高山れおな選
さはるなと書きし父の字種袋 河内長野市 西森正治
種袋が春の季語(知りませんでした!)。農家の納屋の光景でしょうか、なんとなくほほえましい感じで、いただきました。
稲畑汀子選
今生の別れもあらむ鶴引けり 鹿児島市 青野迦葉
ほかの選者でも「鶴引けり」の句がありましたが、私はこちらの方が好き。鶴との別れは、その同じ鶴がまた渡ってくるかだけではなく、自分の方も、鶴に会えるかどうかという両方の意味があると思いました。切ないですね。人間だって、いつどうなるかわかりませんもの。
長谷川櫂選
懐かしや武漢へ春の川下り 東京都 岸田季生
水温む求愛の如鯉の口 下田市 森本幸平
旧正や友あり大陸より来たる 芦屋市 高杉靖子
新型コロナウイルス騒動で、中国だけではなく、日本も大変なことになっています。武漢といえばと、昔の旅を思い出したのでしょう。長江はとても広い大河。先日の留学生がスマホの写真を見せてくれました。どんなことがあっても、故郷は故郷なんです。早く収束することを祈ります。3句目も、大変な思いをした友人をせめていっぱいもてなしてくださいと願うばかり。2句目の、鯉の口を求愛と表現したのが面白くて、いただきました。今の時期、そんな口して求愛も、濃厚接触になるので、控えなくては?
大串章選
雛飾り古き生家を輝かす 福岡県大木町 徳永スキ子
日本各地で限界集落ができてしまっていますが、そんな少子高齢化でひっそりとしてしまった生家に、お雛様をかざったら往年の賑わいが戻ってきたような、そんな映像が見えてきました。お雛様をかざる、それだけでとても華やかになります。うちも、姉が持っている、祖母が買った久月の雛飾り、今はどうなっているのでしょうか、ちゃんと飾っているのかなあ?七段飾りで、飾るのが楽しみでした。しまうのも大変でしたけどね。父が8ミリフィルムで、少しずつ動かして映画を作っていました。父が亡くなってもう23年かあ・・。