ハッチがいた日常

夫は病死、仕事も辞めて被災猫ハッチと暮らしたけれど、10年で終わってしまった。これからは本当の一人暮らしの日々。

朝日歌壇11月22日

2020年11月22日 15時19分09秒 | 短歌

高野公彦選

国権の最高機関と習えどもそこに響くはこわれた言葉     福岡市 田中ゆかり

園児らが跨線橋にて手を振ればプンと鳴らして準急が行く   富士見市 武川行男

 一首目、新しい総理大臣となっても、前任者と同じ、言葉が空々しく響くだけ。力のない言葉を聞かされるのにも、うんざりします。ほかの議員にも、一体この国は何?と情けなくなるばかりです。二首目、子どもは電車がとにかく好き!みんなが手を振れば、運転士さんも、答えてくれるんですね、なんともほほえましい光景です。

永田和宏選

判子押し一国一城の主人だと不動産屋が夫にだけ言う     川崎市 川上美須紀

だんだんに馴れて来ますと親しげにすり寄ってくる名はファシズム 我孫子市 松村幸一

 一首目、男女同権なのに、夫の方だけ主人って、おかしいですよね。二首目、確かに今の状況って、戦争前の日本のような気がします。なんともきな臭いというか、どんどん圧を受けているようで、怖いです。国は、何をそんなに管理したがるのか、どうして人に自由を許さないのか、どんどん世の中が悪くなっていくような気がしてなりません。

馬場あき子選

トリチウム、デブリ、核のゴミ原発の落とし子はみな世紀の迷子  福島市 美原凍子

批准国地図上見れば小さくも核兵器禁止へ五十の重き       柏市 菅谷修

富岡町の無住の寺の本堂の反原発の大きなポスター        いわき市 馬目弘平

 一首目、福島原発事故の歌。この作者は、福島在住で、それ以前は夕張とのこと。彼女の歌は、世界で注目されています。私もその一人。二首目、この条約に唯一の被爆国である日本が批准しなかったことは本当に悲しい。アメリカの核の傘下にいるからなのでしょうけれど、納得いきません。核兵器はもちろんのこと、エネルギーとしての平和利用の原発だって、いったん事故が起きるととんでもないことになるのは自明のことなのに、なぜいまだに地震列島の日本で推進しようとするのか、信じられませんよ。その歌が三首目。今回、偶然にも統一したテーマで選びました。

佐佐木幸綱選

またオマエしょうがないねと言いたげに草刈る我を見てるアナグマ 三浦市 下里真佐子

こんな日に甘えてくれてありがとうなんでわかるの猫ってすごいよ 八戸市 藤田直

まつろはぬ者切り捨つる菅総理鳥の眼を左右に泳がす       北九州市 松尾あけみ

 一首目、害獣だといって駆除しないで、仲良く共生してほしいと思います。顔なじみになりますよね。二首目、こちらも動物だけど、家猫ですね、多分。本当に、ペットは癒してくれます。特に今のようなコロナ禍では、欠かせない存在。三首目、菅総理の眼は、鳥ですか。私は蛇に見えます。どうにも、親しみを感じる目ではないです。せめて微笑んでみてはくれぬか。

コメント
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