(靖国)参拝批判「不思議だ」(新藤総務相)(2013.8.17 毎日新聞)
新藤義孝総務相は16日のBSフジ番組で、自身を含めた閣僚による終戦記念日の靖国神社参拝について「個人の心の自由の問題だ。外交の場で取り上げられることが不思議で仕方がない」と述べ、中国や韓国の批判をけん制した。同時に「中国と韓国が反応してうるが、ほかのアジアの国から反応は聞いていない」と指摘。自身は何度も参拝しているとも説明した。
靖国神社に合祀されている東條英機元首相らA級戦犯の分祀の議論に関しては「取り上げればハレーションを起こす」と否定的な考えを示した。
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新藤さんは、靖国参拝は「個人の心の自由の問題だ」と云いますが、違います。戦没者の遺族や一般の国民が靖国神社に参拝するのは「個人の自由」でしょう。しかし、国を代表する立場にある閣僚が、A級戦犯が祀られている神社に参拝するということは、戦争を起こし、アジアの多く人たちに犠牲と苦痛を強いたかつての指導者に尊崇の念を表したと外国からは見られます。
「かつて首相だった時に(第一次安陪内閣時代)靖国神社に参拝しなかったことは痛恨の極みだ」という安倍晋三首相が今年靖国神社参拝を避けた理由を新藤さんは何だと思っておられるのでしょうか。
新藤さんは創生「日本」の副幹事長ですが、創生「日本」は2007年の参議院選挙で自民党が大敗し、安倍首相(第一次)の退陣につながったのを受けて、安倍首相の“戦友”だった中川昭一氏や当時無所属(現在は日本維新の会国会議員団団長)の平沼赳夫氏らが立ち上げた自民党系の超保守議員の集まりで、当初は「真・保守政策研究会」を名乗っていました。中川氏の死後安倍晋三氏が会長に就いています。活動方針として「伝統文化を守る。疲弊した戦後システムを見直す。国益を守り、国際社会で尊敬される国にする。」を掲げています。新藤氏は安倍首相お気に入りの議員として総務相に登用されたのです。だから靖国参拝にこだわっているのでしょう。
「中国と韓国が反応しているが、ほかのアジアの国から反応は聞いていない」といいますが、韓国は1910年に日本に併合、植民地とされました。そして日本の天皇(実際には軍部)の命令で戦争に駆り出され、多くの犠牲者を出しました。中国も日清戦争後、国の権益を大きく損なわれる事態が続き、1931年の柳条湖事件以降いわゆる15年戦争で多くの犠牲者を出しました。ですからアジアの国々の中でもとりわけ日本が軍国主義に戻ることを警戒しているのです。
A級戦犯の靖国神社からの分祀を問われて「取り上げればハレーションを起こす」の意味がよく分かりませんが、写真がハレーションを起こすと、写真像が不鮮明になったり、明るい部分の周囲に不必要な像が生ずるといわれていますから、東京裁判を否定する人たちの反対が噴出すのでやらない方がいいという意味でしょうか。でも、むしろこれを機会にあの戦争は何だったのか。日本国憲法はどうして生まれたのかの議論を活発にするいことの方が必要ではないでしょうか。
大西 五郎
新藤義孝総務相は16日のBSフジ番組で、自身を含めた閣僚による終戦記念日の靖国神社参拝について「個人の心の自由の問題だ。外交の場で取り上げられることが不思議で仕方がない」と述べ、中国や韓国の批判をけん制した。同時に「中国と韓国が反応してうるが、ほかのアジアの国から反応は聞いていない」と指摘。自身は何度も参拝しているとも説明した。
靖国神社に合祀されている東條英機元首相らA級戦犯の分祀の議論に関しては「取り上げればハレーションを起こす」と否定的な考えを示した。
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新藤さんは、靖国参拝は「個人の心の自由の問題だ」と云いますが、違います。戦没者の遺族や一般の国民が靖国神社に参拝するのは「個人の自由」でしょう。しかし、国を代表する立場にある閣僚が、A級戦犯が祀られている神社に参拝するということは、戦争を起こし、アジアの多く人たちに犠牲と苦痛を強いたかつての指導者に尊崇の念を表したと外国からは見られます。
「かつて首相だった時に(第一次安陪内閣時代)靖国神社に参拝しなかったことは痛恨の極みだ」という安倍晋三首相が今年靖国神社参拝を避けた理由を新藤さんは何だと思っておられるのでしょうか。
新藤さんは創生「日本」の副幹事長ですが、創生「日本」は2007年の参議院選挙で自民党が大敗し、安倍首相(第一次)の退陣につながったのを受けて、安倍首相の“戦友”だった中川昭一氏や当時無所属(現在は日本維新の会国会議員団団長)の平沼赳夫氏らが立ち上げた自民党系の超保守議員の集まりで、当初は「真・保守政策研究会」を名乗っていました。中川氏の死後安倍晋三氏が会長に就いています。活動方針として「伝統文化を守る。疲弊した戦後システムを見直す。国益を守り、国際社会で尊敬される国にする。」を掲げています。新藤氏は安倍首相お気に入りの議員として総務相に登用されたのです。だから靖国参拝にこだわっているのでしょう。
「中国と韓国が反応しているが、ほかのアジアの国から反応は聞いていない」といいますが、韓国は1910年に日本に併合、植民地とされました。そして日本の天皇(実際には軍部)の命令で戦争に駆り出され、多くの犠牲者を出しました。中国も日清戦争後、国の権益を大きく損なわれる事態が続き、1931年の柳条湖事件以降いわゆる15年戦争で多くの犠牲者を出しました。ですからアジアの国々の中でもとりわけ日本が軍国主義に戻ることを警戒しているのです。
A級戦犯の靖国神社からの分祀を問われて「取り上げればハレーションを起こす」の意味がよく分かりませんが、写真がハレーションを起こすと、写真像が不鮮明になったり、明るい部分の周囲に不必要な像が生ずるといわれていますから、東京裁判を否定する人たちの反対が噴出すのでやらない方がいいという意味でしょうか。でも、むしろこれを機会にあの戦争は何だったのか。日本国憲法はどうして生まれたのかの議論を活発にするいことの方が必要ではないでしょうか。
大西 五郎