太平洋のまんなかで

南の島ハワイの、のほほんな日々

アメリカに愛想をつかすとき

2023-01-23 13:08:46 | 日記
1週間ほど前のことだ。
仕事中に、脇の下の背中側のあたりがチクチクと痒かった。
なににしろ、痒いときには掻いてはだめなので、掻かないようにしているうちに忘れてしまった。
帰宅し、鏡で見たら、その部分がうっすらとピンク色になって、少々盛り上がっていた。
汗疹の類だろうと、シャワーのあと薬を塗っておいた。

翌日、太ももの前側の付け根がチクチクし、あれよと言う間に皮膚がピンクになって盛り上がってきた。
一部のその形が、輪っかのようだ。
これには見覚えがある。

8年前、遺棄されていたチーズケーキ達を保護したあと、夫と私の両腕にリングワームができたことがあった。
輪ゴムのように丸く皮膚が赤く盛り上がるので、リングワームというのだが、これは動物から感染することが多いらしい。
糸状菌という菌、つまりカビによって起こるもので、動物に触れなくても、免疫力が落ちているときに感染してしまうというから、空気中にふわふわと漂っているものなのかもしれない。

これが、ものすごく痒い。

腕の脇の下の背中側は、皮膚の盛り上がりは消えて、よーく見るとうっすらと部分的に皮膚の色が変わっている程度で、痒みはない。
ところが太ももの付け根は、範囲も広く、皮膚は盛り上がっていて、しかも輪っかになっているのもあり、かなり痒い。
8年前にリングワームになったときは、市販のクリームを毎日塗って完治した。

今回、範囲も広くて痒くてたまらないので、皮膚科に行くことにしたのだけれど、ここがアメリカの医療保険の嫌な所で、いきなり皮膚科に行くことができない。
まず主治医の予約をとり、そこで皮膚科を紹介してもらい、そこで初めて皮膚科の予約がとれる。
だから、今、医者が必要なのに、医者に行けるのは1か月以上も先、ということが起こる。
緊急の場合はエマージェンシーに行くのだが、6時間ぐらい待たされる上、そこにいる医師の専門外だった場合、気休め程度の処置しかできない。

私の日本人の友人が、老後は日本に帰ることにしたと決めたのは、その点だった。
ひどい腰痛で、起き上がることもできず、今すぐにペインクリニックにかかりたいのに、1番速くて3か月先。
幸い、痛みはひいたけれど、この先のことを考えるとアメリカには住めないと彼女は言うのだ。
行きたい病院に、今日、行くことができる日本は、なんと良い国だろうか。


とにかく2月3日に主治医の予約がとれた。
それまで2週間近く、そこで皮膚科の予約をして、実際皮膚科に行けるのは今から最低1か月はみたほうがいい。
その間、市販のクリームを塗ることにした。

アメリカで、昔からサプリメントが非常に普及しているのも、売薬の効き目が日本の薬よりも数倍良いのも、結局、病院にかかるまでに時間がかかり、面倒だからじゃないかと思う。
そして、アメリカ人の平均寿命が日本よりも若いのも、きっとそのせいではないかと私は思っている。
ちょっと具合が悪くても、すぐには病院にかかれないから我慢する。
ようやく病院にかかったときには手遅れ。

アメリカにはアメリカの良さがある。
私は夫が元気でいてくれる限り、アメリカに骨を埋めようと思っているけれど、
こと医療制度のお粗末さにはほとほと愛想がつきるのである。