明治維新100年記念事業は、1968年、第2次佐藤内閣が実施した。佐藤内閣は1966年4月15日、内閣に「明治100年記念準備会議」を発足させ、同年11月1日号の「解説・政府の窓」で、その意図を表明した。それは、「現代の若人に共通の愛国的エネルギーの衰弱現象は、国家社会にとって重大な、そして危険な問題である。明治100年を契機としてめざましい近代国家発展の源となった明治の国民的エネルギーを再確認し、新しい意識を目覚めさせ、日本の第二の飛躍に役立たせたい」というもので、国家主義的意図が明確なものであった。そして、68年には、自民党はその運動方針の中で「明治100年を契機としてさらに新しい歴史学を創造し、占領史観からの脱却をはかり、思想混乱を一掃し、祖国愛と民族精神または防衛意識を回復させ、国民の理解を求め革命勢力の後退さらには粉砕をめざす」という大日本帝国下のような勇ましい決意を示した。ここには、戦後の歴史観(価値観)が思想混乱の産物と見做されており、大日本帝国下で、自由主義、民主主義、社会主義などあらゆる思想信条価値観を思想混乱と見做し弾圧したのと同じであった。
2018年に自民党は、「明治150年記念事業」を実施すると意気込んでいるが、その意図は、この「100年記念事業」の延長線上にあり、大日本帝国(憲法=自民党改憲草案)の復活である事を認識し、日本国憲法を大切に思う国民は抜かりなく対処しなければならない。