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「軍機保護法」という法律があったことを知っていますか     大西五郎

2013年08月29日 18時59分04秒 | Weblog

政府が進めようとしている「特定秘密保護法」の危険性
                             
中戦争の開始と同時に強化され、1941年にも改正、最高刑は死刑

 戦争中に「軍機保護法」という法律があったことをご存知でしょうか。この法律は1899(明治32)年に作られましたが、日中戦争の開始(1937年)と同時に新しい法律といえるほど大幅に改正され、さらにアジア・太平洋戦争の開始(1941年)で再改正されました。
 軍事上の秘密を保護することを目的とするとされましたが、軍人のみならず一般人も対象とされ、言論・出版の自由が抑制され、海岸で写真を撮ったり、写生しても、そこに軍事施設があるとスパイ行為と疑われ、取り締まりの対象とされました。具体的に条文を見てみますと、

第1条 ①本法ニ於テ軍事上ノ秘密ト称スルハ作戦、用兵、動員、出師其ノ他軍事上秘密ヲ要スル事項又ハ図書物件ヲ謂フ
②前項ノ事項又ハ図書物件ノ種類範囲ハ陸軍大臣又ハ海軍大臣命令ヲ以テ之ヲ定ム
第2条 ①軍事上ノ秘密ヲ探知シ又ハ収集シタル者ハ6月以上10年以下ノ懲役ニ処ス
②軍事上ノ秘密ヲ公ニスル目的ヲ以テ之ヲ外国若ハ外国ノ為ニ行動スル者ニ漏泄スル目的
ヲ以テ前項ニ規定スル行為ヲ為シタル者ハ2年以上ノ有期懲役ニ処ス
第3条 ①業務ニ因リ軍事上ノ秘密ヲ知得シ又ハ領有したる者之ヲ他人ニ漏泄シタルトキハ無期又ハ3年以上ノ懲役ニ処ス
②業務ニ因リ軍事上ノ秘密ヲ知得シ又ハ領有したる者之ヲ公ニシ又ハ外国若ハ外国ノ為ニ行動スル者ニ漏泄シタルトキハ死刑又ハ無期若ハ4年以上ノ懲役ニ処ス
(以下略)

「壁ニ耳アリ、障子ニ目アリ」
ですから、陸軍大臣や海軍大臣が「これは秘密だ」と云えば「侵してはならない秘密」になり、これに接触した国民は機密を探るつもりはなくても拘束され、罪を問われることになったのです。
現に1941年12月8日(アジア・太平洋戦争が始まった日)に北海道大学予科の学生が軍機保護法違反の疑いで検挙・拘束されました。この学生が旅行中に見聞したことを大学の英語の講師だったアメリカ人に話したことの中に軍事機密が含まれていたというのです。この日から敵国人になった者に話したというので重い懲役15年の刑を言い渡され、網走刑務所に収監されました。敗戦で軍機保護法は廃案となり、学生は釈放されますが、刑務者生活で体が弱っており、肺結核となって27歳で亡くなりました。話を聞いた英語講師夫妻も懲役12年の刑に処せられました。
 このように危険な法律だったのです。ですから人々はスパイの嫌疑をかけられることを恐れました。戦争中「壁ニ耳アリ、障子ニ目アリ」という標語のポスターが町の至る所に貼られ、回覧板にもついていました。「職場や町で知ったことをうっかり喋るなよ。スパイがどこにいるかも分からないぞ。うっかりしゃべると痛い目に遭うぞ」という訳です。

軍機保護法の再現「特定秘密保護法案」

 8月28日の中日新聞に「秘密保護法案 民間も罰則対象 犯歴や経済状態、調査も」という記事が載っていました。記事によりますと、
 国の機密を漏らした国家公務員らへの罰則強化を盛り込んだ「特定秘密保護法案」で、防衛などの機密情報を扱う府省庁と契約を結ぶ民間企業の従業員も罰則対象とし、漏えいした場合は最高で懲役10年を科すことがわかった。
 機密情報を取り扱えるか適性を評価するため、社員の同意を得た上で犯歴や経済状態などの個人情報調査する。政府関係者が明らかにした。
ということです。

報道の自由も制限されるおそれ

中日新聞の記事は
 政府は法案の拡大解釈による「基本的人権の不当な侵害」を禁じる規定を盛り込む方針だが、個人調査の対象を民間に広げることでプライバシー侵害の可能性も高まるため、国会で慎重な議論を求める声が強まりそうだ。
と述べています。
 安倍首相は「秘密保持は極めて重要で、今のままでは国家安全保障会議(日本版NSC)として十分に機能できない。報道の自由も勘案しながら海外の事例を検討し、議論していく」と外遊先のクウェートで語りました。自民党筋からは「普通の取材ならば問題にされることはない」という言葉も伝えられていますが、では誰が「普通の取材」と判断するのでしょうか。「あの記者は特定秘密を持っている者に執拗に食い下がった。あれは普通の取材ではない。秘密を探ろうとしたのだ」と判断されれば、特定秘密保護法違反として刑罰を受けることになる恐れもあります。軍機保護法も法律ができた時は「軍事機密を探り、外部に通報することを取り締るのだ」と言いながら、国民の自由な言論を抑圧する道具となりました。
 1985年に「スパイ防止法」が自民党議員から国会に提案されたことがあります。この議員提案は予備行為や過失も処罰の対象とされることなどから議員の反対が多く、審議未了で廃案となりました。
わが国にはすでに、国家公務員法、地方公務員法、外務公務員法、自衛隊法、日米安保条約に伴なう秘密保護法など機密を守る法律があります。これらの法律の中の規定が国民の自由、権利を守っているかに議論もありますが、屋上屋を重ねるようにした、国民の知る権利や言論・報道の自由を損なう恐れのある法律の制定には反対していきましょう。


(この文章は東海放送人九条の会ホームページの「ものみやぐら」に投稿したものです。)
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新聞の片隅に載ったニュースから(107)     大西五郎

2013年08月29日 18時55分54秒 | Weblog
コーヒー「1日3杯までに」米大学が疫学調査(2013.8.26 朝日新聞)

 毎日4杯以上のコーヒーを飲む55歳未満の人は、飲まない人に比べ、死亡率が高いとする疫学調査結果を、米サウスカロライナ大などが米医学誌に発表した。研究チームは「若い人は毎日3杯までに」と注意を呼びかけている。
 チームが、米国の4万4千人にコーヒーを飲む習慣を書面で尋ね、その後17年ほど死亡記録などを調べた。その結果、55歳未満に限ると週に28杯以上コーヒーを飲む人の死亡率は、男性では1,5倍、女性は2,1倍になっていた。55歳以上では変化はなかった。
 コーヒーは世界で最もよく飲まれている飲み物の一つだが、健康への影響はまだよくわかっていない。
 世界保健機構(WHO)の国際がん研究機関は1991年、膀胱がんについてコーヒーを「発がん性の可能性がある」物質に分類。一方で、米国立保健研究所(NIH)などは昨年、50~71歳の男女40万人対象の疫学調査で、コーヒーを1日3杯以上飲む人の死亡率が1割ほど低いとの結果を発表している。また含まれる抗酸化物質が健康にいいとする研究もある。(富岡史穂)

□□――――――――――――――――――――――――――――――――――――――□□

 結局コーヒーが健康にいいのか、悪いのか、評価はまちまちといったところです。これを27日の朝日新聞「天声人語」がフォローしていましたので併せて(部分ですが)紹介します。
 「コーヒーをめぐる名句の一つに、18~19世紀のフランスの辣腕政治家タレーランの言葉がある。『悪魔のように黒く、地獄のように熱く、天使のように清く、愛のように甘い。汝の名は珈琲』。イメージはぴったり、修辞はきらびやかで重厚だ▼(中略)気になる記事を読んだ。1日に4杯以上飲む55歳未満は、飲まない人に比べて死亡率が高いそうだ。しかし、待てよ▼6年前、コーヒーを毎日飲む人は肝臓がんにかかりにくいと厚労省の研究班が発表して、小欄も書いた。飲まない人に比べて発症率は約半分と聞いて、気を良くしたコーヒー党もいたに違いない▼さて、悪魔なのか天使なのか。その後の記事を調べると、体にいいと言われたり、よくないとされたりコーヒーも忙しい。」と、記事と同じように研究結果が分かれていることを指摘しています。
 私などは現役時代は、朝起きて新聞に目を通しながら1杯、朝食時に1杯、会社に行って1杯、昼食後に1杯という具合に1日に4~5杯飲んでいましたから、気になるところです。
 「天声人語」はさらに続けます。「珈琲をはじめ、幾つかある漢字の当て字の一つを『可否』としたのは慧眼だった。健康に可か否か。といっても話題ととらえ、朝の一杯、午後のブレークを楽しみたいものだ。一喜一憂で馥郁たる香りを逃しては、もったいない。」
こういう話題を提供してくれるのも、コーヒーの効用でしょうか。それだけ文字通り人口に膾炙している存在のだと改めて感じました。

                                       大西 五郎
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随筆 「偉い人らの愚かな言葉」   文科系

2013年08月29日 08時16分38秒 | 文芸作品
 ちかごろ偉い人も、愚かすぎることを語るもの。二つご披露してみたい。

 今年新春の中日新聞に、谷内正太郎・内閣官房参与(元外務次官)のインタビュー記事があって、その末尾にこんな言葉が載っていた。
『集団的自衛権については、自らが攻撃された時は他の国に助けてもらう、その国が攻撃された時は「われ関せず」という態度は責任ある大国としてありえない。集団的自衛権は国家の品格、品性に関わる問題だ。米国も、そのような日本の貢献を期待している』
 谷内氏は「国家の品格、品性」などと言うが、相手を見て物を言えと言いたい。
 最近の米国というのは、嘘の理由で国連の反対を押し切って有志国だけでイラク戦争を起こした国だ。この戦争で無数の自国、他国の若者を殺し、後になって大統領が『あれが嘘だとは全く知らなかった』とテレビで堂々と泣き言を語った国だ。因みに、我が日本政府・外務省は、嘘の理由に丸め込まれて参戦し、莫大な出費もしたにもかかわらずなお「もっと汗も血も流せ」などと侮蔑的言葉まで浴びせられたのだった。こういう二重の侮辱について、外務省などからその後、何か釈明とか、相手への抗議でも、あったっけ?
 こういう相手に「国家の品格、品性」をもって対せなどとは、馬の耳に念仏、蛙の面にナントカで、一銭つぎ込む価値もないどころか、ペテンに掛けられるのが落ちというもの。
 谷内さんに尋ねたい。集団的自衛作戦に品格をもって付き合っていく今後に、またしても嘘の理由で戦争を起こされて、日本や世界の若者が殺されることはないという保証がどこにあるんです? そういう保証をどこで確認できたのです? 当方が品格をもって遇するべきは、品格のある相手でしょう。こんな重大な背信行為相手に「国家の品格、品性」を国民にお説教とは。貴方のこの言葉、まるで騙りのようなものだ。

 次に、麻生副総理の「ナチなみに密かに憲法を換えよ」が国際問題になっている。彼は例によって、靖国に絡んでこうも語った。歴代保守政治家の多くの例にならうように。
「国のために死んだ人にお参りするのは当たり前の行為だ」
 馬鹿も休み休み言えと言いたい。戦前と戦後、我が国はお前には同じ国かも知れないが、普通の人には全く違う国であって、国とさえ言えるかどうかだ。国民主権か、万世一系の天皇統治か、これは現世界の普通の人には全く異なった「国」である。普通の人というのは、政治には民主主義が最も大切と考える人という意味だ。そう考える人にとっては、戦前の日本国家というのは国民のものではなかったのだから、今普通に言う国と見られるかさえ怪しいのである。大日本帝国憲法には国民などという言葉はなく「臣民」とあり、天皇のために我が命は赤紙よりも軽いと処するべしと、そんな教育までなされた国だった。天皇を良く言わない臣民は、小林多喜二のように殺されもした。不敬罪という、そうして良いという法律まで存在したのである。
 そんな国を今と同列に扱う麻生らの頭脳というのは、国民主権などどうでも良いと感じ、信じているとしか、僕にはどうにも考えられない。大日本帝国は、第一に我が祖父母、曾祖父母、父母のものではなかったどころか、彼らは国を所有する天皇の道具にすぎなかった。到底、主権者・自由人ではなかったのである。そんな国のために死ぬのが運命とされた若者達は、国民のために死んだのではなくって、現代で言えば犬死にさせられたのである。この犬死にをまともに拝んだら旧体制を賛美することになる。犬死には犬死にと扱ってこそ、日本民主国家充実に寄与できるというものだろう。
 こんな当たり前のことも普通に理解されていない今の日本保守政治家の世界は、ちょっとどうかしている。どうかしているもう一つの証拠もある。天皇元首化を憲法に明記しようとまで言い出した。この感覚は、心ある国民には理解できないものであるばかりか、アジアとトラブルばかりと、これはもう必然。韓国など、他のアジア各国には(当時の)天皇と言えば、何の有り難みも無いどころか、むしろ憎しみの対象でしかない。アジアに根強く残っている「血縁」の感じ方、考え方ではさらに、現天皇でさえよくは思われないことだろう。つまり、自民党の政治家達はそれほどの時代錯誤感覚だから相手をも見えないのである。国家としての個性はあっても良いが、こんな後ろ向きの個性は不要と言える。
 さて、現政治体制がこうでは、中韓などとトラブルが増えずにはおかない。対して、日本ではヘイトスピーチの激化となる。サッカーの日韓戦でも、こちらは旭日旗を振りかざし、あちらは日本批判の横断幕。国と国との過去の不幸が絡んだ嫌悪感の応酬は悪循環を生みやすい。この悪循環の末は戦争。気づいて見たらそうなっていたという例の、世界史に何と多いことか。この悪循環に向けて保守政治家たちが実質音頭を取っていると、そんな自覚もなさそうだ。恐すぎる対外政治状況。そう思えて仕方ない。
コメント (6)
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