NHK経営委員長に石原氏 政権・与党との関係 重視か(16.6.29 朝日新聞)
NHK経営委員会は28日、経営委員でJR九州相談役の石原進氏(71)を新たな委員長に選任し、発表した。この日開かれた委員会で互選され、決定した。来年1月に籾井勝人会長(73)が任期満了となるため、籾井氏の再任を含む次期会長の選任を主導していくことになる。
石原氏は東大卒で、1969年に国鉄入社。分割民営化後はJR九州で社長、会長を歴任した。2010年にNHK経営委員に就任。3年前の会長指名では籾井氏を推薦した経緯がある。
NHK会長の選考がこの夏から本格化するほか、巨額の費用を見込む東京・渋谷の放送センター立替えなどの経営課題を抱えるNHK。そうした決定に大きな影響力を持つ今回の委員長選びにあたって、経営委は政権・与党と円滑な意思疎通を重視したとみられる。
経営委員会はNHKの最高意思決定機関で、会長の任免権を持ち、会長ら執行部が提案する年間予算や経営計画を議決する。会長の選考にあたっては、7月中にも同委員会に会長指名部会を立ち上げ、年内に籾井勝人続投させるのか、新たな会長を選ぶのかを判断する。
28日夜の就任会見で石原氏は、籾井氏再任の可能性について「今は申し上げられない」としつつ、「きちんとした行動、ガバナンスをやってほしい。誤解されるような発言がいくつかある」と指摘。一方「収支の改善などをきちんとやり、国際放送の推進などでも実績がある」と評価し、「籾井さんについては是々非々で考えていきたい」と述べた。
新委員長選びでは、石原氏と委員長代行の日本たばこ産業顧問・本田勝彦氏の2人の間で事前の調整が難航した。経営委員の1人は「政権・与党サイドの関係者から石原氏を推薦するよう求められた」と打ち明ける。ある政権幹部は「次の会長の人選を考慮すると、石原氏の方がより政府・与党の影響を反映しやすいと判断した」と語る。
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NHK籾井会長は就任の記者会見で「政府が右と言うものを左という訳にはいかんだろう」と発言したり、熊本地震発生を受けてのNHK災害対策本部の会合で「原発については、住民の不安をいたずらにかき立てないよう、公式発表をベースに伝えるように」と指示するなど、NHKを政府の広報機関と考えているのではないかと思えるような発言が問題にされており、NHK・OBや放送関係の団体から罷免要求も出されています。石原新委員長が云うような「誤解されるような発言がいくつかあったが」で済まされるような問題ではありません。
その上経営委員の一人が「政権・与党サイドの関係者から石原氏を推薦するよう求められた」と打ち明けた」ことやある政権幹部が「次の会長の人選を考慮すると、石原氏の方がより政府・与党の影響を反映しやすいと判断した」と語ったことはもっと問題です。
安倍首相がTBSの番組に出演中放送の中で「アベノミクスは僕らのところには届いていない」という若い人の発言を「一方的だ」と抗議したり、高市総務相が「偏った放送をした局へは電波停止を命じることがある」と述べるなど、安倍政権の放送への介入が強まっている中で、経営委員の方たちの毅然とした態度が望まれます。
大西 五郎