(冒頭写真は、朝日新聞愛読者プレゼント “アンリ・マティス 色彩の魔術師” 最終回の作品のひとつ 「イカロス『ジャズ』より」。)
昨年8月から連続掲載してきた朝日新聞愛読者プレゼント “アンリ・マティス 色彩の魔術師” も今回が最終回となる。
朝日新聞さん、毎月きちんとお届けいただいて誠にありがとうございました。
さて、早速作品の説明に入ろう。
こちらは、「イカロス『ジャズ』より」と題する作品。
マティスの展覧会にて必ず展示されている著名な作品だ。
私個人的には、このような抽象画よりも実写に近いマティスの作品の方を好むのだが…
早速、東京大学大学院 神津有希氏による解説を以下に一部引用しよう。
マティスは1941年に腸疾患のため大手術を受け、奇跡的に一命を取り留めた。 しかし体力が低下したことから、体への負担の少ない切り絵の制作を本格的始めた。 晩年のマティスにとって、この手法が重要な表現手段となる。
オリジナルの切り絵は43年から制作され、主にサーカスやタヒチ旅行の思い出を題材としている。 「ジャズ」とのタイトルは、切り絵の即興性や活気が音楽のジャズに似ていることから付けられた。
本作、ギリシャ神話のイカロスの物語を主題としている。 マティスは大胆に切り取った黒いシルエットのイカロスを星が輝く濃青色の空に配し、力強く美しい作品に仕上げている。
(以上、神津有希氏の解説より一部を引用したもの。)
そうだったんだ。 マティスは大手術を受け体力が低下した後も、自身が可能な制作方法を模索して創作人生を続けたようだ。
芸術作品創作に対する、そのやむこと無き情熱の程に拍手を贈ろう。
もう一つの作品は、「アンフォラを持つ女」。
こちらも、神津有希氏の解説の一部を以下に紹介しよう。
70歳を過ぎたマティスにとって、体への負担が少ない切り絵は油彩画に代わる表現手段となった。
最晩年のマティスは、とりわけ青色を好んでいた。
マティスは生涯にわたって新しい表現を求め、制作を続けた。 その芸術は絵画という枠を超えて豊かな世界を展開し、純粋な色彩と形態のもつ美しさを伝えている。
(以上、神津有希氏による最後のマティス絵画解説の一部を引用したもの。)
この原左都子も、世紀の大芸術家アンリ・マティス氏にあやかりたいものである。
出来得る限り晩年に至るまで、年老いるに従い私なりの手法を模索しつつ、オピニオンエッセイを日々綴り公開し続けたいものだ。
さて、次回から朝日新聞の絵画シリーズは「グランマ・モーゼス」に移り行きます。
マティスとはガラリと作風が変わりますが、皆様、お楽しみにお待ちくださいますように。