太平洋のまんなかで

南の島ハワイの、のほほんな日々

ドライヤー

2019-03-23 20:08:26 | 日記
髪の毛を乾かしていたら、突然、


ボンッ!


という音がした。

ドライヤーのコードの先の、コンセントに刺さっている部分がポロリと取れて

コンセントからはきな臭い匂いがした。

ドライヤーが、壊れた。

とうとう、壊れてしまった。





これは20年余前、誕生日に姉と妹から贈られたもの。

姉妹の誕生日は、前もって何が欲しいかを聞き、欲しいものがあればそれを贈るようにしている。

このとき、マイナスイオンのドライヤーが流行っていて、私はソレが欲しいと言ったのだ。

私はまだ最初の結婚時代で、家を新築したばかりだった。

箱から出して、スイッチを入れてみた。

2階の洗面所の窓から、庭に植えたラベンダーが風に揺れているのが見えた。

あれから、20年。

その家を出て、実家に身を寄せたときも、一人暮らしを始めた時も、

今の夫と一緒に住むようになったときも、ハワイに来てからも、ずっと使っていた。

これだけ長く使うと、愛着というより、執着のようなものが生まれる。

おおげさに言うなら、不安に押しつぶされそうな私も、孤独な私も、舞い上がるように幸せな私も、

このドライヤーは見つめてきたのだった。

何の変哲もない、普通のドライヤーだけれど、もしこれが壊れたら嫌だなと思いつつ使っていたのだ。

それが、壊れた。

とうとう、今日。





昨日、毎朝の朝食に使っていた、お気に入りのお皿が割れた。

今朝、車の中に付けてあったサンキャッチャーが、落ちた。

友人が手作りした、7つのチャクラの色を組み合わせたもので、小さいので車につけた。

それをつけて、わりとすぐ、車をコンクリートの柱にゴッツリぶつけてしまった。

が、いろんなラッキーが重なって、私はそのサンキャッチャーが守ってくれたのだと思った。

それが、今朝になって、何度つけ直しても、すぐに落ちてくる。

壊れたわけではないが、車での役目は終わったということなのだろう。

物には、寿命がある。

それは物理的に寿命を迎えるように見えるけれども、

その役目を終えた、エネルギーが変わって、そこにいられなくなった、

そういうこともあるのかもしれない。

満月のあと、なにかが違っているように思うのは私だけだろうか。












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映画 Hacksaw ridge

2019-03-23 07:54:25 | 勝手な映画感想
ひさびさの映画話。

戦争ものは苦手だ。

長い歴史の中、こんな虚しいことを繰り返す人間の浅はかさを見るのはつらい。

けれど、この映画は観る価値がある。




これは実話である。

デズモンドという主人公の青年の父親は、自分が参加した戦争のトラウマから逃れきれずにアルコール中毒。

母に暴力を振るう父に向かって銃を向けてしまい、引き金はひかなかったものの、心の中では父を殺していた。

そのことがあってから、彼は一切銃に触れないと心に誓う。

彼は看護兵になりたくて軍に志願するが、訓練の中では銃に触れずにいることはできない。

訓練なのだから、適当にまわりに合わせておいて、実践では銃を使わなければいい、というようなことが

彼にはできない。

そのためにいじめにもあい、裁判にまでなり、追い詰められるのだが意外なことが彼を救う。

結局、彼は多くの仲間を(中には日本兵まで)救い、戦争のあとも生き延びて、

数年前に寿命を全うして亡くなった。

映画の終わりには、彼自身と、実際に彼を知る人々の談話がいくつも出てきて興味深い。



HACKSAWというのは沖縄の、崖の名前だと思う。

第二次世界大戦の終盤、激戦となったその場所は、垂直に切り立つ50m以上の断崖だ。

崖の上には日本軍がおり、崖の下からアメリカ兵がロープを伝って崖を上がってゆく。

戦争という狂気の中にあって、デズモンドは聖書を肌身離さず持ち、自分の信念を貫く。

敵に囲まれ、弾が飛び交う中を一人残って傷ついた仲間を助ける。

一人助けるたびに、

「神よ、どうかあともう一人助けさせてください」

と祈り、戦場に戻ってゆく。

特定の宗教に信仰をもたない私だけれど、深く信じることはなんと人を強くするものだろうかと思う。





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