自遊空間、 ぶらぶら歩き。

日々見たこと、聞いたこと、読んだこと、考えたこと

僕は給食を食べていません(新風舎)~富田麻予さん

2008-01-31 | 
この本を読んだのは昨年の4月です。

その頃、給食費不払いが社会問題になっているときで、図書館の新刊本コーナーで「・・・給食・・・」という文字が目のすみに入ったのでした。

本の内容はベジタリアン一家なので、学校給食は食べられなかった、息子さんのことを中心にした話でした。

それでも、著者のお子さんは学校生活を、さほどのあつれきなく済ませ、大学生になったこの当時は身長180cmを超える、立派な体格の持ち主でした。

何でも人と同じことをしていればいいじゃないか、給食はありがたく食べていたらいいじゃないかと思いがちな私としては、こういう生き方もあるんだなぁと、結構おもしろく読み終えました。

それに、この本の発行所(出版社)名「新風舎」にも注目でした。
この本の体裁はA5判ぐらいで、100ページ足らず。1150円という定価は現実的ではないなぁと感じました。

一昨年あたり、文学賞、写真賞などを公募して、応募してきた人に、強引に出版を勧めるという商法はおかしいんじゃないかと訴える声がWeb上で話題になっていました。新風舎で検索するとたくさん出てきます。

新風舎から本を出している人には著名人も多いし、話題になった本もあるし、本作りの何たるかを知っている、かつての同僚の本も見かけたりしたので、会社自体はインチキではないと思っていました。

それに、こうやって共同出版(多分この本はそうでしょう)扱いの本でも、公立図書館に置かれ、縁もゆかりもない私が手にとって読むことができました。

悪いことばかりじゃないなー、これも一つの出版の形だと思えました。

ところが、今年になって新風舎は倒産。同時期に倒産した草思社は再建も期待されるのですが、新風舎は民事再生法の適用もかなわず、破産の手続きに入ったそうです。

どこかの書店で自分の本が売られると期待していた人たちは在庫を定価の20%で、引き取らなければならなくなりました。引き取らなければ断裁です。

さらに問題なのは1000件を超えるといわれる出版準備中の本です。
前払い金の平均は1人あたり100万円だとのこと。

夢を食い散らかした罪は重いんじゃないかな。




コメント
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