(冒頭写真は、プロテニスプレーヤー 大坂なおみ選手。 ネットより転載。)
本日昼のテレビニュースにて、プロテニスプレーヤーの大坂なおみ選手が、現在ベスト4まで勝ち進んでいる全米オープン前哨戦・準決勝試合を棄権する、との報道を見聞した。
以下に、ネット情報より当該情報の一部を引用しよう。
大坂がW&Sオープン準決勝を棄権、黒人男性銃撃に抗議
【AFP=時事】女子テニスの大坂なおみ(Naomi Osaka)は26日、米ウィスコンシン州で非武装の黒人男性が警官に銃撃された事件に抗議するため、27日に予定されていた全米オープン(US Open Tennis Championships 2020)の前哨戦、ウェスタン&サザンオープン(Western & Southern Open 2020)の準決勝を棄権すると発表した。
四大大会(グランドスラム)で通算2勝を挙げている大会第4シードの大坂は、31日に開幕する全米オープンの会場にもなっている隔離環境下で、第14シードのエリーゼ・メルテンス(Elise Mertens、ベルギー)と対戦する予定だった。
ツイッター(Twitter)にコメントを載せた大坂は、「私はアスリートである前に黒人女性。今は私のテニスを見てもらうよりも、1人の黒人女性として早急に対処しなければならない、より重要な問題があるように感じる」と述べた。
「私がプレーしないことで何か劇的なことが起きるとは思わない。でももし白人が多数を占めるスポーツの中で会話が始まれば、正しい方向に進む一歩になると思う」
「警察の手による黒人惨殺が続くのを見ていると、率直に言って吐き気がする。数日おきに新しいハッシュタグが出現することに疲れ切っているし、何度もこういう同じ会話が繰り返されることに心からうんざりしている。いつになったら十分になるの?」
大坂は、23日に米ウィスコンシン州ケノーシャ(Kenosha)でアフリカ系米国人のジェイコブ・ブレーク(Jacob Blake)さん(29)が発砲されたことに抗議し準決勝を棄権。
(以下略すが、以上ネット情報より一部を引用したもの。)
一旦、私見に入ろう。
私にとって、大坂なおみ選手とは「“日本人”である」との揺るぎない認識だった。
もちろんハーフである事は存じているが、自分が日本人である場合、“自分と同胞的な感覚に至るのは自然ではなかろうか?
本日ご本人の口から「私は“黒人”です」と明瞭に発言されるのを聞いて、正直なところ“軽いショック”に陥ると当時に、いつもそれを認識して生きておられるのだと実感させられた。
単一民族国家の場合、普段はまったく“ナショナリティ”になど無頓着であるのが通常ではなかろうか? 私などまさにそうだ。 自分が“日本人”であることを認識するのは、海外旅行へ出た時くらいだ。
ところが、ハーフの大坂なおみ氏はまったく違った。 いつも脳裏に“ナショナリティ”を意識しつつ、米国内での黒人襲撃事件等に心を痛めておられたのだと知った。
私事に入ろう。
この私も、海外旅行に出かける機会があるが。
2016年冬に旅したイタリアにて、大袈裟に言えば“人種差別”かと思しき場面に出くわした。
以下に、2016.02.12 公開のローマ・ピサ・フィレンツェ旅行記の一部、フィレンツェ某レストランでの出来事の箇所を引用しよう。
ところで、このレストラン名を公表しないのには私なりの理由がある。 ある意味で居心地が悪いレストランだった故だ。
ネット検索で日本語にて幾らでも検索可能なレストランである。 その評価は高く、特に料理の味など5つ星に輝いている。 確かに料理の味は絶品だった。 それは私も認める。
ところが、驚く扱いを受けたのだ。
レストランに入ると、室内と外のテラスとどちらが良いか聞かれる。 ゆっくり寛ぎたい我々は室内を選択した。 すぐさまレストラン内一番奥の、ピザを焼く窯が設置されている部屋へ案内された。 入口に近い大部屋がイタリア人と思しき西洋人達で混雑しているのに比し、当初は特別室なのかと思うほどに奥の部屋は落ち着いた雰囲気だった。
そして英語ペラペラのウェイトレスがテーブルまでやって来て、我々に流暢な英語にて注文を聞いてくれる。 その対応には何の失礼もなく至って親切だ。
その後、事態が急変する。
我々が料理を食べ始めた頃、奥の部屋に次々と案内されてくるのが有色人種系の客ばかりなのだ。 言葉から察するに中国人がほとんどで、日本語は聞こえて来ない。 どんどんと中国人客が増え、あっという間に奥の部屋内は中国人で埋め尽くされた。
これが大変! 中国の皆さんの喋りのけたたましさは知る人ぞ知ろうが、怒涛の如く奥の部屋は喋りの洪水渦中に巻き込まれてしまった!
落ち着いて食事など出来やしない。 我々母娘は身を小さくしながら、「早めに食事して帰ろう」との事態と相成る… (中略)
これが、まさかレストランによる「人種隔離政策」ではないと信じたいが…
単にイタリア語会話力がない観光客を奥の部屋へ集めて、英語にての親切な対応を心掛けた結果なのだろう。
ただ私に言わせてもらうならば出入国審査じゃあるまいし、たかがレストランがそこまでせずとてイタリア語が通じずとも何とかなるものだ。 他のレストランでもお店でもすべてそうして通って来ている。
しかもその方が観光客にとっては楽しくもある。 下手なりにも現地の人々と何とかコミュニケーションが取れ心が触れ合える事こそが、むしろ旅の醍醐味とも言えよう。
国境を越えた真の“おもてなし”とは何なのか?
このレストランに於いて、まさにその課題につき改めて考えさせられる一夜の晩餐だった。
(以上、本エッセイ集バックナンバーより一部を引用したもの。)
2020.08 今現在の上記レストラン対応に関する我が印象を述べよう。
あれはやはり、レストランによる「人種隔離政策」だったと結論付けたい。
英語対応より何よりも、とにかく当時の(今もか?)中国人観光客の“喋り力”のけたたましさとは想像を絶するものがあるのだ。 あれじゃあ、地元の人達がゆっくりと寛いで食事が出来ないであろう。 そこでやむを得ず、別部屋に“肌の色で識別して”有色人種を案内する政策をとっていたのだと結論付ける。
それにしてもだ。
“肌の色”のみの視点から、身勝手にレストラン現場が「人種隔離政策」を執るとは許しがたき事態だ!
我々母娘とてフィレンチェでの最後の晩餐をゆったりと過したかったのに、あの隔離政策により台無しとなった…
最後に、話題を大坂なおみ選手に戻そう。
一時は、プロ女子テニスプレーヤー世界の頂点に輝いた大坂選手。
そんな素晴らしき実績のある大坂選手が黒人としてのアイデンティティとプライドに基づき、準決勝試合を棄権するとの行動を起こした事実を受け入れたい。
ただ反面、大坂なおみ選手と同じく「日本人」である私としては、今まで通り大坂選手のプロテニス界でのご活躍を応援申し上げたいものだ!