◎怨むは人心なり、赦すは神心なり(文部省印行『修身教訓』)
文部省印行の『修身教訓』の「目録」(目次)を紹介している。本日は、その二回目。
昨日は、明治十年版および明治十三年版の「目録」を比較・対照してみた(とりあえず、第八課まで)。
本日は、第九課以降の「目録」を紹介してみる。ただし、第九課以降については、明治十年版と明治十三年版の比較・対照はやめて、明治十三年版の「目録」のみを紹介する。また、「変体仮名」が用いられている場合も、すべて今日の仮名に直した上で紹介する。
明治十三年版『修身教訓』の目録(第九課~第二十課)
第九課
何人に対しも他人の悪を語ること勿れ
衫針を失ひたる話
親切は最良の刑罰なる話
善を以て悪に報いたる話
同僚の過失の話
第十課
好て良心の欲する所に従ふべし
「ゴヲルド、ソヲベレイン」の話
実直なる挙動の話 •
第十一課
我が禍患を免れんと欲せは宜く人の禍患を免かれしむべし
水夫の禍患を免かれし話
怨むは人心なり赦すは神心なりと云へる話
話聖東の話
ミストルジヱイの話
ジヨンハンソンの挙動の話
汝余を免さゝれは余起ずと云へる話
第十二課
相互に助くることに注意すべし
薄情なる少年の話
相互に助くべき話
第十三課
大勝を得る者は則己に克つものなり
貴き話
桃の籃の話
第十四課
全く 盟約すること 勿れ
褻涜なる盟約の話
褻涜なる盟約につき話聖東氏の話
第十五課
凡人は信實を以て其の職任に力を尽すべし
死を冒して其の職分を守りたる話
心力を極めて賤業を治めたる人の話
敏捷なる伴当の話
第十六課
事は清潔を貴ぶ
清潔は福運の基となる話
童子の外貌の話
居家を清潔にせし話
第十七課
正しき行は正しき心より生す
其の人を見て其の事を行ふべきの話
意思の話
輜車夫の話
第十八課
凡勉強して止まされば必百事に克つことを得らるゝなり
パノラマを描きたる少年の話
浚泥者より起りて大業をなしたる人の話
米利堅の大学士の話
凡能はさる事なしと云へる話
第十九課
瑣小の事と雖正直にすべし
誘惑を抑制せざりし話
瑣小の事を正直にせし話
小児の良心の話
衣服を濫愛せし話
第二十課
其の件侶を見て其の人を知るべし
影に追はるゝ話
悪しき商議に従ひたる話
下流に落ちたる少年の話【以下、次回】
第九課から第二十課までの間に用いられている変体仮名を、それが由来する漢字によって示せば、以下の通り。【 】は、今日、用いられている仮名。
八【は】 尓【に】 可【か】 多【た】 連【れ】
奈【な】 能【の】 古【こ】 毛【も】 春【す】