太平洋のまんなかで

南の島ハワイの、のほほんな日々

ストッキングと靴

2015-06-17 17:20:23 | 日記
サンフランシスコで、ちゃんとしたレストランに行くこともあるかもしれないと

靴を持ってきた。

ここでいう靴とは、踵がある革靴という意味。

ちゃんとした靴を履くのが4年ぶりなら、ストッキングを履くのも4年ぶりだ。

ハワイでストッキングを履くことなどないし、革靴を履くような服も着ないので、

日本から持って来たものの、ずっと使わずに屋根裏部屋にしまったままだ。

日本に行く時も含めて、私の旅の靴はメレルだけ。

10年以上も前に、友人の妹さんが社員割引で買えるからといって

買い求めたメレルだが、これが履きやすいのなんの。

どんなに歩いても疲れないし、ウォーキングシューズよりはオシャレ。

それ以来、旅にはこればっかり。


それが今回はメレルに加えて、タッセルのついた革靴と、それに合わせるツイードのスカート。

ツイード風の織りのスラックスなんかもある。

黒いタイツまで持ってきた。

ストッキングも靴も捨てないでよかった。

革靴は多少カビていたけど、ハワイだから仕方がないのだ。



久々にストッキングを履いて、革靴に足をいれてみる。

ああ、この感じ!

ストッキングの程よいサポート感も懐かしい。

タイツは、くるぶしのところにキラキラしたハートがついている。

こんなの持っていたんだなあ、私。

歩くと、コツコツというヒールの音が心地よい。

昔は、ってそれほど昔ではないが、4年余前までは

こういうのが普通の生活で、毎日革靴を履いて仕事していたんだよなあ。


それが、すっかりハワイに馴染んでしまい、

服は洗濯機と乾燥機に惜しげなく放り込めるもの、

靴はサンダルかビーチサンダル。

もちろん年中素足。

衣替えもいらないし、楽には違いないが、こういうちゃんとしたものに対する

「飢え」みたいなものが自分にあることに気づいた。

ハワイに帰ったら、もっとちゃんとしたものを着よう、靴を履こう、

と今は思う。しかしながら、ハワイというところは、

ちゃんとした格好をしていく場所がない。

ちゃんとした格好をしてもいいのだが、かなり浮く。

どこでもビーチサンダル、サンダルすら履かず裸足の人だっている。



繰り返すが、これはすごく楽なことだ。

昔は何を着ようか迷ったし、季節が変わるたびに、昨シーズンは何を着ていたんだろう

と思うほど、着るものがないような気がしたものだ。

それが今は年がら年中、同じでいい。レストランもバーティーも卒業式も同じでいい。

テレビを見るのも海へ行くのも同じ。こんな楽なことはない。



でも、忘れてしまったら寂しいと感じる何かが、私の中にはあったのだ。

4年ぶりに出してみた気に入りのワンピースに、シミだかカビだかがついているのを見て

ザックリと心が痛むのである。





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サンフランシスコ~市バス

2015-06-17 13:26:11 | 旅行
朝、いつものカフェに行く。

今日気づいたのだが、ここはオークランドまでのフェリーが出ていて

フェリーが着くたびに、仕事に向かうたくさんの人が降りて来る。

橋もあるけれど、夕方には結構な渋滞になっているようで、フェリーの方がいいのかもしれない。

今日はどこへ行くか思いつかない。

地下鉄は乗ったことだし、今日は市バスに乗ってみようか。

今夜、行く予定のタパスレストランに予行練習で行ってみるか。

ホテルの前のバス停に路線図がある。

私が持っている地図よりも詳しくて、何番のバスに乗ればいいかよくわかる。

ただし、リーディンググラスをかけないと見えん。

一度乗り換えれば着きそうだ。

バスが来て、2ドル25セントを払い、トランスファーチケットをもらう。

これがあると、発行した時間から90分以内なら何度でもバスに乘れるのだ。

バス停に名前があるのは日本だけだろうか。

ちゃんと道路がブロックになっていて、全ての道に名前があるからか、

バス停は交差した道の名前になる。

慣れるととてもわかりやすい。

ハワイのバス停にも名前はないが、道路整備されていないから

とてもわかりにくい。


2番に乗って、ストックトン通りで45番に乗り換える。

45番は中華街の真ん中を通って行く。店がひしめき合い、

人が溢れ返っている。店先に並べられた果物野菜はカゴ盛りで、

やたらと大声が飛び交う。

中国人のこのみなぎる活力は何だろう。


レストランは簡単に見つかった。しばらくその辺りを歩く。

まだ乗り換えられるし、次はどこに行こう。

お腹がすいてきたから、ランチにウドンなんかどうだろう。

さすがに日本料理が恋しくなってきた。

また日本街に行ってみよう。日本料理は日本街がよさそうだ。

バスを待っていると、中国人のおじさんが中国語で話しかけてきた。

バスが来る方向を指差して何か言っている。バスが来ないね、とでも言っているんだろうか。

確かに10分ぐらい待っている。

「でもここはバス停ですよね?そのうち来ますよね」

私は英語でそう言った。そこは屋根のない簡易バス停だ。

おじさんはまた中国語で何か言った。



また2番のバスに乗り換えて、日本街に行った。

二日目に来た時、あんなに歩いたのに、ホテルの前からバス1本で

日本街に行けたのだった。

この前は見なかった場所に行ってみると、すごい和紙を見つけた。

濃さの違うブルーと銀とが混じり合った模様で、これを海にしたら…

それを買い求め、ある店の前のメニュー写真に目が奪われて、

フラフラと日本料理風の店に入った。

脳内はウドンだったが、天ぷらに負けて、天ザルにした。

蕎麦が出て来て、これは失敗したと気づく。

ザル蕎麦の横に、なぜだか知らないがオレンジの薄切りが添えてある。

日本人なら絶対にやらないことだ。

これはハワイでもよくある、韓国人経営のナンチャッテ日本料理店に違いない。

天ツユはミリンだか酒の匂いがして、味か薄い。

蕎麦はコンニャクみたい。

天ぷらは美味しかったから、まあまあいいにしよう。

早まってここに入った私が悪い。


大きなダイソーがあった。全部1ドル50セント。レートからいえば100円ぐらいかも。

再び紀伊国屋で長居する。

浅田次郎の新刊を買おうか、しばし悩む。上・下合わせて23ドル。

単行本じゃない、小さな文庫本が、2600円ぐらい。

いつか職場にも入ってくるさ、と自分を慰め、買わなかった。



さすがに乗り換えには時間切れなので、2番に乗って新たにチケットをもらった。

そのまま乗っていればホテルまで行くのに、また時間も早かったし、

なんとなくユニオンスクエアで降りた。

ショッピングに興味がないのに、なぜブランド街で降りたかわからない。

ユニオンスクエア内には多くのアーティストが絵を売っていた。

見て歩いているうちに、一人のアーティストの作品の前で足が止まった。

エッチング(銅板の版画)で作られた作品は、全て物語が土台になっている。

タンポポの綿毛に願いをかけて、一つ一つの綿毛に妖精がつかまって飛んで行く。

そんなファンタジーな物語だ。

それが、繊細な線と、優しい色使いで独特の世界が出来上がる。

どうしてもどれか欲しくなった。

聞けば、額なしで50ドルだという。

さっき23ドルの浅田次郎を買ったとして、

もう一つ買おうと思っていた仕事用のジーンズをやめるとする。

そうやって自分に言い訳をした。

どれも素敵で、この中から一つだけ選ぶのは難しい。

綿毛が最終候補に残ったけど、全体がブルーの、リスが親友のテントウムシと

木の洞でぐっすり眠っている絵を選んだ。

バックに天の川と月が浮かんでいるのもよかった。

ファンタジーの世界を描くのもいいなあと思う。

今日買った和紙で、早速ファンタジーを作ってみよう。ワクワクする。




足も疲れたし、また2番に乗ってホテルまで戻った。

バスを乗り継いでいくのは、パズルみたいで楽しい。



そうだ、紀伊国屋の隣の店で、義姉の誕生日プレゼントを買ったのだが、

その店の男性がハワイ生まれハワイ育ちだった。

場所も、ご近所のカイルアだという。

「It's a small world」

ほんとだ。

静岡県境のお寺で、実家の隣の家のおばさんに会った時も驚いたけど

世界は狭いもんだ。




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サンフランシスコ~サウサリート

2015-06-17 06:04:27 | 旅行
蜂蜜入りのアイスティを飲みながら、地図を眺めていると、

Sausalito

海に浮かんでいるその文字が飛び込んできた。

ソーサリート。そこは海を隔てて向こう側にあり、フェリーで行くらしい。

こんな暖かないい天気に船の旅なんて、素敵なことに思えてきた。

ソーサリートについては何も知らない。でも、大昔、同じ名前の喫茶店があって

よく行っていた。それがサンフランシスコにある地名だなんて知らずに。

地図だと、41番のピアからフェリーが出ている。

値段も時間もわからないが、とにかく行ってみることにする。


フィッシャーマンズワーフ方面に行けば、ピア41に近いので、地下鉄がいいだろう。

地下鉄といっても、ホテルがあるピア1からはずっと地上を走るので、路面電車みたいだ。

切符売り場がどこにもない。きっとバスやケーブルカーのように現金でもいいだろうと思ったら、

やって来た電車の開いたドアに、現金はダメと書いてあった。

それなら少し歩くが、ホテル前まで戻って地下鉄の駅に降りて買うしかない。

往復切符を買い、どうせここまで来たなら、ここから乗ればいいという安直な考えで改札を抜けた。

しかしどこにもフィッシャーマンズワーフの名前がない。

駅員に聞くと、その電車は地上からしか乗れないという。

「でも一旦改札を抜けてしまったんだけど?」

「大丈夫、大丈夫。ここから外に出て乗ればいいよ」

また地上のバス停(市バスと同じ停留所)に戻り、電車に乗った。

私はうっかり切符を電車の入口の機械に当ててしまってから、シマッタと思った。

既に地下鉄駅で改札を通っているから、また機械に通したら二重に払ったことになる。

ということは、せっかくの往復切符が無駄になったわけだ…


気を取り直して、ピア41付近で降りた。

フェリーは往復で23ドルで、片道30分かかり、今から20分後に出るという。

ちょうどいいので、切符を買い、フェリーに乗り込んだ。

地下鉄に乗る前に、暖かいからジャケットやホテルに置いてこようかと思ったけれど、

持って来てよかった。太陽はサンサンと降り注ぐが潮風は冷たく、皮膚の感覚がなくなりそうだ。

それでも、デッキの中にいるのはもったいない。ジャケットを着込んで甲板に立った。

ゴールデンゲートブリッジを眺めながらフェリーは快適に滑る。

清水港から伊豆半島の土肥まで出ているフェリーみたいだ、と思う。

夫と出会った頃に乗ったことがある。

サンフランシスコのフェリーを、伊豆半島と同じにするのもどうかとは思うが。



きっかり30分でサウサリートに着く。

サウサリートは花があふれ、きれいに整備された可愛らしい所だ。

帰りのフェリーは1時間半後。

観光案内所で地図をもらうと、サウサリートはこじんまりした街で、1時間半あれば充分そうだった。

いくら地図を眺めても、自分がどこにいるかわからない。案内所の人に聞くと

私が見ていた地図の裏側が正解で、こりゃ地図があっても無駄だと諦め、適当に歩くことにした。



歩いてみると、やたらとギャラリーがある。

あとでわかったことだけど、サウサリートは芸術の街でもあるらしい。

すべてのギャラリーに入ってみる。胸がザワザワするような作品がいくつもあった。

海岸沿いの道を5分も歩くと、もう店は途切れてしまう。

引き返しがてら、パンの焼ける香りに誘われて一つのベーカリーカフェに入り

グリークサラダと卵サンドウィッチを食べた。

サンドウィッチのパンは、私が食べたこともない種類のパンで、

キメが荒いのに中はしっとりしていて、それを香ばしく焼いてある。

グリークサラダの具は、気持ちがいいぐらい大きく切ってある。まるで私が作ったみたい。

私の母は、私が刻んだ具材を見るといつも

「あんたはまあ、よくも大ザッパに切るもんだねえ」と言ったものである。



帰りのフェリー乗り場に行くと、自転車軍団が30人ぐらい待っている。

向こう側からレンタル自転車で来て、サイクリングして戻る人達だ。

その人らに向けて、黒人の係員が説明をしているのだが、それが面白い。

「自転車にはタイヤしかない。であるからして、水の上はうまく走れない。

くれぐれも甲板で乗るなよ。ここまでみんなわかったかい?そこの青いセーターの君、

甲板でしてはいけないことは?」

「裸で日光浴?」(ニヤリと笑いながら)

「おーし!エクセレント!君だけ居残りな」



物欲しげにアルカトラズを眺めながらフィッシャーマンズワーフに向かう。

なぜなら、アルカトラズツアーに行きたかったのに、来月の4日まで予約が一杯だったのだ。



往復の地下鉄切符を使ってしまったから、帰りは歩くことにした。

ランチのサンドウィッチがまだ胃に残っているし、今日はそれほど歩いてない。

30分ぐらいかと思ったら、意外と20分で戻ってきた。

夫が戻ってくるまで1時間以上ある。

今夜はエチオピア料理を食べに行くことになっている。




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