(冒頭写真は、今後の小惑星「リュウグウ」の試料分配の流れ 。 朝日新聞2022.06.10付記事「太陽系解明へ一歩」より転載したもの。)
早速、上記朝日新聞記事の一部を、以下に要約引用しよう。
小惑星「リュウグウ」から届いた玉手箱には、生命誕生の謎に迫る成果が含まれていた。 世界中の研究チームが資料を分析中だ。
「非常に『新鮮』な物質を、はやぶさ2で持ち帰ることができた。」
「新鮮」とは、太陽系ができた直後の特徴を、そのまま残していることを意味する。
チームはリュウグウの砂0,1グラムを分析。鉄とマグネシウム、ケイ素がほぼ同じだけ含まれていた。 各元素の割合は、太陽系全体の平均と同じだった。
砂に含まれる鉱物が作られたのは、太陽系が46億年前にできてから500万年ほど後。氷が解けてできた約40℃の水に鉱物が溶け出し、化学変化で別の好物に変って沈殿したという。
その天体が別の天体との衝突などでいったんバラバラになり、破片が重力で再び集まってリュウグウになった。 (中略) はやぶさ2がカプセルに詰めて持ち帰ったのは、そんな原始の状態を保った試料だった。
小惑星は隕石として地球に落ちてくることもある。 ただ、リュウグウのように炭素を多く含み、太陽系初期の特徴を持つ「イヴナ型」と呼ばれるタイプは少ない。 岩石質の隕石とは異なり、大気中を高速で落ちてくる途中で燃え尽きやすいからだ。 (中略)
リュウグウの試料からイソロイシンやバリンなど23種のアミノ酸を見つけたチームもある。 アミノ酸には、元になる原子の数や種類が同じでも、鏡に映したように対称的な形をした「右手型」「左手型」の2タイプがある。 地球の生き物では左手型がほとんどだが、その理由は謎だ。
今後の分析の結果、見つかったアミノ酸が左手型に偏っていることが分かれば、地球の生き物の由来である可能性が高まる。 一方、偏りがなければ、生命の起源がどこなのか、謎が深まることになりそうだ。
リュウグウの砂の分析は始まったばかり。 研究者のひとりはこう表現した。「今日の発表は第一弾。 連続ドラマの初回だと思って欲しい。伏線をたくさん張る。最後までみていただくと、全容が分かる。」
(以上、朝日新聞記事より一部を要約引用したもの。)
原左都子の私事及び感想に入ろう。
いやあ、実に羨ましいなあ。
この私も、医学分野で様々な実験・研究を担当してきた身だが。
無機化学の実験に携わったこともある。
例えば、2度目の大学生時代に人材派遣社員として某企業にて「油中の不純物質の分析・解明」の業務に携わった経験があるが。 これは珍しく「医学」とは離れた化学分野の業務だった。(もちろん、我が実験経歴を買われての採用だったが。)
日々実験室に一人こもって、対象試料から「不純物質」を抽出しては、それが一体何なのかの追跡実験を繰り返したものだ。
そんな経験がある私が後20歳若ければ、「小惑星リュウグウから持ち帰った砂の解析実験」現場に加わることが叶っただろうか???
いや、それを語ったところで既に現役の実験・研究者としての職場を去り、高齢域に達している身だが…
とにかく今後の「リュウグウの砂」をめぐる世界の研究チームによるその“解析ドラマ”を、楽しみに見物させていただきたいものだ。