太平洋のまんなかで

南の島ハワイの、のほほんな日々

普通なんて100万たらある

2023-01-19 07:30:15 | 日記
日本に住んでいた時は、身近に性的マイノリティの人はいなかったけれど、
今はいろんな人に囲まれて暮らしている。
レズビアンも、ゲイも、バイも、トランスジェンダーも同僚にいて、いないのはクエスチョニング(Q:性的志向が定まっていない)だけだ。

若い頃、普通にいかない自分の人生を嘆いたことがあったが、あの頃はなんと狭い世界で生きていたことか。
当時、私が思う普通とは、20代前半で恋愛して、祝福されて結婚し、何人かの子供を持つというようなものだった。
その通りにいかないからといって、嘆く必要などまったくなかったのに、嘆かざるを得ないような風潮が、確かに社会にはあったと思う。
私が離婚した20年前ですら、実家のあたりではまだ「出戻り」という雰囲気が残っていたのだ。

普通、25歳までには結婚するでしょ。(信じられないだろうが、25歳すぎるとクリスマスケーキと言われて価値が下がった時代)
普通、男と女がカップルでしょ。
普通、結婚したら子供ができるでしょ。
普通、一生添い遂げるでしょ。
もしこの時代に、私が同性愛者だと言ったら、ご先祖様に顔向けできず、家族全員で墓場まで持っていくような大ごとだったはずだ。


それを思えば、この20年の社会の変化には目を見張るものがある。


いくらか人生経験を積み、さらに日本の外に出たことで、私は様々な生き方に寛容になったと思う。
それは私個人だけのことでなく、社会全体も少しずつ寛容になってきている。
夏にドイツのフランクフルトの空港に行った時、バスルームが「女性」と「男性」と「その他」と3つあった。
ハワイの運転免許証の書き換え時にも、確か女性、男性、その他と選べるようになったはず。

トランスジェンダーの同僚が(彼女は心は男なので男性に移行中)、ガールフレンドの生後8か月の子供をとても可愛がっていて、クリスマスパーティにも連れて来た。
ガールフレンドのことは「ママ」で、自分のことは名前で呼ばせたいのだそうだ。
普通、男が父親で女が母親でしょ。
という観念は、吹っ飛ぶ。
子供を愛せない、血のつながりだけの父よりも、子供を心から愛せる他人のほうがずっといいのでは。


普通、は、常識、とも言い換えられるかもしれない。
誰かの常識は、他の誰かの非常識。
あなたの普通は、他の誰かには普通じゃない。
普通なんて100万たらあって、それでいいのだ。
もっと誰もが、自分を偽ることなく楽しく生きられる世界になっていくといいと思う。