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日本軍性奴隷問題、安倍政権には加害者意識が感じられない

2015-12-27 21:53:14 | 慰安婦問題

 日韓両政府は、岸田文雄外相が28日に韓国ソウルを訪れ、韓国の尹炳世外相と会談すると正式発表した。日韓政府は「日本軍性奴隷問題」での妥結を目指しており、日本政府予算で医療・福祉支援を実施する事で最終調整。日本側が「新たな基金」を創設する方向で検討している。新たな基金は、安倍日本政府だけでなく、朴韓国政府にも拠出を求める「共同設立」で、韓国政府を関与させる事で「性奴隷問題」の「最終妥結」を担保する狙いがある。韓国政府に関与を求める背景には、1995年に日本政府主導で設立した民間の「女性のためのアジア女性基金(アジア女性基金)」の反省がある。「性奴隷問題」の解決を目指し「償い金」の支給事業などを展開したが、韓国内では「性奴隷」支援団体の反発もあり、支給が「一部」にとどまったからである。今回、安倍日本政府は外相会談で「最終かつ不可逆的な解決」を目指しており、「性奴隷」への支援事業には韓国政府の積極的な関与が欠かせないと判断した。

 安倍政権は、この問題について、これまで「性奴隷」とされた女性たちの主張や韓国政府の主張を認めていない。つまり、日本軍や日本政府が加害者である事を認めていないだけでなく、ねつ造扱いをし、誹謗讒言中傷し、名誉を棄損している。これらの行為については公的に釈明し謝罪する必要があるであろう。また、「新たな基金」の設立という事だが、その手法は日本政府が加害者であるにもかかわらず、被害者である韓国政府に対して拠出を求め関与させるという、主客転倒した思考が見られ、罪の意識が感じられず非常識そのものであり、呆れて絶句してしまう。

 また、お金で解決する事だけしか考えていないようで、「性奴隷」とされた女性の名誉回復をするという姿勢が感じられない。安倍政権は、「性奴隷問題」は法的に解決済みとの立場を変えず、「責任」という言葉に難色を示してきた。安倍首相は以前「首相として心から同情し、申し訳ないという気持ちでいっぱいだ」と表現したが、加害者側の表現として「同情」「申し訳ない」という言葉表現は使用すべきではない。第三者的な立場にある者が使用できるものである。加害者が使用する言葉としては誤っている。しかし、ここに安倍首相の本音が表れているという事である。また、安倍政権は「少女像」について、「日韓関係に悪影響を与えている事を認める必要がある」としているが、これも、加害者としての立場を理解していないものといえる。

 「性奴隷」にされた女性の支援団体「韓国挺身隊問題対策協議会」(挺対協)の常任代表・尹美香氏は先月、東京都内での新聞取材に対し、「『生活が苦しいからお金をあげましょう』という形では解決にならない。過ちを犯した側が、過ちをいかに認めるかが大事だ」と述べている。また、「少女像」については、「撤去すべきかどうかは被害者が考える事」と、日本側の要求に不快感を示している。

 韓国の「日本軍性奴隷」生存者は46人となった。そして、彼女たちは日本政府に対し、一日も早く公式謝罪と法的賠償をしてもらう事により、名誉回復がなされる事を求めている。

 12月5日、日本軍性奴隷の一人「チェ・ガプスン」ハルモニが亡くなった。1919年に全羅南道クレで生まれた。15歳の時、日本の巡査が父親を捕まえに来ましたが、8人家族で父親が連れていかれたら生計が成り立たないと、代わりに長女の彼女が連れて行かれる事になった。全州を経て満州の牡丹江まで連行され、日本兵だけがいる部隊で「性奴隷」生活を強いられた。部隊が移動するたびにあちこち連れて行かれ、8月15日に解放を迎えた後、3~4年間さまよったあげく、歩いて故郷のクレにたどり着いた。彼女は長い間老衰で病院で寝たきりだった。「罪を犯さず生きなければならない」と言われていたが、罪を犯した人々から謝罪も受けられずあの世に逝った。(挺対協)

「新しい基金」は「女性のためのアジア平和国民基金」(アジア女性基金)の時以上に、安倍政権の「傲慢さ」と「上から目線」が強く見られる。過ちを率直に認め謝罪できない見苦しい安倍政権。安倍政権が朴政権をねじ伏せようとしているように見える。これでは日韓友好は遠のくだろう。「過去に目を閉ざす者は現在にも盲目となる」

日韓友好はまだまだ遠い。

(2015年12月27日投稿)

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