自遊空間、 ぶらぶら歩き。

日々見たこと、聞いたこと、読んだこと、考えたこと

君たちが知っておくべきこと(新潮社)~佐藤優さん

2018-06-09 | 

灘高校には在校生が同校を卒業した先輩を訪問するという生徒会主催の行事があるのですが、佐藤優さんの博学ぶり、活躍ぶりを著作等で知った生徒たちが佐藤さんに会って質問したり意見を述べたいと申し出があったのだそうです。

埼玉県立浦和高校出身の佐藤さんですが、こういった企画を何年か温めていたこともあって、快く応じ、3年にわたった、生徒たちとの交流がこの本になりました。

 

佐藤さんが灘高に興味をもったのは、予備校時代に教わった灘高出身の講師に強烈に惹かれたからでした。

まえがきにこうあります。
・・・灘高の生徒たちと話していて感じたのは、この少年たちは受験勉強のような技術的な事柄は、短時間かつ効率的にこなした上で、自ら知性と人間力を伸ばす内在的な力を持っていることだ。東大進学者数の推移に一喜一憂するような高校とは、質的にまったく異なる。他人の気持ちになって考えることができ、自らの知的好奇心に基づいて、大学、場合によっては大学院レベルの学術的な専門事項についても消化することができる傑出した人間を形成するところに灘の教育の本質があるのだと思った。
と。

佐藤さんは外務省をドロップアウトして(させられて)、逮捕歴まであります。東京拘置所に500日以上勾留されました。単なるお勉強のできるお坊ちゃまたちだったら、あえて近づかない人物かもしれません。

でも、灘高の生徒たちにとっては誰からどんなことを学びたいかが重要なことなのでしょう。

エリートは独自のノブレス・オブリージュ(高貴さは義務を強制する)つまり社会の指導層として果たすべき特別の義務をもつ。
その精神は皆さん(訪ねてきた生徒たち)の年頃から形成していかないといけない。と、佐藤さんは将来の日本のエリートになる生徒たちにに語ります。

森友学園といい、加計学園といい、日本大学といい、よりによって若い人たちを育てる教育の現場に嘘と不正がはびこっています。

真のエリートたちの成長を我慢強く待つことにしましょう。

分からない言葉、知らない歴史・事柄がたっぷり出てくる内容ですが、頭のいい人たちの会話は実におもしろいです。

 

 

 

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