ハッチがいた日常

夫は病死、仕事も辞めて被災猫ハッチと暮らしたけれど、10年で終わってしまった。これからは本当の一人暮らしの日々。

朝日歌壇2月28日

2021年02月28日 17時05分47秒 | 短歌

永田和宏選

線量の測定続くふるさとの汚れても山汚れても川         福島市 安斎真貴子

知らなくていいことまでも知りさうで父の遺品は手つかずのまま  相馬市 根岸浩一

 一首目、もうじきあの大震災の原発事故から10年になるのに、いまだに故郷に帰れない人たちがいる。もう、帰還というのが幻想にしか思えない、原発事故の影響。その真実を、本当に私たちは理解してきたのでしょうか?この歌からは悔しさもにじみます。現実を知らせるために、ずっとこのテーマで歌い続けなくてはいけないと思います。正直、あの事故が自民党政権下で起きなくてよかったと思いますよ。二首目、知らなくていいことまで、と勇気が出ないのは、亡きお父様の周囲の評判にもよるのでしょうか?子供としては親の恋愛事情は、正直、あまり知りたくないものです。でも、親の前に人間であり、男性であるのですから、受け止めて差し上げたらいかがでしょうか。という私も、両親の恋文の箱は、姉に預けてしまったし、膨大な父の残した資料も、残念ながら処分してしまいました。別人格だから、まるまる引き受けることはできません。知ったうえで、忘れるようにしてもいいのではないでしょうか。そのまま柩と一緒に処分しなかったのですから。

馬場あき子選

原発の避難経路とされし道どれも深々雪の降り積む      村上市 鈴木正芳

椿咲くと海女五つほど桶流し磯笛流す灯台の下        津市 中山道治

 一首目、今年のドカ雪は、豪雪地帯でも想定外の雪だったと思います。原発は、柏崎刈羽原発のことですね。地震列島の日本で原発なんて、相当なリスクがあるのにも関わらず、国が奨励してきた事実、この先どうするのか、本気で考えないといけません。脱炭素を原発に替えるのには絶対に反対です。未来へ負の遺産をこれ以上出してはいけないのですから。地球温暖化政策も、日本は相当な遅れをとっています。ジェンダーギャップと同じ、もうすでに日本は先進国ではないのです、自覚しましょう。二首目、詠った光景が見えるようで、好きになりました。

佐佐木幸綱選

避難区で牛の死肉で生き延びた子犬がすでに老犬の今     福島市 安斎真貴子

 永田和宏選の歌でも、同じ安斎さんの別の歌が選ばれていました。あの時、家畜やペットを置いたまま、とりあえず人間だけ避難しました。牛舎には餓死した牛たちの骸がたくさんあった写真を見て、涙しました。多分、私が飼っている猫も、大熊町で保護されたので、大変な思いを経験したことでしょう。安斎さんの子犬も、生きていて本当によかった。10年もたてば、老犬なんですね。うちの猫も、老猫ってことかあ・・・。がんばってもらいましょう!

高野公彦選

待機中亡くなる庶民と感染後すぐに入院できる議員と     観音寺市 篠原俊則

マスクよしメガネと帽子とリュックよしスーパーまでを旅だと決めて 伊勢崎市 松島啓子

 一首目、新型コロナウイルスに感染して自宅待機中に急変して亡くなるケースが多くなりました。救急車を呼んでも入院先が決まらなかったり、医療崩壊と言える状況なのに、議員は特別扱いなんですね。報酬もがっぽりもらっていて、命にも格差があるんだー。まさに、高級国民ってことでしょうか。高級クラブや高級料亭で会食する高級国民かあ(くそくらえだね)。二首目、なんだか電車の運転手みたいで、指差し確認が目に見えるようです。確かに、しっかり確認していかないと、マスク忘れたら大変!でも最近、スーパー入口で消毒しない人が増えました。これじゃ、緊急事態宣言が継続しても意味ないと思いますよ。本当にどうなっちゃうのでしょうか、予想不能です。

コメント (2)
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