◎己が欲する所人に施すべし(文部省印行『修身教訓』)
明治十年版の『修身教訓』と明治十三年版の『修身教訓』は、基本的に同内容である。ただし、組版の仕方が違うので、それがページ数の違いとなってあらわれている。また、前者にあった誤植は、後者では訂正されている。
両版、ともに活字版である。今日でいう「変体仮名」が多用されている。ただし、変体仮名が用いられている部分は、両版で微妙に異なっている。
以下に、『修身教訓』という本の内容の紹介を兼ねて、両版の「目録」を紹介してみる。その際、変体仮名が用いられている箇所は、それが由来する漢字を太字で示しておいた。
明治十年版『修身教訓』の目録(第一課~第八課)
修身教訓
目録
第一課
己可欲春る所人尓施すべし
善行の話
又一話
寛仁奈る隣人の話
哀れなる童子の話
第二課
怨尓報由る尓徳を以てす
仁愛の勢力の話
親切を以て勝を得たる話
商賈の怨を報いし話
第三課
人尓対して做し多る小悪八即己尓対して做したる大悪奈り
心尓重傷を負ひたる話
又一話
良心の勢力の話
釘を柱上尓打ち多る話
又一話
第四課
正道尓尽春の勇気八勇気の最貴ぶへき毛の奈り
真正の勇気の話
真正の勇気尓あらさる話
真正能勇気能話
正理尓従ふべきの話
純善の豪気の話
第五課
之を期春る緩舒奈るべく之を行ふ確切奈るべし
匈牙利人闘争の奇談
約束を破里し話
幼年奈る客人の話
第六課
爾の父母尓敬愛を尽春べし
童子の逃亡せし話
蛮民の母を敬愛せし話
孝子の話
教大長チルロツトソンの話
リチモント乃劇場焼失の話
死せし人を憶ひ出し深く悔ゆることあるの話
第七課
信実を思ふべし信実を語るべし信実を行ふべし
新聞紙鬻く児童の信実奈らざる話
身尓詐偽を行ひたる話
事を巧尓做し得たる話
身尓詐偽を行八さる話
第八課
人其能機会を得連ば必善を他人尓施春べし
金銭をよく使用したる話
人其の做し得らるゝ時尓当りて必春涙を拭ひ乾可さしむべき話
真正の仁愛の話
信実八謊虚より神妙なる功徳あるの話
明治十三年版『修身教訓』の目録(第一課~第八課)
修身教訓
目録
第一課
己可欲春る所人尓施すべし
善行の話
又一話
寛仁奈る隣人の話
哀れなる童子の話
第二課
怨尓報由る尓徳を以てす
仁愛の勢力の話
親切を以て勝を得たる話
商賈の怨を報いし話
第三課
人尓対して做し多る小悪八即己尓対して做したる大悪奈り
心尓重傷を負ひたる話
又一話
良心の勢力の話
釘を柱上尓打ち多る話
又一話
第四課
正道尓尽春の勇気八勇気の最貴ぶへき毛の奈り
真正の勇気の話
真正の勇気尓あらさる話
真正能勇気能話
正理尓従ふべきの話
純善の豪気の話
第五課
之を期春る緩舒奈るべく之を行ふ確切奈るべし
匈牙利人闘争の奇談
約束を破里し話
幼年奈る客人の話
第六課
爾の父母尓敬愛を尽春べし
童子の逃亡せし話
蛮民の母を敬愛せし話
孝子の話
教大長チルロツトソンの話
リチモント乃劇場焼失の話
死せし人を憶ひ出し深く悔ゆることあるの話
第七課
信実を思ふべし信実を語るべし信実を行ふべし
新聞紙鬻く児童の信実奈らざる話
身尓詐偽を行ひたる話
事を巧尓做し得たる話
身尓詐偽を行八さる話
第八課
人其能機会を得連ば必善を他人尓施春べし
金銭をよく使用したる話
人其の做し得らるゝ時尓当りて必春涙を拭ひ乾可さしむべき話
真正の仁愛の話
信実八謊虚より神妙なる功徳あるの話
『修身教訓』は、第三十二課まであるが、とりあえず本日は、第八課まで。
ここまでに用いられている変体仮名は、以下の通り。【 】内は、今日、用いられている仮名。
八【は】 尓【に】 里【り】 可【か】 多【た】 連【れ】
奈【な】 能【の】 乃【の】 由【ゆ】 毛【も】 春【す】