いまの世界、その安定的平和的な持続が根本から問われている時代なのだと思う。ちょうど、江戸時代末期の日本のように。ただし今の世界からのこの問いは、一国やG7だけに問われ、そこで解決できるものではないはずだ。だからこそ超大国を持続させようとするアメリカは軍事的に世界をウロウロし、中国がこの軍事に張り合おうとしているのだ。ここから生まれつつある世界の軍事経済ブロック化がまた、世界をどんどん疲弊させている。自由主義経済下でブロック制を強行すれば結局世界の需要が冷え込むだけとは、経済学者なら誰でも知っている知恵のはずだ。近隣窮乏化論が強調されたのはいつごろだったか。
そのアメリカだが、2015年だったかに、アメリカ元国家会計検査院院長が「米の実際の国家累積赤字は、GDPの4倍である」と発表した。その後もイラク、アフガン、シリア、ウクライナなどで戦費を使っているから、さらに増えているだろう。ちなみに日本は2倍ちょっとと「発表」されてきた。アメリカのブロック経済強行はこうして、こんな財政下でも軍事を維持していきたいとする苦肉の策だったと、僕は観てきた。
他方でアメリカは、フリードマンなどアメリカ経済学者たちもこぞってこんなことも語っている。
「アメリカの労働者たちが、こんなに速く中国に職場を奪われるなんて、全く予想できなかった」
これだけ並べただけでもアメリカの世界戦略は見えてくるはずだが、日本国家もG7もただこれについて行くだけに見える。そもそも、世界の将来をG7だけで考え進めるのはおかしいだろう。ただでさえ、これだけ対立が激しい時代なのだから、こういうやり方自身が民主主義的ではないこと自明である。