倉本聰脚本のTVドラマ『歸國』を観ました。
倉本さんらしく、よく練られたせりふと筋立てです。
『北の国から』、『優しい時間』、『風のガーデン』・・・、いつも翌週が待ち遠しいドラマを創り上げてくれる倉本さんです。
画面暗い^^です。シーンのほとんどが。終電が終わった東京駅のホームに軍用列車が入ってくるとことからスタートしますからね。
始発電車が動き始めるまでのわずかな時間、その軍用列車に乗ってきた、南洋で命を落とした兵士たちがそれぞれ思いを残した故郷、場所、家族、恋人などのもとに散らばっていきます。
小栗旬さんが演じた上野の音大でチェロを学ぶ、木谷のエピソードにはせりふも小道具にも泣けました。
倉本さんは日本が豊かさを得たかわりに失ったものの多さ、人間の質が落ちたことを訴えたかったのでしょうが、そうとは言い切れないと私は思うのです。
少なくとも、太平洋戦争が終わって65年、日本は他国に戦争を仕掛けなかったし、国土を戦場にしませんでした。
ただ、沖縄の方たちには不自由な思いをいまだにかけていて申し訳ないのですが・・・。
「それは、国のために国がよくなるためにと戦った兵士たちがいたから」
と言われれば返す言葉がありません。
でも、いかに精神がきりりとしまっていても、便利とはほど遠い生活の中で、人間の知恵を使って暮らしていたとしても、戦争に向かって歩を進めてしまったではないですか。
案外、平和ボケの現代人のほうが戦争に突き進まないだけでも優れているかもしれません。
寝たきりのおばあちゃんの生命維持装置を少女が止めるところと、ビートたけしさんの妹にあたるおばあちゃんの息子=甥を彼が殺す場面は不要で、別の表現方法があるだろうにと思いました。
生瀬勝久さんのいつもより抑えた^^演技、最高でした。
向井理さんまた兵士と画家やってるし、ドラマとしては好きな部類に入ります。
でも、その訴えたいことには共鳴できない部分もありましたね。