加計学園獣医学部新設をめぐる問題で、柳瀬唯夫元首相秘書官が「奇怪な」発言をし、コメントを出している。
「奇怪な」とは、主権者国民として「理解不可能な」という意味であるがそれはどのような点か?
柳瀬氏と愛媛県職員や今治市職員加計学園とが面会した事が事実であるか否かに関して、愛媛県が作成した文書内容は「事実」を裏付ける明確で十分な証拠であると言ってよい。しかし、柳瀬氏が2017年7月25日の参院予算委員会で複数回行った「私の記憶する限りはお会いしていない」という答弁や、2018年4月10日の「記憶の限りでは、愛媛県や今治市の方にお会いした事はない」というコメントや、同月13日の農水省内での愛媛県作成文書発見に対する「報道は拝見しました。私のこれまでのコメントの通りです」という答弁はすべて、その事実の「否定だけ」を表明する内容であり、それ以外の発言は「(国会招致については)国会の決定に従います」というものだけである。
つまり、柳瀬氏は「ウソをついている」(濡れ衣を着せられている)と告発され「名誉を毀損」されているにもかかわらず、積極的にその「冤罪を晴ら」し「潔白」を証明しようとする態度を見せない点である。これはあまりにも不自然である。
この態度については、色々な「目論見」があると考えられるが、遅かれ早かれ柳瀬氏が「ウソをついていた」という結果に落ちつくとして、今後安倍自公政権に有利に展開させるための「時間稼ぎ」をしているという事であろう。その意味で、柳瀬氏は安倍首相と結託しているのはもちろんであるが、相当の「悪党」であり、換言すればその態度は法に定める公務員の地位を逸脱し、私利私欲私益を肥やすために権力を濫用し主権者である国民を蔑ろにする行為である。断じて許す事はできない。
また、「(国会招致については)国会の決定に従います」と発言しているが、これは彼が誠実な人物である事イメージさせようとするもの(印象操作)であり、実はそうではない事を見抜かなければならない。なぜなら、彼が誠実な人物であれば、安倍自公政権や自民党の意思がどうであれ、国民の「真実を知りたい」という思いを真摯に受け止め理解し、自ら進んで「証人喚問」に応じ、国民が納得できるように「潔白」や「事実」の説明をしようとするのが自然であるからである。しかし、彼は未だにそのような態度を見せないという事が柳瀬氏の本音を暴露しているのである。
そして、柳瀬氏が上記のようにしないのは、安倍自公政権が守ってくれるという確信を持っているあるからである。しかし、安倍首相の都合次第で絶対の保証はないのであるが。また、柳瀬氏はこれからも安倍自公政権とは生死を共にする運命共同体として生きていく道を選択したという事である。
安倍首相は4月13日、「現在、行政に対する国民の信頼が揺らいでいる状況にある。徹底的に調査し、全容を明らかにし、うみを出し切って皆様の信頼を得るためにしっかりと立て直していきたい」「信なくば立たず。これは政治の基本だ」と述べているが、これがいかに定型の綺麗事をならべたものであり、自分が元凶であるために本気で事実解明する意思のない口先だけの言葉であるかを、ようやく国民の多くが学び確信してきたようだ。これから先、大切な事は、二度とこのような政権を誕生させてはならないという事と、安倍自公政権の価値観によって変質破壊消滅させられた部分を取戻さなければならないという事である。