礫川全次のコラムと名言

礫川全次〈コイシカワ・ゼンジ〉のコラムと名言。コラムは、その時々に思いついたことなど。名言は、その日に見つけた名言など。

某の如く、その場で自己に私刑を加へたのは……

2022-09-19 00:46:14 | コラムと名言

◎某の如く、その場で自己に私刑を加へたのは……

 昨日の補足である。宮武外骨の『私刑類纂』(半狂堂、一九二二)には、もう一箇所、朝日平吾に言及している部分がある。ただし、実名は出さず、「刺客某」としている。

 予は昨冬〔一九二一年冬〕、刺客某の事につきて『東京日日新聞』に寄せし一文に記して曰く「人を殺すといふ事は、其理由の如何、効果の如何を問はず人世の大悪事、大罪科である、戦争で敵を殺す事も、人道上の罪悪であるとして非戦論が行はれて居る、法律で罪人を死刑に処する事も、文化行為でないとして死刑廃止論が起つて居る、されば刺客が国家のためとして誅罰を加へたとしても法律上の大悪人である、(中略)法律で罪人を刑罰に処するのは、国家の名による報復手段であるが、其報復手段の公刑を待たずして、某の如く、其場で自殺、即ち自己に私刑を加へたのは、自決心の強い自己報復の堂々たる行為である、(中略)自己の悪事を自己が処分する自己刑罰の度胸さへあれば、死すべき手段は幾つもある」云々
 これは罪人自殺奨励論なるが、其是非は兎も角、予は斯かる自殺を私刑の一と見るにあり〈七四ページ下段~七五ページ上段〉

 文中、(中略)とあるのは、外骨によるものである。
 この外骨の投稿もまた、一種の朝日平吾擁護論と言えるのか。ただし、それについての判断は、当時の記事にあたり、その全文を読むまで、保留しておかなければなるまい。

*このブログの人気記事 2022・9・19(8位になぜか「村八分」)

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