日曜の午後、友人に誘われて武蔵野市民文化会館小ホールで、ニューヨーク在住の若手実力派ヴァイオリニストの松山冴花(さえか)さんのソロリサイタルを聴きました。私は彼女の演奏、はじめてでしたし、いつも古楽ばかり聞くので、モダン楽器でのソロというのも久しぶりでしたが、その演奏のテクニックのすごさと実力に、驚いてしまいました。こういう演奏をするためにどれだけ努力しているかと思うと、本当に頭がさがります。これこそ、プロの信条でしょうか・・。毎日ストイックに練習しているんだろうな。この曲を演奏するには、それだけの体力と練習量が必要なんだと改めてアマチュアとして私たちがいい加減なのかわかりました。
その日のコンサート、さすが武蔵野、たった千円なんですよ(彼女に申し訳ない)。それでこのプログラムって、どういうこと?と不思議です。
前半は
N.パガニーニ:24の奇想曲より 第5番
ミルシテイン:パガニーニアーナ
J.S.バッハ:無伴奏ヴァイオリン・ソナタ第2番イ短調 BWV1003
休憩後、後半は
E..イザイ:無伴奏ヴァイオリン・ソナタ イ短調 op.27-2
J.S.バッハ:シャコンヌ(無伴奏ヴァイオリン・パルティータ第2番より)
F.クライスラー:レチタティーヴォとスケルツォ・カプリスop.6
N.パガニーニ:24の奇想曲より 第24番
そして、アンコールにこたえてバッハの無伴奏からさらに1曲演奏してくれたんです。びっくりです!ジュリアード音楽院の大学院卒業ですが、実は私はジュリアード出身の演奏家、あまり聴いたことなかったのです。古楽の対極に位置しているようなものだったので・・。
以前、府中の楽器屋さんでおしゃべりしていたとき、オーナーが、日本の古楽界に疑念を持っていると言いました。古楽器だと、たいして勉強もしないままステージで学生が演奏してしまえるけれど、モダンの楽器では、本当に相当勉強しているのになかなかそれでもステージに立つまでいかない、かなりの練習量の違いがあるようなお話でした。それを思い出しました。
楽器の響きも素晴らしく、たった一人でこれだけ演奏して人をひきつける、なんともすごい逸材でした。今度は彼女の室内楽も聴いてみたいです。友人に感謝!
ストイックにと言った意味は、彼女の肩を見てです。楽器を持たなければ、水泳の選手?と思ってしまうかも。でも、本当に人前で演奏するには、あれだけの肉体を必要とするものなんですね。一年、ケーゲルシュタットトリオの練習をしたから関節炎になる私なんて、足元にも及ばないし、掃除機使いすぎて右ひじ腱鞘炎になる夫も、演奏家には向いていない(体以前の話だけど)。