安倍自公政権は、国民に対する安保法制強行採決の「口実」として「わが国を取り巻く情勢の変化」「中国の台頭、軍事拡張」「中国脅威論」などをあげ、それを国民に煽り日本経済の戦争経済化をめざしている。それに対して中国は2014年9月3日に習近平国家主席が、2020年までに人民解放軍230万人のうち30万人を減らす事を「宣言」している。安倍政権はこの「宣言」に真摯に応えるべきであろう。また、主権者国民に対し、誤った情報を提供し、世論操作をする事により防衛費増大の目的を達成しようとする事を断じて許す事はできない。
ストックホルム国際平和研究所(SIPRI)の「米中日独4カ国の軍事費」データによると、その増減は1990年を100とした場合、2014年では米国は約2倍、中国は約21倍、日本は1.8倍、ドイツは1.1倍となっている。
ちなみに世界の国々で軍事費を多い順でみると2014年では、米国6099(単位億米ドル)、中国2164、ロシア845、サウジアラビア808、フランス623、英国605、インド500、ドイツ465、そして日本が9位で458となっている。韓国は10位。
同じデータによって「一人当たり軍事費」をみると、1990年に、米国1227(単位米ドル)、中国9、日本202、ドイツ533であったが、2014年では米国1891、中国155、日本360、ドイツ562となっており、中国は日本の半分以下である。
IMF(国際通貨基金)統計で米中日独4カ国の名目GDP(国内総生産)をみると、1990年では、米国5980(単位10億米ドル)、中国404、日本3104、ドイツ1591であったが、2014年では米国17419、中国10380、日本4616、ドイツ3860。1990年を100とした場合、2014年では米国291(2.9倍)、中国2566(約26倍)、日本149(1.5倍)、ドイツ243(2.4倍)。
中国はGDPは26倍となり、軍事費は21倍となった事がわかる。GDPが増加しているためその中で軍事費が増加しているのであり、軍事費だけが突出しているのではないのであるから、安倍自公政権の「中国軍拡脅威論」のように大騒ぎをする事ではないのである。
IMF統計で「一人当たり名目GDP」をみると、1990年に、米国23914(単位米ドル)、中国354、日本25140、ドイツ20056であったが、2014年では、米国54597(2.28倍)、中国7589(21.45倍)、日本36332(1.45倍)、ドイツ47590(2.37倍)。
2014年の米国を100とした場合、中国は13.9、日本66.5、ドイツ87.2となっている。中国は世界第2位のGDP大国となったと言われているが、一人当たりでみれば「発展途上」にある国という事になる。
GDP(IMF)に占める軍事費(SIPRI)の割合(%)をみると、1990年に、米国5.12、中国2.53、日本0.80、ドイツ2.66であったが、2014年では米国3.50、中国2.08、日本0.99、ドイツ1.20となっている。また90年から2014年までの間の平均は、米国3.86、中国2.02、日本0.95、ドイツ1.51となっており、日本だけが増加しているのである。
(2016年4月18日投稿)