安倍自民党政権は自己の政治目的を達成するためには憲法も立憲主義も国民主権も踏みにじり手段を選ばない政治集団である事を、党内外を憚る事なく国民の誰の目にも分かる形で自責の念はもちろん微塵も見せず異常な慢心のもとに自ら暴露したと言ってよい。
憲法第53条に基づく野党の要求でやっと開会の目途がついたと思っていた9月28日召集予定の臨時国会には、国民が真相解明を要求している森友・加計学園問題や陸自日報問題についての審議には一切応じる意思はなく、冒頭解散をした。これでは何のために臨時国会を開会すると言ったのかという事になり、あまりにも主権者である国民を馬鹿にしているが、そのような態度に出た理由は、自民党の二階幹事長が9月19日の記者会見ですでに、森友・加計学園問題について「野党がおっしゃるのは野党の自由。我々はそんな小さな、小さなというか、そういうものを、問題を隠したりなどは考えていない」と切って捨てている言葉に表れていたのであり、彼らの認識はその程度でしかないという事である。ちなみに改造内閣発足後2カ月弱しか経っていない事については「日数において、この程度で解散に踏み切る総理のお考えは十分理解できる」と正当化していた。衆院解散の真の目的は国民に刻々と高まる安倍首相自民党政権に対する疑惑追及の動きを阻み粉砕し闇に葬ろうとするものである。
そして、その解散の建前の理由として、これまで安倍政権とトランプ政権が結託し、北朝鮮に対して故意に謀略的に世界で突出した挑発的好戦的な発言を繰り返す演出により捏造した北朝鮮情勢「北朝鮮の脅威」を掲げたのである。安倍政権は自己の圧力一辺倒政策に確固たる信任を獲得したいのである。そして、選挙勝利の暁には、さしあたっては北朝鮮に対する日米の軍事行動を合法化するために憲法第9条改悪(自衛隊の憲法明文化)や緊急事態条項の制定などを実現させようとしているのである。憲法改悪日本国憲法の否定である。これによって安保法制に市民権を与えられるからである。そしてその事によって以後堂々と日米両政府が軍事力によって北朝鮮(だけではないが)の主張を認めず抑え込めると考えているからである。しかし、そうする事は日米両政府のこれまでの北朝鮮に対する罪科とその責任を認めず隠蔽しようとするものでもある。
消費税の使途変更は人気取りのリップ・サービスであり、これまでの安倍政権の政治手法を振り返れば、単純に信用するのは「お人よし」が過ぎる。もし政権が本気で実現させるとすれば、それは教育内容を政権の思うままに牛耳る統制するためであって、国民のために国民の権利を尊重するためではない事は明らかである。
トランプ大統領は19日の国連総会の一般討論演説で、核とミサイル開発を進める北朝鮮に対して、それを自己への挑発行為とみなし、「今日、地球上にある苦難の根源は、国連がよって立つあらゆる原理原則を、少数のならず者国家が侵している(印象操作である)事にある」「米国と同盟国を守らなければならない時、北朝鮮を完全に破壊するほか選択肢はない」「北朝鮮は世界の脅威(印象操作)である、金政権が敵意ある振る舞い(印象操作)をやめるまで、政権を孤立させるために全ての国が協力する時だ」と訴えた。なぜこのような発言ができるのかといえば、トランプの思考や政治手法が有色人種差別思想に基づいているからである。西欧白人国家とアジアの国家とを分け隔てして対応しているからである。かつて米国政府が日本を実験台として原子爆弾を落とした意識と同じである。
安倍首相は20日の上記演説で、「対話による問題解決の試みは、無に帰した」「必要なのは対話ではない。圧力だ」と訴えた。また、NPTの正当性を主張し、自己のインドへの原発輸出を棚に上げ、核兵器禁止条約を否定する意図であろう「核不拡散体制は史上最も確信的な破壊者によって深刻な打撃を受けようとしている」と訴えた。また、ニューヨーク・タイムズに「これ以上対話をしても行き詰まるだろう。一刻も早く北朝鮮に最大の圧力をかけるべき時だ」と寄稿した。このような発想は、敗戦までの「鬼畜米英」と罵った政治手法や、日中全面戦争を開始する際、中国に対して「シナ軍の暴戻(あらあらしく道理にもとる事)を膺懲(こらしめる事)し、南京政府の反省を促すため」に出兵すると宣言したのと同じ政治手法である。また、安倍首相や自民党政権が自らの不法行為により招いた窮地(党難)でありながら、それを自己の北朝鮮政策を国民に押し付け総動員するために「国難」にスリカエて「国難突破」という演出をして国民を欺き解散したのである。
トランプ大統領の単独制裁についても、安倍首相は「従来にない圧力をかけていく観点から、米国の強力な新しい制裁措置を歓迎し、我々も支持する」と即座に支持表明した。ちなみに、ロシアのラブロフ外相は9月21日の国連総会一般討論演説で「単独制裁を科す事は不当であり、国際的な努力を台無しにする」「紛争の持続的な解決は、対話を通じてのみ可能であると世界史が証明してきた。だが、残念ながら西側では、外交ではなく、あからさまな圧力(を支持する声)が優勢になっている」「全ての関係国の対話に基づく、外交的な方策以外にない」と訴えた。中国の王外相も同じ演説で「平和への望みを断念してはいけない。交渉だけが打開への道だ」と述べているにもかかわらず北朝鮮の脅威をひたすら煽ってきたのである。
また、日米両政権は韓国政府の意思をほとんど無視して圧力一辺倒の姿勢を強めてきた。韓国政府(文大統領)は9月5日には、「問題は平和的な形で解決されなければならない。二度と再び戦争があってはならないというのが私たちの確固たる立場だ」「我々は北の大勢を崩壊させようとしたり、吸収統一を追及したりはしない」「北の安全を保障する中で、北の核問題の解決を追求しながら、韓半島の恒久平和を構築していく」と述べているにもかかわらずである。
韓国政府が北朝鮮に人道支援を行うと発表した事に対しても、安倍首相は「北朝鮮に対する圧力を損ないかねない行動は避ける必要がある」と求めた。菅官房長官も9月21日の会見で「国際社会全体として北朝鮮に対する圧力を強化する必要がある中で圧力を損ないかねない行動は避ける必要がある」と問題視した。
この件に関しては、韓国李首相は9月22日の朝日新聞とのインタビューで「ソウルは南北軍事境界線からわずか50㌔だ。60数年前には戦争も経験した。人道支援はすぐやるという事でも、現金を送るという事でもない。北の核武装を助けるというのは過剰な見方だ。韓国の置かれた特殊な状況を理解してほしい」と述べた。
それでもさらに、麻生副大臣は9月23日、政権責任者としてあるまじき発言である事を十分わかった上(分かっていなければその資格はない)で故意に、北朝鮮問題で国民をヒートアップさせる事を狙って、「朝鮮半島からの大量の難民が日本に押し寄せる可能性がある。武装難民かも知れない。警察で対応するのか。自衛隊、防衛出動か。射殺ですか。真剣に考えなければならない」と講演している。この件に関しては26日、韓国政府が、「日本政府の責任ある閣僚が最近、仮定の状況を前提に、北の難民について偏狭な発言をした事は、国粋主義的な認識を基礎にしたもので、難民保護に関する国際規範にも合わず、極めて遺憾だ」と声明を発表した。
トランプ政権と安倍政権は、自国の国民に対してはもちろん、世界の諸国民に対しても、大きなウソをついて仮想現実をつくりそれを信じさせ、世界をコントロールしようとしているのである。それが彼らにとって有益であるからである。
以下は、ドイツ・ナチスのヒトラーの『わが闘争』よりの紹介。
「大衆の支持を得ようと思うならば、我々は彼らを欺かねばならぬ。……巧みな宣伝をたえず用いれば、人々に天国を地獄に見せる事も、その逆に、もっとみじめな状態を楽園のように見せる事もできる。諸君の言う事を大衆に信じさせる秘訣は、諸君の言うウソの大きさにある。大衆は小さなウソより、大きなウソを信用する。なぜならば、彼らは、小さなウソは自分でもつくが、あまりに大きなウソは恥ずかしくてつけないからである。……人々の大多数は、その態度および性質において女性的であるから、彼らの活動や思想は、冷静な考慮によって動機づけられているというよりは、感情によって左右されている。……宣伝の効果は、したがって、つねに感情に働きかける事に向けられねばならぬ。……大衆の組織者は……大衆の弱点と野獣性につけ込むようにつとめねばならない」。また、「大きなウソ」の断定表現と繰り返しの重要性を説いている。
今回の衆院選で国民が安倍自民党政権を退場させる事ができるかどうかは、彼らの綱領、公約が国民(大衆)に対する「大きなウソ」である事に目覚める事である。
主権者国民は、小池の「希望の党」設立が綿密に計算計画された野党分断工作である事をしっかりと認識しておくとともに、前原が民進党代表の地位にありながら党内で民主的手続きを踏まず、離党者の後を追い「希望の党」に合流した事が極めて重大なハレンチ行為であり、決して許してはならないものである事をしっかり頭に刻んでおかなければならない。この前原代表の手法こそ主権者国民にとっての重大な困難、つまり安倍の言葉を使えば真の「国難」といえる。
詐欺情報に騙されてはいけない、甘い優しい耳障りの良い公約と「自民党・希望の党・民進党・日本維新の会」