馬場あき子選
大漁旗はためく海へなぜ流すうすめたってうすめたってトリチウム 福島市 美原凍子
ケストナー、ヘッセを焚書せしナチス想はす暴挙任命拒否は 新座市 菊地良治
一首目、例の汚染水を海に流すという計画のことです。信じられませんよね!こんなことが許されるわけがない。もう、原発は人類にとっても地球にとっても、リスクでしかないのです。それでも原発を推進しようとするこの国には断固、NO!と言わなくてはならない。この歌は高野公彦氏も選んでいます。二首目、例の日本学術会議の件です。全くもって、悔しい限りです。あの涼しい顔の裏には何があるのか、何を考えているのか・・。私たちは常に耳を澄ませ、五感を働かせて、民主主義がちゃんとしているのかと気にしなくてはならないのです。そうしないと、また日本が帝国主義で戦争に突っ走るかもしれません。何より、民主主義を日本にもたらしたアメリカが、今後どうなるのかが心配です。すでに、バイデン氏が勝利しているのに、トランプはそれを認めない。アメリカは民主過ぎのお手本だったのにです。トランプは自分でフェイクニュースをまき散らした。その落とし前はつけてもらわないとね!私って、怖い?
佐佐木幸綱選
ぱたぱたと両手を振れば雨の中ポンチョ着た子はクリオネのよう 神戸市 平田まり
ごんぎつねのように玄関先に柿や栗置き帰る娘のボーイフレンド 岡崎市 戸田陽子
「忖度」の次は「俯瞰」の字と意味をせっかくだから皆で覚えよう 岐阜県 箕輪富美子
一首目、目に浮かびますね。ポンチョのレインコートを腕を振ってパタパタさせる子供が、まるでクリオネのようだというのが。かわいいです。二首目、ごんぎつねという童話、泣かないでは読めません(私、動物が好きだから)。お嬢さんの彼氏がいろいろ玄関先に持ってくるというのが、いいですねえ。三首目、菅総理の総合的とかなんとか意味不明の言葉を、私たちもしっかり覚えなくてはいけませんねえ。このままいけば、日本語がめちゃくちゃになります。せめて、短歌を詠んで日本語を守りましょう。政治家は、失言以外では本当に国民の心に刺さる言葉を言わなくなりましたね、これがこの国の政治家なんですよ、情けない。
高野公彦選
ボーナスも退職金ももらえない非正規社員の「非」は「悲」と思う 東京都 上田結香
人類史六万年なり十万年保管するてふ原発廃棄物 羽咋市 北野みや子
一首目、裁判で非正規のボーナスは認めないという判決が最近出ましたが、同じ仕事をしていて、それはないですよね。リモラブというドラマでは、仕事中にラインをやっていたりする、これって正社員だからしていることではないかと思いました。こんな社会、間違ってますよ。二首目、原発事故の後処理の問題、本当に信じられないくらいの年月がかかりそうです。そういうことをして、そういうことになって、誰がきちんと責任持ってくれるのでしょうか?恐ろしいことです。人類はパンドラの箱を開けてしまった。何度も事故で経験しているんだから、もう二度と、こんなことをしてはいけない。再生エネルギーで非石油エネルギーを原発にしては絶対にいけないと思います。石油よりもリスクが大きいのに!だれが責任持てるのかよ!
永田和宏選
SuicaからICOCAに変えて少しずつ「なんでやねん」に慣れてきた秋 吹田市 赤松みなみ
思いすごしならばよいけれどこの頃は戦争前夜に似てきたような 対馬市 神宮斉之
批判する人は排除ということか俯瞰総合の意味するところ 長野市 祢津信子
たたき上げだからといって国民に寄り添ってくれる訳ではなさそう 岐阜県 箕輪富美子
非正規のボーナス認めぬ判決よ命に正規非正規はない 観音寺市 篠原俊則
永田和宏氏の選んだ歌をたくさん取ってしまいました。怒濤のお気に入りです!一首目、きっと党K等から転勤か転職で関西圏に行ったのでしょう。本当に「なんでやねん」って、連発するのですか?二首目、アメリカ大統領がトランプじゃなければ、戦争はなんとか回避できると思いたいです。でも日本国内の例の日本学術会議など、きな臭い感じがしていて不安です。思想統制をしているようで気持ち悪いです。三首目、四首目も同じ意味から、取りました。国民に背を向ける政治であってほしくないです。五首目、非正規ボーナスの件。その昔、戦後日本の高度経済成長時代には、正社員には年功序列、終身雇用制度があり、専業主婦が家を守っていた男女共同参画とは程遠い社会がありました。非正規は存在していなかったんじゃないかな、あったとしても専門職でとてつもない時給で存在していたのではと思います。それが今では別世界です。低所得で休む暇もなく生きる希望も持てない状態の人が非正規でいるんだと思います。この社会を作った責任は誰にあるのか?同じ仕事なら、非正規も正規も関係なく、同一労働同一賃金というスローガンはどこにいっちゃったの?どんどん格差が生まれて、一方では60万円もする豪華列車国内旅行に予約が殺到。確かに戦前の社会を彷彿とさせてくれますよね、これでいいのか?昔はそれでも、人の役に立ちたいと思う意図が確かに存在していたはず。今は、どうなのでしょう。この社会で生きていることは、本当に恐ろしいことなのかもしれません。