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ナヌムの家のハルモニ(88歳)の声「合意内容は認めない」

2018-01-10 10:08:08 | 慰安婦問題

※この内容は2015年12月29日に投稿したものを、再投稿したものです。 

 安倍日本政府と朴韓国政府が「日本軍性奴隷問題」解決に合意した。

ナヌムの家」のハルモニは「韓国挺身隊問題対策協議会」で記者会見をし、「今日の結果をすべて無視する」と表明した。また、「当事者が生きている限り、当然、交渉に参加しなければならないではないか」「呆れる事に、今日の交渉は、(被害)ハルモニたちのためにではなかったと思う」と語気を強めた。

少女像」の「移転」についても「決して受け入れる事はできない」「少女像は、東京のど真ん中に建てて(日本人が)往来して謝罪してもすっきりしないのに、韓国に建てたものも他所に移そうとしている」「このように傲慢で罪というものを知らない者たちとの交渉で、解決はできない」と訴えた。

また、「この間、少女像を訪ねる度に、どれほど慰められたかわからない」「日本が謝罪した後に、寒空に裸足で座っている少女像に靴を履かせる」と語った。

また、「あの世に逝かれたハルモニたちに面目がない」「亡くなったハルモニの分まで死ぬまで戦う」とすすり泣きながら語った。

そして、「被害者は46名ではなく、亡くなった方々を含めて238名」だ。「金をちょっとやって『補償』すると言うけれど、罪を認めて『賠償』しなければならない」と訴えた。

妥結内容から見える「安倍政府」の問題点

 安倍政府は、朴政府に10億円を拠出する事により、「性奴隷問題」について今後再び問題が提起(安倍政府はこの問題をねつ造と解釈している)された場合、その責任のすべてを朴政府に負わせ、自己の責任から逃れた。つまり、朴(韓国)政府に、お金を包み、「ハルモニ」たちへの「最後の手切れ金(口止め料)」として使用させ、この問題で安倍(日本)政府は「ハルモニ」たちに対する加害責任を放棄し、朴(韓国)政府にその一切の対応責任を負わせた(肩代わり)。挺対協は「屈辱的だ」と声明を発表し、「慰安婦は日本政府が主導した犯罪であり、不法という点が明らかになっていない」と批判した。また、安倍首相による直接の謝罪がなかったことから「真心がこもった謝罪と受け入れるのは難しい」と批判した。また、真相究明や歴史教育などの「再発防止措置」の言及もないとも指摘した。

 この手法について日本国民は黙っていて良いのだろうか。我々は日本政府が今後二度と繰り返させないために、日本国民こそが安倍政府に対して「真相究明」を追及しなければならないのではないか。また、「日本軍性奴隷問題」を「女性の人権問題」として学校教育や国民啓発を推進させる事を要求すべきではないのか。安倍政府は「ハルモニ」や韓国国民を馬鹿にしているだけでなく、日本国民をも馬鹿にしていると理解すべきである。韓国と日本の国民は人権、「知る権利」「表現の自由」を有している、それを安倍政府により奪われようとしているのである。安倍政府は国民を支配しているのである。この手法こそが「安倍政府」を象徴しているのである。

日本国民よ、「日本軍性奴隷問題」をどう解決するかは、きわめて日本国民の問題でもあるのだ。

 

 

 

  

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慰安婦問題日韓政府合意:日本国民こそ主権者としての責任を自覚し安倍政権と翼賛メディアを検証し糾弾すべきだ

2018-01-05 00:12:50 | 慰安婦問題

 日本国民は安倍政権や政権を翼賛するメディアと同じ側の価値観に立ち続け再び過ちを繰り返して良いのか。相手の気持ちを理解していない行為はただ自己の気持ちを満足させているに過ぎない。しかし、その種の人間はそのような行為をしているにもかかわらず相手が感謝の気持ちを示さないと非難するものだ。それが独善的な安倍政権である。

 2015年12月27日、慰安婦問題に関して、日本の安倍政権と韓国の朴政権との合意の交渉過程などを調べていた韓国外相直属の検証チームが検証結果を発表した。

 発表の翌日、即座に、日本のメディア(朝日新聞)は社説に主張を載せた。それも、事実に基づかず安直に「外交交渉では、一方の国の押しつけはあり得ない」など、合意の正当性を強調する内容を趣旨としており、また、韓国文政権が対日関係改善のため、合意を尊重したい事を本音としていながらも、合意の見直しを主張する世論への対応に苦しんでいるかのような印象を日本国民に与えようとする(印象操作)書きぶりである。

 そして、合意の順守を表明し、着実に行動していく事を韓国文政権に求めている。このような日本メディアの主張は、「合意の見直しを認めない」とする価値観を表明するものであり、また、安倍政権の対応を正当であると認め支持している事でもある。安倍政権河野外相も「この合意は両国首脳間の合意であり、正当な交渉過程を経てなされた。合意に至る過程に問題があったとは考えられない。合意を変更しようとするのであれば、断じて受け入れられない」との談話を発表している。

 このような安倍政権や日本メディアの主張に対して、主権者国民は沈黙したままその意志を何も主張しないで良いのか。国民は加害者側の主権者として今こそ安倍政権の対応を検証すべきではないのか。

 以下に、安倍政権や翼賛するメディアの主張にごまかされず、真に慰安婦たちの名誉と尊厳を回復するためにどうすべきなのか、合意発表の翌年2016年1月23日に出された「バウラック声明」を改めて紹介しておきたい。

 バウラック声明

      「合意」では加害国日本の責任は果たせない

 2015年12月28日、日韓両外相は日本軍「慰安婦」問題に関する「合意」を共同で記者発表した。この「合意」で、

(1)日本政府は「軍の関与の下に、多数の女性の名誉と尊厳を深く傷つけた」事の「責任」と安倍首相の「心からのお詫びと反省の気持ち」を表明し、

(2)韓国政府が設立する財団に日本政府の予算で10億円を一括拠出し、すべての元「慰安婦」の「名誉と尊厳の回復、心の傷の癒しのための事業」を行うとした。一方、

(3)韓国政府は、民間団体が建てた在韓日本大使館前の平和の碑(少女像)に関し、撤去や移転等の対応について「努力する」と表明した。

(4)日韓両政府は(2)の実施を前提に、「慰安婦」問題が「最終的かつ不可逆的に解決される事を確認する」とともに、「今後、国連など国際社会でこの問題について非難・批判する事は控える」とした。

 ところが、同日の共同記者発表後の単独記者会見で、岸田外相は「日韓そして日米韓の安全保障協力も前進する素地ができた」「10億円は国家賠償ではない」「今回の合意で慰安婦問題は終止符を打った」と強調した。この発言は「合意」が「お詫びと反省の気持ち」に立脚したものではなく、「慰安婦」問題の政治外交決着を目論んだに過ぎない事を露呈した。

 日韓「合意」に対して、日本の全国紙等では評価・歓迎の論調が主流である。しかし、韓国の被害女性たちや支援団体は、日韓「合意」は、日本軍「慰安婦」制度が「軍の関与」レベルに止まらない不法行為であった事実を日本政府が認めていない事を批判し、被害者を無視して「解決」したと主張するのは詭弁であり受け入れられないとし、全国規模の抗議行動を続けている。

 私たちVAWW RACは、加害国に住む女性・市民の立場から「慰安婦」制度の責任(者)を明らかにする2000年「日本軍性奴隷を裁く女性国際戦犯法廷」を提唱したVAWW-NETジャパンの後継団体として、以下の観点から、日韓「合意」では加害国日本としての責任を果たせないと考え、今回の「合意」の白紙撤回を視野に、再協議を求めるものである。

 第1に、日韓「合意」の日本政府の事実認定と謝罪は、河野談話(1993年8月3日)よりはるかに後退している。「合意」は、「当時の軍の関与の下に、多数の女性の名誉と尊厳を深く傷つけた問題」とするのみで、「傷つけた」「責任」の主体(主語)を明示していない。「慰安婦」制度という性奴隷制をつくり、「慰安婦」事業、慰安所の維持・管理という犯罪を犯した主体は日本軍である。河野談話も、軍を犯罪の主体として明記しなかったが、「軍の関与」だけでなく、慰安所の設置、管理、「慰安婦」の募集、移送など具体的に例示し強制の事実を認めている。これに比べ、「合意」の事実認定はさらに曖昧になったと言わざるを得ない。安倍首相は朴槿恵大統領に電話で謝罪を述べたと伝えられている。しかし、安倍首相は、国会で直接の「謝罪の言葉」を求められたが拒否し、強制を否定する2007年閣議決定や法的責任はないとの認識に変わりはなく、「性奴隷ではない」とする答弁を行った。また「合意」発表直後に自民党議員が「慰安婦」は「職業売春婦」と発言し、岸田外相は国会で「性奴隷は不適切で使用すべきではない」と答弁するなど、政府・与党国会議員の事実認識は謝罪に反する言動である。責任を回避する事実認定は謝罪とは言えず、このような「合意」を被害者が受け入れるはずがない。

第2に、日韓「合意」で表明された、韓国政府の設立財団に日本政府が10億円拠金する事業は、国民基金(女性のためのアジア平和国民基金)以上の大きな過ちを繰り返す可能性が高い。先述の記者会見で岸田外相は、10億円は「全ての元慰安婦の方々の名誉と尊厳の回復に資する心の傷の癒しのための措置、あるいは医療サービスの提供、健康管理及び療養、看病、介護への支援」であり、「国家賠償ではない」と明言した。「国家賠償」でない「お金」と事業が、被害者と国際社会の非難・批判を「最終的かつ不可逆的に」封じ込めるためのものなら、「お詫び」「反省」と受け止められるはずはない

第3に、日韓「合意」は、被害者を完全に無視したまま、日本政府は被害者への説得や平和の碑(少女像)の撤去など数々の難題を韓国政府に丸投げした被害女性が「合意を受け入れない」と拒否しているのに、一体いかなる根拠によって「最終的かつ不可逆的に解決」したと断言できるのか。これでは、加害国日本の責任を果たす事はできない

第4に、日韓「合意」は、アメリカ主導の日米韓軍事協力のために、被害者をスケープゴートにした。アメリカは即座に「合意」を歓迎したが、今回の「合意」はアメリカの圧力の下、北朝鮮・中国の脅威を口実に「日米韓の安全保障協力」を前進(岸田外相)させるため、「慰安婦」問題を障害と見做し除去しようとしたのである。その意味で「合意」は、50年前に米国のアジア支配政策を背景に「最終的な解決」が確認された日韓条約締結(1965年)の構図の再現であった。被害者の人権回復より日米韓軍事協力を優先した「合意」によって、被害女性の「名誉と尊厳の回復」がなされるはずがない。

第5に、日韓「合意」では、河野談話で示された歴史教育や記憶の継承への決意が消失した。安倍首相は国会で平和の碑(少女像)が「移転されると理解している」との認識を示したが、民間団体が建てた平和の碑の撤去・移転を朴槿恵政権に約束させた安倍政権の意図は、記憶の継承どころか、日本軍の犯した戦時性暴力に関する記憶そのものの抹消にあるとみるべきだろう。当然の事だが、「慰安婦」問題の記憶遺産登録を、日韓政府の「合意」で封じる事はできない。

 以上のように、日韓「合意」は、「戦後70年」に歴史的汚点を付け加えるものになった。しかも日韓「合意」は共同記者発表しただけで、覚書や正式書面もなく、国際法上有効か否か疑問である。日本軍制奴隷制の加害は、日本が植民地支配、侵略・占領した全域に及んでいる。被害女性が望んでいない、加害国日本の責任を果たしていない日韓両国だけの「合意」で「解決済み」としてはならない。被害者は韓国以外にもいる事を忘れてはならない。加害国日本に住む私たちは改めて、日本政府に対し、日本軍性奴隷制による加害の事実を具体的に認定し、韓国を含む各国の被害者に対する法的責任を認め謝罪し、謝罪の証しとして賠償、歴史教育、記憶の継承などの具体的措置を実施する事を強く求める

 2016年1月23日

   「戦争と女性への暴力」リサーチ・アクションセンター(VAWW RAC)

                              運営委員一同

※この投稿の理解を深める内容が、カテゴリー「慰安婦問題」と「朝鮮問題」の中にありますので参考にしてください。

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姉妹都市関連決議:大阪市議会にみる自公・維新の狡猾さと価値観における相互の距離

2017-12-18 21:20:47 | 慰安婦問題

 2017年12月12日、大阪市議会はSF市との姉妹都市に関連する決議案を審議し採決した。市長与党の大阪維新の会は、「友好関係を根底から覆すものだ」として「解消」を主張したが、過半数に届いていないため「否決」、公明・自民両党は、「歴史ある交流関係を、時の主張の判断で断ち切ってしまうのは大きな損失だ」として「継続」を主張したが、こちらも過半数に届いていないため「否決」された。「解消」の主張も、「継続」の主張もどちらも否決されたという事である。

 ところが、興味深い決議案がもう一つ提出されており、それは「可決」されたのである。それはどういうものかというと、自民党が提出したものであるが、SF市が慰安婦像を市有化した事について、「看過できない」と批判する内容のものなのである。そして、この案に関して、自民、公明、維新の会の3党がそろって賛成しているのである。この点を見過ごしてはいけないのである。

 「看過できない」という意思を別の言葉で表現すれば、「認める事はできない」という事ではないのか。それを行動に表すならば、このままでは「交流を続けられない」「再考してもらいたい」という事になるのではないのか。また、このままでは「解消するぞ」という「圧力」「威嚇」「脅迫」をしているのではないのか。このような意味で、自民公明両党と維新は秘密裏に綿密に結託し、それぞれの役割を決め演じながら、SF市に「再考させる」とい目的を達成しようとしていると考えて間違いないのである。自民公明と維新は同じ「価値観「歴史認識」を持っているという事である。国民は気を抜かず、このような「価値観」「歴史認識」と闘う意思と体制を今後も維持する事が大切なのである。

 自民公明両党と維新が、非常に狡猾な連中である事を再確認すべきである。国民はこのような体質の政党に打ち勝つ能力を身に付けなければ、自らの生活を守り抜く事はできない時世となっているという事に、まだ間に合う、早く気づき、一つ一つ潰していかなければならない。

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吉村大阪市長(維新の会)の慰安婦碑文公開書簡問題:安倍政権の主張を代弁し独善的で偏向した価値観を持つ偽善者、主権者大阪市民の価値観こそが問われている

2017-11-25 16:34:10 | 慰安婦問題

 吉村市長がサンフランシスコとの姉妹都市提携の解消を表明し、市長権限(姉妹都市解消に市議会の議決は不必要)を行使しそうなので、主権者である国民、特に当該の大阪市民に、この吉村市長の価値観や歴史認識を正確に判断し、市民として意思を表明していただくために参考としていただくよう下記を再掲載しました。大阪市民こそ主権者である、それにもかかわらず、その意思を表明する動きがなく、静観を通しているようですが、その態度は世界の国民の目からは、大阪市民が「吉村市長の言動を支持している」ように見えています。そうでないのであれば、「そうではない」という意思を大阪市民は表明すべきです。さらに、吉村市長(大阪維新の会)が市民の意思を理解しない市長であるならば退場させるべきです。この事件は、大阪市民自身がその意思、姿勢、価値観、歴史認識について、サンフランシスコ市民からはもちろん世界の国民から、不信感を抱かれその姿勢を問われていると理解すべきなのです。

※以下は2017年10月15日の投稿したものですが、改めて掲載します。

 大阪維新の会は、その体質の核に「人権無視」が存在している。大阪府知事の松井氏も、大阪市長の吉村氏もである。大阪維新の会の行政は大阪府市民がそれまで築き上げてきた文化と生活を破壊してしまった。そして「薄っぺらな大阪文化」にしてしまったといえる。これは大阪維新の行政が、世界の諸国民にとって普遍的な価値とされている「人権尊重」に逆行するものであるからである。大阪府市民は、大阪維新の会の行政がこれからも継続すれば今まで以上に生活しにくい大阪になっていく事に目覚め、退場させるべきである。国政も地方行政もどんな政策を実施しようとも、国民や府市民の「人権尊重」の意識に基づいたものである事が最も重要である。そのような意識を有した国会議員を衆院選では選ぼう。議員の政治哲学を見極める事判断する事が大切である。 

 吉村大阪市長は2017年9月29日付で、米サンフランシスコ市のエドウィン・リー市長に、「慰安婦像を公有地に置かれるなら姉妹都市関係を見直さなければならない」との抗議文を送っていたが、それに対しリー市長は「恥ずべきことだ。過去ではなく未来を見るべきだ」とする書簡を10月2日付で返信してきている。

※※以下の内容は2017年2月13日に投稿したものを再掲したものです。

 吉村大阪市長は、米サンフランシスコ市(姉妹都市)芸術委員会が慰安婦像のデザイン案(1月9日)と碑文案(1月18日)を承認した事に対し、2月1日に公開書簡を送り、3日付の返答書簡を受け取ったという。

 碑文の内容は、「この記念建造物は、1931年から1945年に日本帝国軍性的に奴隷化されたアジア・太平洋地域13ヶ国の数十万の女性と少女、いわゆる「慰安婦」の苦しみを証言するものである。これらの女性のほとんどが戦時中の捕らわれの身のまま亡くなった。この暗い歴史は、1990年代に生存者が勇気を持って沈黙を破るまで数十年間も隠されたままだった。彼女達は、戦争戦略としての性的暴力は人道に対する罪であり、政府は説明責任を負わなければならない、ということを世界が宣言する一助となった。この記念碑は、これらの女性を記憶するため、また、世界中から性的暴力と人身取引を撲滅するための運動に、捧げられる」(大阪市)というものである。これに対して、

 公開書簡では、まず、一昨年の12月の日韓両国政府の合意との関係で、本市にとって「合意の精神を傷つけるもの」で、「大変遺憾である」とした。ここでは、サンフランシスコ市が「合意」に反し無にする行為であり、残念であるとしている。これは、吉村市長(大阪維新の会)が安倍政権を支持する立場を取っている事を表明しているのである。

 また、「歴史を直視し、世界各国が共有する普遍的価値のひとつである女性の尊厳と人権を尊重する世界をめざすことは重要である」としながら、「歴史研究者の間でも議論が分かれる慰安婦の数、旧日本軍の関与の度合い、被害の規模について、不確かで一方的な主張をそのまま歴史的事実として碑文に記することは、歴史の直視ではなく日本批判である」とした。

 この考え方は、前半の部分は「大阪維新の会」が「人権無視の体質」を持っている事を考えれば建前として述べているだけと見做すべきで、後半の部分が本音と考えてよく、この部分も安倍政権とほぼ同じ姿勢に立っている事を示している。

 公開書簡はまた、「サンフランシスコには日本人・日系アメリカ人が多く暮らしている。……疑義のある不確実な文言と日本のみを非難の対象とした文言が……地域に分断を持ち込むこととなりかねず、両市の交流、果ては日米関係にも悪影響を及ぼすのではないかと大変懸念している」としているが、これは碑文の内容を正しく理解しようとしていないだけでなく慰安婦問題や慰安婦像・碑文を設置する運動団体や市の目的はもちろん、米国国民の意識状況もまったく理解しようとしていない事を示すとともに、自己(大阪維新の会)や安倍政権の考え方こそが正しいのだとする独善的で傲慢な態度と、サンフランシスコ市住民と米国民の利益を考えているように思わせながら、本音では安倍政権や自己(大阪維新の会)の利害だけしか考えていない無味乾燥な「懸念の言葉」を連ね、偽善者ぶりを鮮明に暴露したものである。もちろん、前市長橋下徹氏と同様、大阪市民の人権や利益を考えているわけではない事も、これまでの大阪維新の会の人権無視の政策を振り返れば理解できるであろう。

 そして最後の部分で、「今後も貴市とは未来志向でのさらに強固な関係を築きたいと願っているところであり、この問題について姉妹都市の市長として貴殿の慎重な対応を強く望む」として、吉村大阪市長の本音を再度念押ししているのである。

 大阪市長の公開書簡に対するサンフランシスコ市からの返信は、「碑文の文言が事実に基づいており、(人身取引の問題について啓発するという)真の目的を伝えていると市機関が判断した。数十万人の女性らが慰安婦とされたなどとする碑文の内容は市議会が2015年に全会一致で慰安婦像の設置を支持した決議文から引用されている。(大阪市に対しては)前向きな姉妹都市関係の継続を望んでいる。市民に選ばれた市長として、コミュニティーに応じる責務がある」としている。

 米国下院では2014年1月15日に、07年に下院を通過した「慰安婦決議案遵守を促求する法案」が通過している。2015年7月28日には、先の07年に米下院で慰安婦問題について日本政府に謝罪を求める決議が採択されて8年を記念する集会がワシントンで開催された。

 2013年12月18日の毎日新聞には、キャシー・マサオカ(公民権と補償を求めるニッケイ共同代表)氏が「米国の慰安婦碑に賛同」と題して投稿している。内容は「少女像は、戦時性奴隷や世界各地で今も続く性暴力に思いを寄せ、平和と正義を願う普遍的モニュメントだ。米社会の連帯が、元慰安婦の女性に証言する勇気を与え、傷を癒すのに役立つよう願う。……第2次世界大戦中に強制収容所に送られた日系アメリカ人12万人の補償運動の中で私たちは、在日コリアンや米国内のアジア系団体、アメリカ先住民と連帯し、マイノリティーへの差別は日系人だけの問題ではない事を学んだ。……新事実が明らかになると同時に、被害者にとって傷ついた尊厳を取り戻す一歩になると、日系人は経験で学んだからだ。日本政府は、元慰安婦に対しアジア女性基金による償いをし、問題は解決済みだという。しかし、だから何もしなくていいという事にはならない。元慰安婦の尊厳を傷つける態度は、国際社会での印象を悪くしている。……日系社会は補償を受けた後、全米各地の収容所跡地に碑などを残した米政府は解決済みとは言わず、追悼行事を今も支援し続けている。米国で記念碑建立は歴史を共有する大切な行為だ。……日系人はロサンゼルスのリトル東京に第2次世界大戦中にユダヤ人を救った杉原千畝の碑を建てた。」

 2015年5月5日、米国の日本研究者や歴史学者ら187人が、戦後の日本と近隣諸国の平和を称賛し、慰安婦問題などについて全体的で偏見のない清算を呼びかける内容の声明を発表した。

 国際連合からも勧告を受けている。08年10月30日の国際規約人権委員会の最終見解では、慰安婦問題では「法的責任を認め、謝罪するべきだ」として、「決着済み」とする日本麻生自民党政府の主張を退けた。また、「生存している慰安婦に十分な補償をするための法的、行政的な速やかな措置」を求めた。

 2015年5月31日には、「拷問禁止委員会」は旧日本軍の慰安婦問題で「日本の政治家や地方の高官が事実を否定し、被害者を傷つけている」とする勧告をまとめた。「慰安婦制度は必要なのは誰だってわかる」「強制連行を示す証拠はない」などの橋下徹氏の発言について日本安倍自民党政府の見解を糾している。また、元慰安婦に対する公的な補償や救済措置がなく、関係者の訴追が行われていないと懸念表明。また、すべての歴史教科書に慰安婦問題を含める事を要求。

 参考までに、ドイツでは、ナチスに虐殺されたユダヤ人犠牲者のための記念碑、記念施設をブランデンブルグ門の南に設置している事を最後に書き加えておこう。 

 

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自民幹事長・二階氏もやはり安倍ワールドの資質(単純幼稚自己中心権威主義的な人格)を有していた。

2017-06-28 10:42:18 | 慰安婦問題

 安倍政権と韓国の新政権との間で関係が悪化している問題として最大のものは、「慰安婦問題」であろう。安倍政権と朴政権との間の政府間合意について、韓国新政権が見直しの動きを見せているからである。

 6月10日に自民党幹事長の二階氏が韓国を訪問し、木浦市で行われた韓国国会議員らとの会合で、挨拶をしたようだ。しかし、その内容はこれまでの自民党幹事長には見られなかった言葉を使っていた。それは、日韓政府の関係改善や友好を訴えるつもりで、日韓両国にそれを妨げる動きがあるとして、「一握りの悪巧みをする連中は撲滅をしていくように、韓国の中にも一握りだけでもいるかも知れないが、見つけたら撲滅して」というものであった。

 この言葉の中の「悪巧み」とは何を意味しているか。それは「政府間合意に対する反対運動」という事でしかないであろう。その運動の高まりのために、合意をした日本側の当事者である安倍政権が、韓国の新政権の対応に対して不満や不安を抱いているわけだから。安倍政権は「反対運動は悪い行為」と見做している事を意味しているのである。しかし、このような動きが起こるのは、韓国国民(当事者の多くも)に受け入れがたいものである事を示しているだけでなく、日本にもそれを支持する多くの国民が存在するという事実を示している。日本政府が加害側でありながら対応にその自覚が見られず、被害当事者や被害側である韓国政府の立場を軽視して日本側の自己中心的な条約解釈を建前として、実際は体面を繕う(日本政府側の加害の事実が歴然として存在しているにもかかわらず、それを認めたくない)ためであるが、自らの都合を譲らず韓国政府に押し付けたという手法が原因である。

 そのような安倍政権(日本会議所属)が共有する意識を暴露する言葉が二階氏が発した「撲滅せよ」というものである。「撲滅」という言葉は被害側に誠意を感じさせるだろうか。この言葉は「力づくで滅す事」を意味し、その内には「自分たちは正しい」とする傲慢な意識がみなぎっていると言ってよい。決して看過すべきではない。また、そのような傲慢な意識を共有する安倍政権を支持する日本国民は、その事の意味の重大さを改めて考えるべきだ。安倍政権のこのような姿勢をとる事を可能にする背景には、多くの日本国民の無関心無責任な意識態度が存在するからであり、この状況は沖縄県の辺野古新基地建設問題と同様である。ちなみに安倍政権は韓国文大統領の米国での発言に対しても韓国政府に対して「抗議」したという。

 

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