つれづれなるままに心痛むあれこれ

知る事は幸福度を高める

国家と政府(自公政府)とは別物:日本人の「同質的国家意識」を利用した世論誘導「自虐史観」

2023-02-03 10:39:26 | 自虐史観
 英語で、「land」は「自然的な国土」、「country」は「歴史的共同体としての土または国」、「nation」は「近代に形成された政治的統一体としての国家」、「state」は「これらの上に構築された国家権力機構政府)」、をさす。これらは異質なものであるが、日本人の中の多くにとってはすべて同一の「」としてイメージされているようだ。多くの日本人は、異質のものを同質化し、その違いを明確に識別できない「」のイメージをもっている。この「同質的国家意識」は日本人のあり方を強く規制していると考えてよい。
 日本という「land」に住み、人々とともに「country」で生活し、「nation」としての政治的一体性をもてば、そこに当然、日本という「land」、「country」、「nation」への愛着が生まれる。これが本来の愛国感情である。ところが、日本人の多くにとっては日本の国家権力機構(政府)「state」もまた「」であり、「land、country、nation」との区別が明確ではないから、本来の愛国感情と国家権力機構(政府)への忠誠・献身とを混同してしまう。言い換えると本来の愛国感情がそのまま国家権力機構(政府)への忠誠・献身へ容易に転化する傾向をもっている。逆に国家権力機構(政府)の側からすれば、国家権力をむき出しにせず、共同体として装う事ができ、国家権力機構(政府)に不服従あるいは反逆する者は、共同体に刃向かう「非国民」として、排除しやすいということである。
 同質的国家意識は、一面ではあいまいな国家意識であるが、他面では強固な国家意識でもある。戦前の神聖天皇主権大日本帝国政府が作り上げた国家意識は、「国家神道的国体観念」と「同質的国家意識」とが合成されたものであり、「同質的国家意識」を巧みに利用して、「国家神道的国体観念」が注入されたといえる。
 日本人の多くが、神聖天皇主権大日本帝国政府による過去の侵略の事実を認めたがらず、何とか戦争を正当化しようとする動きが根強くあるのは、この「同質的国家意識」をもっているからである。
 日清戦争からアジア太平洋戦争にいたる、「神聖天皇主権大日本帝国政府」という「state」によるアジア侵略は、諸国民に多大の被害を与え、日本という「country」、「nation」にも多大の被害を与え、全「land」を焦土と化した。
 しかし、「同質的国家意識」のもとではこのような識別ができない。日本という「」は一体であり、すべてを包摂しているから、「国家権力機構(神聖天皇主権政府)」の行為を批判する事は、そのまま自己を否定する事になってしまうので、それはできないという事になる。
 これまでの歴史教科書の記述やその背景にある歴史観を「自虐史観」として批判し脱却しようとする動きがあるが、これは「同質的国家意識」を利用して、安倍自公政府(国家権力機構)が主張する、先の戦争は「自存自衛の聖戦」「侵略ではない」とする歴史観を正当化するための「世論誘導」「情報操作」なのである。そのための小道具が、「伊勢神宮」「靖国神社」「日の丸」「君が代」などなのである。
 
香港中文大学副教授・周 保松さんの言葉
「共産党の論理では、『愛国』イコール『愛党』。ところが天安門事件後、多くの香港人の心の中で愛国と愛党が分裂しました。我々が中国に関心を持つのは愛国心の表れですが、中国の共産党や政府に心を寄せる事ではありません
 
 我々日本国民も、同族的国家意識を、『愛国』イコール『愛自公政府』を、止揚して、新しい進化した思考様式へ切り替え、今までの『右翼の主張する』愛国心を持って、の声に惑わされず、『新しい(真の意味の)』愛国心を持って、日本の未来を創り出そう。
(2020年11月28日投稿)
 
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする