永田和宏選
「とりあえずビール」と言うごと取り敢えず被災地へ行き「寄り添う」と言う 久慈市 三船武子
痩せたねと言われて嬉しかったのは心も体も丈夫なころだ 秦野市 三宅節子
一首目、被災地の人たちにとってはそりゃもう腹立たしいことですが、よくあることなのではないでしょうか。当時、「絆」という言葉がはやりましたよね。それで全部くくっちゃう世の中の非情さったらないですよ。どんどん、文句言いましょうよ!言われなきゃわからないし、もしかして言ってもわからない人たちなのかもしれませんよ。おかえりモネのようです、当事者にしかわからないのです。わかろうとする努力が、それ以外の人には大切なんですよ。2首目、それでも私は痩せたいと思っていますが、どうも1か月近く試しているダイエットが全然効果なくて、困っています。誰にでも効くダイエットなんて、そもそもないのかもしれません。私たちは一人一人、違うんですものね。
馬場あき子選
秋祭り二年続きの自粛なり神輿出すだけ風当てるだけ 横浜市 徳元てつお
去年も今年も町のお祭りなどは中止が多かったと思います。本当に悲しいですよね。神輿に風通すためにただ出すだけなんて。それでも、その存在を目にすることで、きっとまた祭りをやるんだという気持ちが湧いてきます。来年はぜひとも、お祭りを開催したいものです。
佐佐木幸綱選
ミナマタもオノダの映画も外国の人の手によりできた歯痒さ 滋賀県 木村泰崇
建売の七棟三十七年目空き家一棟独居三軒 東京都 村上ちえ子
一首目、その通りです。日本から、そのような映画が生まれないのは残念と言うしかないです。でも外国でヒロシマ、ナガサキの映画が出来たら、それこそ本当に国が核廃絶を考えてくれる時代になるかもしれません。地球温暖化でのエネルギー問題で、原発再稼働にならないよう、本当になんとかしてもらいたいです。核は絶対に使ってはいけないものだと思います。リスクが多すぎて、全く再三取れないのに、福島の原発事故でそれがわかっているはずなのに、まだやろうとしている電力会社と自民党に、国民がNO!と言わなくては。二首目。空き家が出来ると、急にさびれてしまいます。私もしばらく親がいなくなった空き家を管理していましたが、そりゃ大変でした。真冬に宇井道灌が凍って破損し、信じ慣れない水道料金の請求がきました。家は、人が住まなくなったら家でなくなっちゃうんですよ。コロナ禍でリモートワークが増えたのですから、空き家をリノベーションしてどんどん都心から引越して住めばいいと思います。家も、生き返りますよ。そして、一人暮らしでも大丈夫なシステムを作って、なんとかコミュニティーで生きていきましょう。大丈夫です、一人で住んでいても、一人じゃないんですから。
高野公彦選
名前書きし首輪ゆっくりはずしやり聞こえるうちに「ありがとう」を言う 伊賀市 秋田彦子
飼い犬の最期を看取ったのですね。聴覚は最後まで残っているのですから、きっと声が届いたはずです。私も夫とともに、飼っていた猫を看取りました。20歳の老衰でしたが、やせ細ってそれでもいつまでも一緒にいたいとがんばっていました。本当に「ありがとう」でした。ペットは家族ですから。その猫は夫と一緒に樹木葬の墓に入っています。待っててね。