2024年9月30日朝日新聞朝刊は、(自公内閣が)古代の宮都「飛鳥・藤原」をユネスコ世界遺産の国内候補に推薦したと伝えた。しかし、購読者への伝達時期について感じた事は、推薦の前提となるユネスコ世界遺産センターの暫定リストに掲載された時期に行うべきであると思ったし、記事内容も単純な伝達でだけではなく、この推薦行為が、自公政権が現在推し進めている政治姿勢(憲法改悪)を考えれば、日本国の政治形態を近い将来大きく変質させようとする目的(国家体制(国体)を神聖天皇主権大日本帝国への回帰)に関連した政策の一環であると考えられる点にも思考を及ぼし、伝えるべきだと思った。
この推薦決定のきっかけは、自公政府文化庁が2006年に候補地を公募した事に始まり、11月には奈良県および関係自治体が名乗り出た。07年1月23日には追加申請対象に決定し、1月30日にはユネスコ世界遺産センターの暫定リストに載った。当時は「戦後レジーム(象徴天皇制、民主主義体制)からの脱却」「神聖天皇主権大日本帝国への回帰」を叫ぶ第1次安倍晋三自公内閣(2006年9月~07年9月)であった。その後、2023年7月3日岸田文雄自公内閣が「飛鳥・藤原」を優先候補とする事を決定し、同月4日には永岡桂子文部科学大臣が「飛鳥・藤原」を2025年に推薦し、2026年には審査登録を目指すとしたのである。しかし、自公政権の衰退崩壊気味の政治情勢のため焦っているのであろう、予定を早めているという事なのである。敗戦後、国民は国民主権(民主主義)、基本的人権の尊重、戦争放棄を選択したのではなかったのか?朝日新聞は、自公政権が、国民を奴隷のように犠牲にし、自分たち為政者権力者の富を得、殖やす過去へ逆戻ろうとする動きを見て見ぬふりをし共謀し共犯となるのか? 主権者国民に何を守るべきか?主権者国民にどう対応すべきか?を伝えるべきではなかったか?
※神聖天皇主権大日本帝国の「国体」とは「尋常小学修身書」の巻3巻5に明らかである。以下に紹介しよう。
巻3第27「よい日本人」
「よい日本人となるには、つねに天皇陛下・皇后陛下の御徳をあふぎ、又つねに皇大神宮をうやまって、ちゅうくんあいこく(忠君愛国)の心をおこさなければなりません。父母に孝行し、師をうやまい、友だちにはしんせつにし、近所の人にはよくつきあはなければなりません。しやうじき(正直)で、くわんだい(寛大)でじぜん(慈善)の心も深く、人からうけたおん(恩)をわすれず、人と共同してたすけあひ、きそく(規則)にはしたがひ、じぶんの物と人の物とのわかちをつけ、又せけん(世間)のためにこうえき(公益)をはからなければなりません。その外ぎょうぎ(行儀)をよくし、物をせいとん(整頓)し、しごと(仕事)にほねをり、がくもん(学問)にはげみ、からだのけんかう(健康)にきをつけ、ゆうき(勇気)をやしなひ、かんにん(堪忍)のこころつよく、物にあわてないやうにし、又けんやく(倹約)の心がけがなければなりません。かやうにじぶんのおこなひをつつしんで、よく人にまじはり、よのため人のためにつくすやうに心がけるのは、よい日本人になるに大切なことです。さうしてこれらの心がまえはまごころからおこなはなければなりません。
巻5第1課 我が国
「昔天照大神は御孫瓊瓊杵尊をお降しになって、此の国を治めさせられました。尊の御曾孫が神武天皇であらせられます。天皇以来御子孫がひきつづいて皇位におつきになりました。神武天皇の御即位の年から今日まで二千五百八十余年になります。此の間、我が国は皇室を中心として、全国が一つの大きな家族のやうになって栄て来ました。御代々の天皇は我等臣民を子のやうにおいつくしみになり、我等臣民は祖先以来、天皇を親のやうにしたひ奉って、忠君愛国の道に盡しました。世界に国は多うございますが、我が大日本帝国のやうに、万世一系の天皇をいただき、皇室と国民が一体になっている国はございません。我らはかやうなありがたい国に生まれ、かやうな尊い皇室をいただいていて、又かやうな美風をのこした臣民の子孫でございますから、あっぱれよい日本人となって我が帝国のために盡さなければなりません。」
(2024年9月30日投稿)