最近、ジェブ・ブッシュ氏がインタビューで、イラク侵攻について、今知りえている事を当時知っていたら「支持したか?」と問われて、「支持しただろう」と答えたという。現在世界中で「間違っていた」といわれているのに驚くべき事だ。。しかし、さらにその後、発言を取り消そうとして「過去にさかのぼる事は、従軍した人々に対してひどい仕打ちだ」と述べたという。この表現に注意したい。これについてクルーグマン氏は、「ジェブ氏は、イラク侵攻時の最高司令官ジョージ・ブッシュ米大統領へのいかなる批判についても、代償を払った人々の勇気と愛国心に対する攻撃であると見せかけている」という。日本政府もイラク侵攻に関して、「誤りであった」とこれまで認めていない。ところでジェブ氏とよく似た表現を安倍政権はよく使っている。靖国神社への参拝を当然とする理由として、「国のために尊い命をささげた英霊に尊崇の念を表す」ためと。しかし、この表現はクルーグマン氏の言うように、「アジア太平洋戦争」は「侵略戦争」であるとする国民の批判をかわすために作られた「ゴマカシ」と解釈するのが正しいのではないか。
ジェブ氏は、外交政策上の上級顧問リストや大きな影響を与えているエコノミスト・リストを発表したが、彼らすべてがイラク侵攻や経済政策で誤った判断をしてきた人たちだ。クルーグマン氏は、「ブッシュ・ワールド」では「誤った判断」が必須の資格証明である、という。また、経験から学ぶ事を拒否する姿勢や極めて重要な問題で誤った人だけが受け入れられるような類の政治的公正が、最近の共和党に浸透している。そのため時の正統派の考えにただ疑問の声をあげただけで破門され、返り咲く事はまったくない。だから勝ち残っている「専門家」は、公認の過ちを犯した人たちばかり。すべてを過ち、それを認めないという共通の過去によって結びつけられた人たちだ、という。
現在、日本国内で、これと同様の体質を持つ政治経済勢力が「安倍政権」「安倍ワールド」だと言ってよいのではないか。
(2015年5月25日投稿)