永田和宏選
あなたじやない拒否されたのは民主主義だ 欠けゆく月が日本を照らす 松山市 岡本秀美
今回も例の日本学術会議の任命拒否をテーマにした歌が多く入っていました。その中でこの歌が一番心に響きました。そう、民主主義を無視した説明すらしない菅政権に、本当に腹が立ちます。それでも、毎日、メディアはアメリカの大統領選挙ばかり、あのならず者トランプの声を聞くたび、ぞっとします。あの国ではもう、民主主義はなくなったのかしら?
馬場あき子選
GoToもわれには無縁九十五の母を看る日々致し方なし 岩手県 山内義廣
土方して酒呑むことを楽しみに生きて八十まだまだ飲める 三郷市 木村義煕
一首目、介護の日々、休むこともできずに大変です。私は猫を飼っているので、同じように旅行はできません。さらにいえば、医療従事者はそれどころじゃない。このところ増える感染者に、不安を覚えます。本当に大丈夫なのかな?国の対策も、本来は旅行業者、ホテル旅館、飲食店を支援するためなのに、ずるいこと考える人がいて足引っ張っているじゃない。トランプの国とたいして変わらない人たちがいるんですね、この国にも。二首目、酒飲むことが楽しみなのは私も同じ。お互いに元気で飲みましょうね!
佐佐木幸綱選
KENZOの花柄ストール翻し闊歩した日々未だ色褪せず 東京都 板屋ちさと
プードルをかしこいねぇと誉めちぎるこうして子育てすればよかった 大阪府 藤田陽子
一首目、最近亡くなった高田賢三氏。彼のデザインはファッションだけじゃなくて、確か陶器にもあったような。私、誰かの結婚式の引き出物で彼のデザインのカップ&ソーサーもらったことがありましたし、タオルのハンカチは今も持っています。当時の最先端のファッションですよね、花柄ストール。この歌を詠んだ板屋さんの青春はとっても輝いていたでしょう。今も青春かな?二首目、犬のように誉めて育てていたらよかったと思うところがとても面白くて取りました。
高野公彦選
〈学術〉も意のままにする強権の令和おじさんの正体を見る 延岡市 片伯部りつ子
パーマOFF白髪染めOFF着々とわたしの武装解除はすすむ 佐渡市 藍原秋子
一首目、日本学術会議の件です。自民党独裁政権が、民主主義を壊そうとしているとしか思えません。自分たちに都合の悪いことをいう学者を排除する、まるでヒトラーです。学問は独立していなくてはならないのに、大学だって法人化されてお金稼ぐのに必死だし、本来の学問の姿じゃなくなっています。ああ、またこの話になっちゃうけれど、政治はビジネスじゃないのにね。さてさて、二首目、コロナ対策でマスクは常につけているし、パーマも必要ないし、白髪染めも・・。私はもともと、パーマも白髪染めもしないし、カットは安いチェーン店を初めて利用してみたところです。化粧もしなくなりました。それを武装解除というのが、いいですねえ。