※2016年3月30日投稿の『文科相が朝鮮高校の無償化除外の上、自治体に補助金再考(差し止め)を通知』を再度投稿しました。なお、最高裁第三小法廷(山崎敏充裁判長)は2019年8月27日付の決定で、大阪高裁判決(授業料無償化の対象から除外した処分は適法)を支持し、学校側の上告を退け学校側の敗訴が確定した。
「教育への権利」の「無差別平等」原則は、「世界人権宣言」「子どもの権利条約」「人種差別撤廃条約」などに明記されており、世界の原則であり常識である。しかし、安倍自公政権にとっては非常識な事のようである。「坊主憎けりゃ袈裟まで憎い」である。
馳浩文科相は3月29日、朝鮮学校への自治体の補助金について、再考を促す異例の通知を朝鮮学校68校(6校は休校)がある28都道府県に出したという。「北朝鮮と密接な関係がある朝鮮総連(在日本朝鮮人連合会)が教育内容や人事に影響している」と指摘し、生徒への影響に配慮しながら補助金の公益性や効果の検討などを依頼したという。同日の記者会見では「(通知は)留意点を申し上げただけ。減額しろとか無くしてしまえとかいうものではない」と強調したが、通知後の各自治体の対応については把握するという。
文科省によると、日本全国の朝鮮学校には約6400人の児童生徒が通う。2014年度は18道府県と114市区町が朝鮮学校や生徒らに補助金を出しており、総額は約3億7千万円であったという。
今回の馳浩文科相の通知は、朝鮮学校へ補助金を出している自治体に対する、陰険な「止めさせるための圧力」以外の何物でもない。朝鮮学校へ通う児童生徒やその保護者は、消費税を含めて様々な税金を納めているにもかかわらず、また彼らが日本で国民に脅威を与える行動をとっているわけでもないのに、政府からは出さず、自治体にも補助金の差し止めの圧力をかけるという行為は、世界の先進国では「日本」ぐらいであろう。また、安倍自公政権は自身の政治は「正常である」と思い込んでいるようだが、私は「異常である」と考えるが、もし、安倍自公政権下の「日本人学校」に対して外国政府が同じような事をする事が起きたら安倍政権はどういう反応し対応を取るであろうか。そういう意味で安倍政権は異常である。恐ろしいほどに「傲慢」であるといえる。また、日本国は、政府自体が「人権侵害」(差別)「ヘイトスピーチ」を率先して行っている国になっているという事である。ついでに言えば、その安倍自公政府が「ヘイトスピーチ」を規制するためにどんな法律を作ろうとしているのか興味深い。
さてもし、各自治体が馳浩文科相(安倍自公政権)の意向に沿わない場合、馳浩文科相は他の補助金で減額したりなどの嫌がらせをするであろう事も、容易に推察できる。それほど質の悪い安倍自公政権なのである。やくざも詐欺師も「脱帽」である。以下はこの件について以前に書いたこれまでの経過である。
2016年2月17日、自民党は「北朝鮮核実験・ミサイル問題対策本部」や「拉致問題対策本部」などの合同会議を開催。
そこで、「北朝鮮」に対する日本独自の追加制裁として、文科省が「公益性の観点から朝鮮学校への補助金の支給が妥当かどうか厳密にチェックするよう地方自治体に求める文書を出したい」という考えを示した。
「高校無償化法」(公立学校等に係る授業料の不徴収及び高等学校等就学支援金の支給に関する法律)は民主党政権下の2010年1月に制定され4月から実施された。公立学校の生徒は授業料を払わなくてもよくなったし、私立や外国人学校などの生徒は就学支援金を支給されるようになった。しかし、朝鮮高校の生徒には、いまだに適用されておらず、支給されていない。
高校無償化法の制度目的は、第1条に「教育にかかる経済的負担の軽減を図り、もって教育の機会均等に寄与する事を目的とする」とあり、子供の教育を受ける権利の保障である。施行規則第1条には、就学支援金の支給対象として「専修学校及び各種学校」第1項第2号は「高等学校の課程に類する課程を置くと認められるものとして文部科学大臣が指定したもの」とあり、朝鮮高校も支給対象となった。2010年8月の「高等学校就学支援金の支給に関する検討会議」報告書は、「外国人学校の指定については外交上の配慮などにより判断すべきものではなく、教育上の観点から判断すべきものであるという事が、法案審議の過程で明らかにされた政府の統一見解である」としている。
しかし、安倍自公政権は2013年2月20日に、「無償化法」を改悪し、朝鮮高校を「対象外」とした。「審査中」で先延ばしした挙句に、法律を変えて審査対象から外したのである。国連の社会権規約委員会が「人権侵害(差別)」と批判したが、下村博文文科相は5月24日、「状況を理解していない中での見解だ」と反論し、他校の在日コリアンには適用している点などを理由に「民族差別ではない」、「朝鮮総連(在日本朝鮮人総連合会)と密接な関係にあり、法令に基づく適切な運営の確証がもてない」と主張し押し通した。
現在、朝鮮高校生約200人が原告となって全国5カ所で無償化の適用を求める訴訟を闘っている。
「朝鮮学校を支える宝塚市民の会」では、2010年4月に実施された「高校無償化法」から朝鮮高校だけが除外されているため、1人でも多くの市民に朝鮮高校の生徒たちの姿を見てもらい、理解してもらおうと、2010年12月から毎年1回、神戸朝鮮高校吹奏楽部を招いてソリオホールでコンサートを開催してきました。2014年1月からは、第4回のコンサート(2013年12月)での学生のアピールに応えて、毎月2回、高校無償化適用を求める街頭署名を続けている。宝塚陸橋での座り込み街頭宣伝は、5回目となる。今年も2月20日に座り込みを実施している。
安倍自公政権は、米国政府と結託し、朝鮮国を永遠の仮想敵国とする軍事経済国家を作ろうとしている。そして、現在の平和主義憲法を全面改訂(そのモデルは大日本帝国憲法であり、神聖天皇主権国家である)し、その目的完遂のために主権者である日本国民の様々な権利を剥奪し「奴隷」化を進めている。
(2016年3月30日投稿)