんびりバンザイ

あわてない、あわてない。ひとやすみ、ひとやすみ。

ぶらんこ乗り / いしいしんじ

2005年11月13日 14時06分30秒 | 読書歴
■ストーリ
 ぶらんこが上手で、指を鳴らすのが得意な男の子。
 声を失い、でも動物と話ができる、つくり話の天才。
 もういない、わたしの弟。―天使みたいだった少年が、
 この世につかまろうと必死でのばしていた小さな手。
 残された古いノートには、痛いほどの真実が記されていた。
 ある雪の日、わたしの耳に、懐かしい音が響いて…。

■感想 ☆☆☆☆
 読み終わった後にあたたかい気持ちになるお話。
 冬の寒い日に暖かいストーブの傍でココアを読みながら
 ゆっくりと読み返したくなるようなそんな暖かさ。

 賢いがために、周囲の人から孤立していて
 孤独を恐れるがために、自分の賢さを隠して
 周囲のレベルに合わせて行動し、みんなの人気者の弟。
 人気者ではあるものの、本音で話せる友達はいないため
 闇を抱え続ける弟。夜にベッドで眠らず、
 庭の木のブランコで動物たちのお話を聞く弟。

 穏やかに生きる彼の表に見えない闇は痛々しい。

 彼の孤独に気づかずにいる姉。
 だが、姉は弟の唯一の救いとなる。
 弟にとって、必要だったのはわかってくれる人ではなく
 自分の孤独を忘れさせてくれる明るさ。
 彼とこちらの世界との架け橋となる無邪気さ。

 だとすると、人が幸せに生きるために必要なのは
 賢さではないのだろう。
 賢いがために気づいてしまう哀しさもあるのだろう。
 けれども、どんな悲しみも永遠には続かない。
 必要なのは悲しみから戻ったときに
 受け入れてくれる人。戻れる暖かい場所。
 それが家族であり、家庭なのだろう。

 大きな大きな愛の物語。

あら、心配してくださって☆第3弾

2005年11月09日 22時11分19秒 | 日常生活
同じフロアの方から突然メールをいただきました。

件名:どうにかしてください!!

メール内容は

「風邪引いてるなら、会社に来ないでください。
 僕は風邪が移りやすいんです。
 人の迷惑にならないこと。
 これは最低条件です。」

・・・・いや、そりゃそうだけどさ。
のりぞうだって、許されるのであれば
思う存分休むけどさ。

どちらかと言えば
このメール、課長に送ってくれませんか?

「迷惑だから休ませてください。」
って訴えてくれませんか?

・・・・優しい言葉に飢えてる今日この頃。

あら、心配してくださって☆第2弾

2005年11月09日 22時05分48秒 | 日常生活
「気管支炎」という病名がついたことが
ひそかに嬉しくて、母親と妹にメールしてみました。
だって、なんだか大層な病気みたいじゃない?

「風邪かと思ってたら気管支炎だったことが
 発覚。ついでに喘息の症状まで出てたよ。」

妹から早速返信。
「まじで?!喘息?
 でもそれってつまりは、お姉ちゃんの家が
 埃っぽいってことじゃ・・・?(笑)」

・・・・・。
ええ。そうですとも。
のりぞうの喘息はハウスダストに反応するんです。
のりぞうの部屋にずっといたら
いつ発症してもおかしくないとは思ってましたとも。

でも、今言わなくたってさ・・。

ちなみに母親の心配。
「喘息だったら、あの子、子供産めないかも・・・。
 どうしよう。。。」

・・・だからね。
その前にもっといろいろと心配することは
たーーーーーーーーくさんあるからね? 

あら、心配してくださって☆

2005年11月09日 21時57分52秒 | 日常生活
風邪があまりに長引いているので
ようやく病院に行きました。
病院に行くつもりはさらさらなかったのですが
咳が止まらず、呼吸困難の危険を感じたので
さすがにまずいかな、と。

すると、「気管支炎」を併発してました。
その昔、小児喘息を患っていたのりぞう。
軽く喘息の諸症状まで出ていて
お医者様にも薬剤師さんにも同情されまくり。

「息、止まりそうですねぇ・・・。」

頼むから、そんな悠長なこと言ってないで
どうにかしてくださいっ。

世界の中心で愛を叫ぶ / 片山恭一

2005年11月09日 21時52分19秒 | 読書歴
■ストーリ
 ・・・・もう書く必要ないよね?
 たいていの方は知ってるよね?
 亜紀と朔太郎の純愛物語。(ちょっと違うか。。。)

■感想 ☆☆*
 一時期は数百人待ち状態だったこの本。
 ようやく図書館の書棚で見つけました。
 性格的に「予約」はしません。
 究極の面倒くさがりや。(むしろ自己中)
 呼び出されたり、受け取りに行ったりするのが
 苦手なんです。

 とは言え、今更買うのはなんか恥ずかしい。
 でも興味はある。
 ・・・ていうか、正直、こんなに売れると思ってなかった頃
 本屋の売り場で装丁の美しさとタイトルのインパクトに惹かれて
 かなり購入を迷ったことがあるのです。
 でも迷っているうちに、あれよあれよと売れてしまって。。。
 映画にドラマにブームとしか言えないような
 状態になってしまって・・・・。

 なので、図書館で見つけたときは
 ものすごく嬉しくなって即刻借りちゃいました。

 すらすら軽く読めてしまいます。
 それは既にストーリーを知ってるってこともあるんだろうけど。
 大体2時間あれば読めるかな。
 だからあんなに売れたのかな、とも思う。
 この文章の読みやすさ。
 誰もが共感できるテーマの普遍さ。
 そして装丁の美しさ。
 普段本を読まない人が手に取りやすい要素を
 揃えた本だったのかな。

 あまりにさくさくと読めてしまうので
 何の感動も抱かないまま、
 終わってしまうかな、と思っていたのですが
 (実際、ネットでの書評はかなり散々だったし)
 最後の最後で心を揺さぶられました。

 大人になった朔太郎がようやく亜紀を思い出にできる瞬間。
 その場面が琴線に触れました。
 どうしようもなく哀しくて涙が止まりませんでした。
 思い出にすることと忘れることは違うことだと
 頭では理解できていても感情が納得しない、そんな感じ。
 一度、誰かを愛したらずっと愛し続けて欲しい、
 心を囚われたままでいてほしい、そう思ってしまう私は
 やはり恋愛に対して幻想を抱きすぎなのかもしれません。

ワーキングガール・ウォーズ / 柴田よしき

2005年11月09日 01時08分37秒 | 読書歴
■ストーリ
 37歳女性、入社15年目、独身バツなし。
 ついでに恋人・人望ともにナシ…。
 ですが、それが何か?働く女の本音と弱音をリアルに描いた
 本格「負け犬」小説、誕生。

■感想 ☆☆☆☆
 ふたりの女性の視点が交代しながら、話を進める連作短編集。
 ひとりは翔子さん。37歳、未婚、都心のマンションで一人暮らし。
 音楽会社の企画部勤務、係長。
 もうひとりは愛美さん。29歳、短大卒、会社を辞めて
 海外留学後、旅行代理店の契約社員。現在はオーストラリア在住。

 ふたりの女性がとにかく本音で怒り、ストレスをため
 仕事を続けようか迷い、仕事をするしかないと開き直り
 恋が始まりそうだとときめき、結婚について迷う。
 どこまでも本音が続く小説。
 ここまで極端ではないけれども、女性ならば、
 どこかで絶対に共感できる部分があると思う。
 じたばたあがいてみたり、これが自分だと開き直ってみたり、
 女性はひとりで生きていてもいろいろと忙しいのだ。

 自意識が強く、だからこそ、常に客観的な視点で
 自分を見つめ続ける翔子さんが愛しい。

六首目:秋の田の・・・

2005年11月09日 00時58分22秒 | 百人一首
秋の田の 刈穂の庵の とまあらみ
   わが衣手は 露に濡れつつ

■のりぞう的解釈
 秋の稲刈りシーズンなので、刈り取った稲を
 見張るため、田んぼのほとりにつくった小屋に
 泊まってます。でも、草で編んだ屋根の目が
 荒いもんだから、私の袖口は冷たい露で
 しっとりと濡れてるわけです。

 注:文法書などまったく調べてません。
    のりぞうはこういう意味だと思ってます。
    という解釈ですので、十中八九間違ってる
    ところや浅いところがあると思います。
    信じ過ぎませんように。

■ひとことふたことみこと
 第一番の歌なので、もちろん一等最初に覚えました。
 途中で挫折しては、また始めから覚えなおすので
 3~4回ぐらい覚えなおし、そのおかげで
 しっかりと覚えてます。

 でも、そんなに好きな歌ではないのです。
 天智天皇が農民の立場にたって詠んだ歌、というのが
 通説ですが、なんていうか嫌味。。。。
 勿論、小学生のときはそんなことすら考えていませんでしたが、
 ものすごく地味な歌であまり愛着がないのです。
 「降りつつ」のほうが数倍、かわいらしいわ。
 ・・・情緒というものをいまひとつ解することができない
 かわいそうなヤツとお思いください。

五首目:君がため 春の野に・・・

2005年11月08日 00時55分02秒 | 百人一首
君がため 春の野に出でて 若菜摘む
  我が衣手に 雪は降りける / 凡河内躬恒

■のりぞう的解釈
 君のために、まだ少し寒い春の野に出て
 若菜を摘んであげよう。
 僕の袖に雪がちらほらと降ってくる
 少し肌寒い日だけどね。

  注:文法書などまったく調べてません。
    のりぞうはこういう意味だと思ってます。
    という解釈ですので、十中八九間違ってる
    ところや浅いところがあると思います。
    信じ過ぎませんように。

■ひとことふたことみこと
 自ら春の野に出て好きな女性の為に春の七草を
 摘み集める殿方が素敵です。春の七草を摘んで
 七草粥にするんだそうです。好きな女性の一年の
 健康まで祈ってるわけです。
 春の七草を言えるばかりか、見分けて摘むことができる
 殿方がかっこいい。昔は普通だったのかなぁ。

 ちなみに、春の七草は次の7つ。
 せり、なずな、ごぎょう、はこべら、ほとけのざ、
 すずな(蕪)、すずしろ(大根)。
 ・・・うーん。なずな、すずな、すずしろぐらいしか
 見分ける自信がありません。風雅人への道は険しい。

四首目:君がため 惜しからざりし・・

2005年11月08日 00時53分08秒 | 百人一首
君がため 惜しからざりし 命さへ
  長くもがなと 思ひけるかな

■のりぞう的解釈
 君のためならば、命なんて惜しくない。
 そう思ってたんだ。だけど、君に会って
 君に触れて、君を抱きしめて、
 僕は命が惜しくなってしまった。
 また君に会いたい。また君を抱きしめたい。

  注:文法書などまったく調べてません。
    のりぞうはこういう意味だと思ってます。
    という解釈ですので、十中八九間違ってる
    ところや浅いところがあると思います。
    信じ過ぎませんように。

■ひとことふたことみこと
 すっかり忘れてました。百人一首の存在を・・・。
 これから続けてアップする三首は、のりぞうの中で
 勝手にシリーズ作品となっています。妹と百人一首を
 する際は、50首ずつ自分の陣地に好きなように
 並べるのですが、この3首は必ず隣に並べてしまいます。
 「君がため」シリーズ「わが衣手」シリーズです。
 (なんのひねりもない・・・。)

 おそらく初デートから帰った後に
 彼女に送った歌。
 初デートするまでは、
 「初デートさえできれば死んでもいい!」
 と、熱烈に望み、初デートを終えたら
 「もっと会いたい!抱きしめたい!」
 と、更に願うわけで。
 
 人間の欲深さがよく出ています。
 うん、こうやって新たな望みに向かって
 前に進んでいくところが
 人間のすごいところなんだろうな。

 でもね。。。
 これは、のりぞう向きの恋愛じゃないな、
 と思うのです。もっとそこはかとない
 恋愛がしたい。人を好きになって
 「惜しからざりし 命さへ」なんて
 心を乱されるのは、まっぴらごめん!
 と思ってしまうのです。

 ・・・・ごめんなさい。乙女失格。

コープス・ブライド

2005年11月06日 23時04分47秒 | 映画鑑賞
■ストーリー
 19世紀のヨーロッパ。小さな村で、ある結婚式が迫っていた。
 新郎はビクター。成金夫婦の気弱な一人息子だ。新婦のビクトリアは、
 落ちぶれた貴族の娘。つまり、この結婚は政略結婚。
 だが、若いふたりは出会った途端、互いに好意を抱く。しかし、
 内気なビクターは結婚の誓いをうまく言えず、暗い森で練習するうちに
 ひょんなことから、死体の花嫁=コープス ブライドの指に誓いの言葉と
 ともに指輪をはめてしまう。

■感想 ☆☆☆☆
 クレイアニメということで、作り手の相当な手間と
 それ以上に大きな作品への愛情が伝わってくる作品。
 「かわいらしい」というには抵抗があるものの、魅力的で
 見れば見るほど愛着がわいてくる登場人物たち。
 温かみが伝わってくる映像とのりやすくかっこいい音楽。
 見ているだけで楽しくなってくるミュージカル映画だ。

 親の言うがままに過ごしてきたビクターとビクトリアが
 お互いのために発揮する今までにない行動力も
 コープス・ブライドエミリーがビクターのためにする選択も
 「愛する人のため」で「自分のため」ではないところに
 共感を覚えた。

 ビクトリアを愛していながら、さびしそうなエミリーを
 ほうっておけないビクターの優柔不断な優しさ。
 自分ではない人を愛しているビクターが
 同情で自分を選んでくれたことに気づきながらも
 幸せを求めてしまうエミリーの健気さ。
 エミリーとビクターの結婚式に遭遇してしまい
 ショックを受けながらも、騒いでぶち壊しにすることなく
 つい耐えてしまうビクトリアの忍耐強さ。

 誰も悪い人なんていない三角関係のラストは
 誰かを悪者にできないために
 決してハッピーエンドとは言えない。
 やりきれない思いも残る。
 それでも、きれいな心が集まったからこその
 美しさあふれるエンディングだった。