「外国語乱用していない」NHK側が反論 (2013.8.30 中日新聞)
番組で理解できない外国語が多く、精神的苦痛を負ったとして、「日本語を大切にする会」世話人高橋鵬ニさん(71)=岐阜県可児市=がNHKに対し141万円の損害賠償を求めた訴訟の第一回口頭弁論が29日、名古屋地裁であった。NHK側は「外国語は乱用していない」として、請求棄却を求めた。
高橋さんは法廷で「NHKに限らず報道全般に言えることだが、リスク、トラブル、アスリートなど、日本語があるのにあまりにも外国語が乱用されている。高齢者には分からない」と述べ、「公共放送のNHKにはきつんと回答してほしい」と訴えた。
NHK側は出廷せず、答弁書で、訴状で指摘された個別の外国語の使用は認めたが、「乱用」は否定。
さらに「単に放送番組を視聴して不快の念を抱いたとか、見解の表明を求める書面に特段の回答がなかっただけでは、不法行為は成立しない」と主張した。
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この問題は訴状が提出された時に№95で紹介しました。その続報になります。朝日新聞はこの訴訟についてのNHKの見解を尋ねたそうですが、NHKは「係争中のためコメント(見解を言うこと)を差し控える」と答えたそうです。そこで「放送での外来語の扱いはどうなっているのか」NHK広報局に確かめた結果をきょう(30日)の朝刊の「ニュースQ3」というコーナー(区画)で紹介しています。
それによりますと、NHKでは(放送で使う用語については)言語学者など外部有識者も加えた「放送用語委員会」などで原則や方針を決め、番組ごとの編集責任者やプロデューサー(制作責任者あるいは指揮者)が判断するということです。外国語や外来語は、わかりにくいものには説明を加えたり、日本語に言い換えたりするよう注意を促がしているそうです。NHKでは「外来語には、新しい感覚を盛り込むプラス(良い)面と、わかりにくいマイナス(悪い)面があり、今後もできるだけわかりやすい工夫をしていきたい」と言っています。
国立国語研究所が2005年に公表した「外来語に関する意識調査」では、例えば「ハサードマップ」については、全体の91.9%が「災害予測地図」などに言い換えてほしい」と答えたそうです。「(その方が)分かりやすいから」が7割以上を占めたそうです。(以上ニュースQ3)
ニュースにも外国語、外来語がよく出てきますが、普段ニュースの取材・編集に当たっている人は、その言葉が何回も使われていると「誰でも知っている言葉」と思い込んでしまうのかもしれません。ニュースではなるべく誰でも分かる日本語の方がいいと思います。試しに上の文章で外来語を日本語に言い換えてみましたが、中には日常的に使われていて、外来語のままの方が分かりやすいものもあり、この問題は複雑ですね。
大西 五郎
番組で理解できない外国語が多く、精神的苦痛を負ったとして、「日本語を大切にする会」世話人高橋鵬ニさん(71)=岐阜県可児市=がNHKに対し141万円の損害賠償を求めた訴訟の第一回口頭弁論が29日、名古屋地裁であった。NHK側は「外国語は乱用していない」として、請求棄却を求めた。
高橋さんは法廷で「NHKに限らず報道全般に言えることだが、リスク、トラブル、アスリートなど、日本語があるのにあまりにも外国語が乱用されている。高齢者には分からない」と述べ、「公共放送のNHKにはきつんと回答してほしい」と訴えた。
NHK側は出廷せず、答弁書で、訴状で指摘された個別の外国語の使用は認めたが、「乱用」は否定。
さらに「単に放送番組を視聴して不快の念を抱いたとか、見解の表明を求める書面に特段の回答がなかっただけでは、不法行為は成立しない」と主張した。
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この問題は訴状が提出された時に№95で紹介しました。その続報になります。朝日新聞はこの訴訟についてのNHKの見解を尋ねたそうですが、NHKは「係争中のためコメント(見解を言うこと)を差し控える」と答えたそうです。そこで「放送での外来語の扱いはどうなっているのか」NHK広報局に確かめた結果をきょう(30日)の朝刊の「ニュースQ3」というコーナー(区画)で紹介しています。
それによりますと、NHKでは(放送で使う用語については)言語学者など外部有識者も加えた「放送用語委員会」などで原則や方針を決め、番組ごとの編集責任者やプロデューサー(制作責任者あるいは指揮者)が判断するということです。外国語や外来語は、わかりにくいものには説明を加えたり、日本語に言い換えたりするよう注意を促がしているそうです。NHKでは「外来語には、新しい感覚を盛り込むプラス(良い)面と、わかりにくいマイナス(悪い)面があり、今後もできるだけわかりやすい工夫をしていきたい」と言っています。
国立国語研究所が2005年に公表した「外来語に関する意識調査」では、例えば「ハサードマップ」については、全体の91.9%が「災害予測地図」などに言い換えてほしい」と答えたそうです。「(その方が)分かりやすいから」が7割以上を占めたそうです。(以上ニュースQ3)
ニュースにも外国語、外来語がよく出てきますが、普段ニュースの取材・編集に当たっている人は、その言葉が何回も使われていると「誰でも知っている言葉」と思い込んでしまうのかもしれません。ニュースではなるべく誰でも分かる日本語の方がいいと思います。試しに上の文章で外来語を日本語に言い換えてみましたが、中には日常的に使われていて、外来語のままの方が分かりやすいものもあり、この問題は複雑ですね。
大西 五郎