ハッチがいた日常

夫は病死、仕事も辞めて被災猫ハッチと暮らしたけれど、10年で終わってしまった。これからは本当の一人暮らしの日々。

朝日歌壇11月29日

2020年11月29日 16時11分54秒 | 短歌

永田和宏選

大阪は大阪市のまま夜があけてうどんに落とす柚子のひとひら   大阪市 上床順子

友だちをたくさんつくれと言う人よまずその人を友から外す    安中市 岡本千恵子

 一首目、大阪都構想の住民投票は否決されましたが、日常は何も変わらず、柚子をきかせてうどんとは、粋ですねえ。二首目、友だちは大勢いればいいってもんじゃない。本当に困ったときに心を寄せてくれる友達は、少ないと思いますよ。いいね!したり同意するだけなんて、友だちじゃあない。

馬場あき子選

フクシマの無人の街の晩秋の被爆塗れの蛇がさまよう       いわき市 馬目弘平

真っ暗なポストの中で語り合う二円兎と前島密          流山市 葛岡昭男

 一首目、来年で10年となる東日本大震災、あの原発事故でいまだに帰還困難地域があり、無人の街が存在しています。被爆塗れという言葉の怖さが、蛇に同情を覚えます。二首目、さて、前島密は何円切手でしょう?そう、1円なのです。ここ10年で随分とはがきや封書の切手代が変わりましたから、一円、二円切手が必要になるんですよ。はがきは63円ですもの、しばらく62円だったのに、前島密を足さなくちゃ!封書が82円から84円、兎さん登場です。ポストの中で切手たちが語り合うという妄想がなんとも素晴らしい!

佐佐木幸綱選

記憶の森ゆきつもどりつする母が「今日は雨ね」とやさしき目をす  丸亀市 金倉かおる

妻の部屋のラジオを切りて灯を消して今日も終われり介護の一日(ひとひ) 舞鶴市 吉富憲治

 一首目、二首目、介護の短歌です。一首目は親子、二首目は奥さんの介護ですね。せめて歌を詠むことで気持ちに少し、ゆとりができるのではと願っています。

高野公彦選

自らが在任中の選挙なり不正のあらば自らの責め           船橋市 佐々木美禰子

朱と黄色入り交じりたる柿落葉の軽やかな音楽しみて掃く       松山市 矢野絹代

除外されし加藤陽子の著書を読む「それでも、日本人は『戦争』を選んだ」 たつの市 長瀬慧子

 一首目、トランプが大統領選を不正だと言っていたけど、そうですよ、アンタが悪いんじゃないか!トランプの4年間は、アメリカにとって最悪だったんじゃないかな、それすら認識してなかったりして。二首目、枯葉が転がる音が楽しいって、外で掃く苦行を楽しめるのがうらやましいです。その昔、田舎の親戚の庭の掃除が大変だったことを思い出しました。三首目、例の日本学術会議の件です。結局、うやむやになってしまったようですが、国の介入は許されることではありません。自由を奪う、なんという傲慢な!私もその本を読んでみたくなりました。

 

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